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氷を割って進む、南極観測船「しらせ」がシドニーに寄港!


  • 17年03月22日

写真:海上自衛隊ホームページより

 

南極観測船「しらせ」が第58次南極観測隊の夏隊と第57次隊の越冬隊、それぞれの南極観測隊員約80名を乗せて、3月20日(月)にシドニーに寄港した。

 

南極観測隊員の送迎と物資の運搬、そして海洋調査を目的に造られたしらせは、昨年11月11日に日本を出港した後、同月27日~12月2日までの6日間をオーストラリアのフリーマントルで過ごし、12月28日に南極の昭和基地に到着。約1ヵ月前の2月16日に昭和基地を出て、ようやくシドニーに到着した。この後、観測隊員は一足先に飛行機で日本に戻り、しらせはシドニーに6日滞在した後、4月10日に日本に到着する予定だ。ルートは決まっており、毎年同じポイントで海の温度やプランクトンを調査しながら航海している。

 

シドニーは、物資を補給し、観測隊員が飛行機で帰国できるという利便性のある経由ポイントではあるが、1911年に日本人初の南極観測隊員である白瀬矗(しらせ のぶ)中尉が南極に行く際に氷塊に阻まれ、夏を待つためにシドニーでテント生活をしたという縁のある地でもある。テントを張っていたParsley Bayには、英語と日本語で書かれた白瀬中尉の記念碑が設置されている。

 

砕氷船であるしらせは、助走をつけて氷の上に船を乗せ、全長138メートル・幅28メートル・高さは6階のビルに相当する巨大な船自身の重みで分厚い氷を割る「ラミング走行」で南極の氷を割りながら進む。船の先端からは1分間に25メートルプール1杯分もの水が出るしくみになっており、氷の上の柔らかい雪を濡らすことで、新雪がクッションかわりになってしまうのを防いでいる。艦内を案内してくれた船務長3等海佐の上野裕二氏は、「ぶつからないように進むのが船の基本ですから、氷にぶつかりながら進んでいくしらせは異質の船。南極に行けるということもあり、搭乗希望者が多い人気の船です」と特徴を語った。

 

写真左が物資が入ったコンテナ。船には全部で56個ものコンテナが積まれており、南極到着後はソリに乗せて昭和基地まで運搬する。外部から持ち込んだものを南極に置いて帰ることはできないため、帰りの今回は不用品やゴミが中に入っている。他に写真右のヘリコプターでも物資を輸送するが、物資量は1100トンにも上り、多いときは1日に20往復することもあるのだとか。

 

万が一の事態に備えて設置してある緊急時のボート。内部には飲料水も用意されている。

 

写真左は発電機から発生する排ガスを排出する巨大な煙突。写真右の手前には予備のヘリコプターのブレイド(羽)が用意されている。

 

操縦をするブリッジ(艦橋)の様子。赤い椅子はキャプテン席で、写真中央の席で実際の操縦を行なう。さまざまな計器を用いて船を動かしているが、南極ではレーダーが氷で反射してしまうことがあるため、どのようなルートで氷を割って進んでいくかは高さ35メートルにもなる上部見張所にて、最終的には肉眼で確認して決定するのだそう。

 

内部には散髪室や日本の自動販売機が設置されており、生活感がある。散髪は専門の人がいるわけではなく、手先の器用な隊員にお願いする。お礼に自販機のジュースを渡すことも多いのだとか。写真右は艦内の神社。南極で迎えた新年には、ここで初詣を行なった。

 

食堂の様子。長い航海中の一番の楽しみは食事で、定番の人気メニューは毎週金曜日に出るカレー。時には冷凍保存してある刺身が出ることもあるという。この日は夜に行なわれる船上パーティーの準備中。

 

写真左が船員の部屋。奥には洗面台も設置されており、思いの外スペースがある。ベッドは普段は2段だが、万が一観測員の越冬が困難になってしまったときに備えて、3段に増やせるようになっている。実際に昨年、南極で座礁してしまったオーストラリアの砕氷船員を救出した際に、3段ベッドが活躍した。写真右の奥がこの救出に対しての表彰状。手前の賞状は安倍首相から送られたもの。

 

取材当日の3月21日(火)の夜には船上でパーティーが行なわれた。

 

刺身やオードブルにかわいらしい和菓子をはじめとしたデザート、そして隊員から人気のカレーの屋台が用意され、豪盛な食事と華やかな盛り付けで来場者を出迎えた。ドリンクには、なんと南極の氷入り。氷には数万年前の空気が含まれており、耳を近づけると、溶け出す際に生じる「パチパチ」という小さな音が聞こえる。

 

船上パーティーであいさつをする大鋸館長(写真左)と在シドニー竹若総領事(写真中央)。乾杯の音頭をとったのは南極観測隊隊長の本吉氏(写真右)。

 

次いで、NSW州の多文化担当大臣(Minister for Multiculturalism)のRay Williams氏(写真上・左)と同州立法評議会議長President of the Legislative Council)のJohn Ajaka氏(写真上・中央)からもあいさつがあり、その後は日豪の代表者で鏡割り。来場者はしらせオリジナルの升で日本酒を単能した。

 

取材・文・撮影:天野夏海(編集部)




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