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第4回 背中の痛み

日豪プレス 2011年12月号 掲載記事

第4回:背中の痛み


▶▶▶フィジオセラピーは、筋肉や関節の痛みや機能障害、神経系機能障害や呼吸器系疾患などの治療やリハビリを行う専門家で、必要に応じてMRIや専門医に紹介し、包括的な治療を行っている。さまざまな体の機能を知り尽くした奥谷先生に、体の痛みの原因や改善法について聞いてみよう!

 

Tさん(30歳)はオフィス・ワークで、毎日8〜10時間を越える長時間コンピュータに向かっています。時々、背中の辺りがつっぱるなー、固いなーと感じたことはありました。しかし、ある時突然、背中に鋭い痛みが走り、息ができないほどになりました。

呼吸をするとピリピリとした痛みがひどく、しばらくすると背中の痛みが広がり胸の方まで痛みを感じるようになりました。同僚に相談すると、同じような経験があり、フィジオセラピーで治療を受けたと聞き治療にいらっしゃいました。

背中は胸椎(きょうつい)、あばら骨、あばら骨に守られている肺、背中を覆っている何層もの筋肉、内臓などがあり、とても複雑な構造になっています。首と腰の間の部位が背中と呼ばれ、12の胸椎、左右12対のあばら骨があり72の関節があります。この関節の可動域は個々には小さいものですが、全体で大きな動きを可能にします。

特にあばら骨は肺を外部からかかる荷重から守りながら、呼吸をする時には、大きくなったり小さくなったりする肺の動きに合わせて同様に動きます。胸椎は胴体を屈伸、回転させるためにデザインされており、筋肉が頭、首などからかかる荷重を支えています。

ところが、長時間座ったままでいると身体を屈伸、回転させる機会も少なく深呼吸をすることも稀です。これが長年続くと、関節が固くなり、筋肉も弱化してきます。さらにこの状況が続くと、関節や筋肉では頭や胴体を支えきれなくなってしまい、痛みが出てきてしまうのです。

 

痛みを解消、動作を回復、姿勢改善

Tさんの場合、猫背の姿勢や、筋肉の弱化などにより右の胸椎T4の関節に過度の負荷がかかり炎症を起こして痛みの原因になっていました。そして、その周りの筋肉も炎症と痛みによって痙攣していました。

フィジオセラピーの治療ではこの関節をモビライゼーション*でほぐし、関節の可動域を改善します。弱化していた僧帽筋(そうぼうきん)、頸(けい)、胸半棘筋(きょうはんきょくきん)、前鋸筋(ぜんきょきん)などを筋トレで強化して正しい姿勢を保ちやすくします。

また、痙攣している筋肉にあるトリガー・ポイントのリリースを指圧、針、マッサージで行い、緩和治療も行います。テーピングを一時的に用いて職場での正しい姿勢を身体に自然に記憶させる処置を行うこともあります。

*モビライゼーション…固くなったり、痛みにより低下している関節の可動域や動作機能を、特定の方向にリズミカルに押しほぐすこと。

*同コラムは、一般医療情報の提供を目的としています。症状や治療法は人によって異なりますので、必ず専門家の指示に従ってください。

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