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第6回 手根管症候群

日豪プレス 2012年2月号 掲載記事

第6回:手根管症候群


▶▶▶フィジオセラピーは、筋肉や関節の痛みや機能障害、神 経系機能障害や呼吸器系疾患などの治療やリハビリを行う専 門家で、必要に応じてMRIや専門医に紹介し、包括的な治療を 行っている。さまざまな体の機能を知り尽くした奥谷先生に、 体の痛みの原因や改善法について聞いてみよう !

手首の痛みや手の平のしびれ
今回の患者さんは仕事で忙しくされて いる女性シェフのCさんです。食器を洗 う際や包丁を使っている時など、1日中 絶えず手首に負担がかかる動作を繰り返 しています。今の仕事を始めて2年にな りますが、長期で休暇を取ったことがな く、手を酷使し続けていたため右手の手 の平と中指の辺りに、ピリピリする痛み やしびれを感じるようになりました。仕 事中は集中しているためあまり不具合を 感じませんが、夜寝ていると痛みやしび れがひどく頻繁に起きてしまうようになりました。
その原因は、手根管内部の炎症です。手根管は手首の手の平側にあり、その中 を9つの腱と正中神経と呼ばれる大きな 神経が通っています。Cさんのように同 じ動作を毎日続けていると、手根管の中 を通っている腱や正中神経が圧迫された り摩擦を受けたりします。この状態が続くと、腱を覆っている滑液鞘と呼ばれる部分や神経に炎症が起こります。
また、同じ動作を繰り返すことは筋ト レを行うのと同様の効果をもたらすた め、数カ月から数年にわたりその動作を 続けていると腱が肥大してきますが、手 根管の大きさは変わりません。すると、 個々の太くなった腱が手根管の中で正中神経を圧迫するため、これも炎症の原因 となります。これが手首の痛みや手のひ ら、親指、人差し指、中指と薬指の親指 側半分のしびれにつながり、場合によっ ては手首と指の筋力が低下します。

デスクワークの人も注意
ほかにも、妊娠中の女性で体液が滞っ てしまっている人、マッサージを仕事の 一部として行われる人、そして何よりも デスクワークでタイピングをたくさんさ れる人に多く見られます。
理学療法では正しい診断の下で原因と なった動作を減らし、そのために起こる 筋力低下や癒着を防ぐため、マッサージ や運動やストレッチ療法を処方します。 必要に応じてサポーターも処方します。 この際、鍼は り 治療も有効で、特に痛みの緩 和に役立ちます。
重度の場合は、専門医やGPと連携して 抗炎症剤を使用したり、超音波検査や神 経伝導検査を行い、ステロイド注射を患 部に打つ治療や外科的処置である手根管 の除圧術を必要とする場合もあります。
手根管症候群は重度になると完治が難 しく、また治療が長期に及ぶため、早期 の段階で正しい診察、診断を受け治療を 開始することがとても大切です。

*同コラムは、一般医療情報の提供を目的としています。症状や治療法は人によって異なりますので、必ず専門家の指示 に従ってください

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