未分類

4歳で日本を離れてオーストラリアへ、長谷部健太さんにとって常に傍らにあるローンボウリングの存在とは(ローンボウルズプレーヤー)

全世界で200万人以上に親しまれているローンボウルズ。ひょっとするとローンボウリングという言い方の方が馴染みがあるかもしれない。ローンボウルズの2015年アジア太平洋大会において、日本代表が男子トリプルスで銀メダル、男子シングルスで銅メダルを獲得した。まさに歴史的快挙だったと言えよう。これらの功績に大きく貢献したのが、シドニー在住の長谷部健太24歳。4歳で日本を離れ、以来オーストラリアで生活してきた彼の傍らには、常にローンボウルズの存在があった。

 

小学生で出会ったローンボウルズ

小学生の頃にテレビで試合の模様を観たのがきっかけでローンボウルズが好きになりました。父が買ってきてくれた子供用の競技セットで遊び始めてからずっと続けています。中学生になって課内スポーツで選択してから2年ほどは同世代といっしょにプレーしていましたが、14、15歳の頃にクラブに入ってからは大人を相手にしていましたね。

 

老若男女がいっしょに楽しむことができるのが大きな魅力!

一番おもしろいのは試合ですね。どのスポーツにも共通していると思いますが、やはり違うプレースタイルを持つ相手と戦うのが楽しいです。クラブで友達といっしょにプレーするのも、本当に楽しいです。

それにローンボウルズは誰に有利というものはなく、身体的なアドバンテージもなしに誰もがプレーできるスポーツだというところもポイントですね。

25歳以下や60歳以上などと区分している大会もありますがそれも稀です。

幅広い年齢層のプレーヤーが年齢に関係なく同じ土俵で競うので、同じ大会に14歳と80歳が顔を揃えることもあるんです。ちなみに、オーストラリアにおけるプレーヤーの平均年齢は50歳~55歳くらいです。

みんなおもしろい人たちばかりで、いつも笑って楽しい時間が過ごせるんです。僕の経験上、ローンボウルズをしている人はみんないい人なんですよ! 僕は昔、恥ずかしがり屋で無口なところがあったんですけど、クラブの人たちがいつもフレンドリーに接してくれたおかげで自分からも明るく、フレンドリーに接することができるようになりました。

 

常に変化する環境の中で戦うむずかしさ

ローンボウルズのむずかしさは、いつも同じ状況、状態でプレーできるとは限らないところです。たとえ同じ場所が会場であっても、自然の芝でプレーするため、その都度コンディションが変わってしまうんです。それに、クラブや国によっても芝の種類は変わるんですよ。たとえば先日アジア太平洋大会が開催されたニュージーランドは気候が違うため、オーストラリアにはない種の芝の上でプレーしました。

じつは、日本ではまだプレーしたことがないのですが、今年(2016年)の10月に約7年ぶりに一時帰国するので、その時にプレーしたいなと思っています。オーストラリアではローンボウルズ用に芝を平らで滑らかに維持してくれるのですが、日本ではサッカーなど他のスポーツと共同のフィールドを使ったりするので、常に滑らかなままプレーできるというわけではないんです。あまり頻繁に調整されることもないようなので、そこが日本とオーストラリアとで違うところだと思います。

また、風などの変化によって、ひとつの試合の間にもコンディションはどんどんと変わっていきます。ローンボウルズで使われる、みかんのように楕円形をした「ボウル」は、風によって軌道や強さに影響がでるんです。

 

プレーから離れた時間が、よりローンボウルズへの気持ちを強くした

ローンボウルズを始めて1年半くらいが経った中学3年生の頃、試合にもまだ出たことがなく学校で友達とプレーするだけで、毎週同じことの繰り返しのように感じ、辞めたいと思ったこともありました。それから6カ月くらい、少しローンボウルズから離れてクリケットをしていたんですが、その時「やっぱりローンボウルズがやりたい!」と思ったんです。再開してからは学校の試合にも参加するようになって、刺激的で楽しくなっていきました。それに、いっしょにプレーできる友達がいたことも続けてこられた理由のひとつですね。

 

日本人ローンボウルズプレーヤーとしての「長谷部健太」

オーストラリアでは「Kenta Treacher」と呼ばれていますが、日本人としてプレーする時は「長谷部健太」としてプレーしています。僕は4歳の時に日本を離れてからずっとシドニーにいるんですが、初めて日本代表としてプレーすることとなったときに「日本人としてプレーするときには、長谷部健太として参加しよう!」と決めたんです。長谷部健太として戦うことが、自分のルーツに帰ることができると思ったんです。

 

テニスのコーチとしても活躍するスポーツマン!

パートタイムで仕事をしながら、ホリデー期間中には小学校1、2年生の子たちにローカルテニスクラブで教えたりもしています。僕自身も5、6歳の頃、ホリデー中にテニスをしていました。子供たちには「みんなで楽しく」をモットーに教えています。試合で人数が足りないときには、助っ人として参加することもありますが、テニスは基本的に趣味として楽しんでいます。ローンボウルズの息抜きにもなっていますね。

 

25歳をむかえ、岐路となる2016年

2015年は、自分にとってすごくいい年でした。アジア太平洋大会以外でも、個人で世界ジュニア選手権での銅メダルや、オーストラリアシングルス選手権での準優勝、またチームでニュー・サウス・ウェールズ州選手権で優勝と、本当に実りのある年で、どの大会でも自分のできる最大限のプレーができました。

アジア太平洋大会で日本代表として快挙を果たすことができたので、今年の世界選手権でもいい結果が期待されていると思います。がんばらないと…。僕としてはメダルが1つ取れればいいなと思っています。

これまではなるべくローンボウルズができるようにと、実家で暮らしながらパートタイムの仕事をしていたんですが、将来のことも考えて、今年は教員免許を取得してフルタイムで働こうと思っています。

4月にクイーンズランド州のブロードビーチで行なわれる世界ジュニア選手権が、ジュニアの選手として参加でき、そしてローンボウルズに集中できる最後の大会になります。ローンボウルズもプライベートのどちらも楽しんで、これからも過ごしていきたいですね。

 

長谷部健太(Kenta Treacher)/ローンボウルズプレーヤー

1991年、埼玉県春日部市出身。4歳で日本を離れ来豪。日本人の母とニュージーランド人の父を持つ。中学時代からローンボウルズを始め、現在はノース・シドニー・ボウルズクラブに所属。世界ジュニア選手権での銅メダル、NSW選手権でのチーム戦優勝といった活躍に加え、2015年12月に行われたローンボウルズアジア太平洋大会では、トリプルズチームとして準優勝の銀メダル、シングルスでは銅メダルという日本代表選手として初の快挙を果たした。

連載『Talk Lounge』の過去記事一覧はこちら
>>https://www.jams.tv/author/jams_talk_loungeをクリック

この記事をシェアする

この投稿者の記事一覧

概要・お問い合わせ

その他の記事はこちら