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風力発電に反対の声

東京電力の福島第一原発の事故以来、原発から自然エネルギー、再生可能エネルギーへの転換が論議されています。再生可能エネルギーには、太陽光発電や風力発電、地熱発電、バイオマス発電。波力や潮力発電など、さまざまな発電形態があります。

最も一般的なのが、太陽光発電ですね。屋根に太陽光パネルを敷き詰めて、電気を生むのですが、もちろん曇り空では働いてくれません。このシステムはすでに信号機などに利用されています。

風力発電は、大きな風車を風の力で回してタービンを動かして電気を発生させるというものです。常に風が吹いている地形にはピッタリのものです。

オーストラリアには全国に54の風力発電所があります。総発電容量は、オーストラリアの電力需要の約2%に当たります。南オーストラリア州やビクトリア州の割合が大きく、風力発電の55%は南オーストラリア州が、20%がビクトリア州が占めています。ニュー・サウス・ウェールズ州は9%です。全国で75万世帯がこの風力発電の電気を使用していて、今後さらに90カ所に風力発電を建設する計画です。

それでも世界の国に比べてオーストラリアの風力発電はその規模はかなり小さいものです。最も風力発電が開発されているのが中国で、次いで米国、ドイツ、スペインとなっています。

ニュー・サウス・ウェールズ州では、現在、7カ所で116基の風車が回っています。今後も29カ所に設置する計画ですが、州議会では風力発電に反対する勢力が主導権を握っています。

州議会上院でキャスチングボートを握る、猟師・釣り師党とキリスト教民主党は、風力発電所の新設に関して一時凍結を主張しています。これに資源関係者や地球温暖化に懐疑的な人たちが賛同している構図です。

反対の主な理由は、騒音と低周波音被害です。

風力発電が設置された場合、近くの住民が、めまいや動悸、耳鳴りなどの症状を訴える例があるんです。あの大きな羽(ブレード)やタービンが回って出す風切り音などの騒音や低周波振動が原因だとされています。ほかにも自然景観を壊すとの主張もあり、Landscape Guardiansという団体まであります。

要は、騒音と振動が人体に影響を与えているというわけですが、専門家でも意見が分かれていて、病気の因果関係がはっきりしていないようです。

再生可能エネルギーを推進する「Clean Energy Council」は、負けじとばかりに、風力発電の音は他の騒音に比べて特にひどいものではなく、きわめて静かだと主張しています。How noisy are wind farms?

確かに静かかもしれませんが、低周波音は「聞こえない騒音」というもので、例えば「シックハウス症候群」と呼ばれる化学物質に敏感な人が被害を受ける病気や、電磁波被害などと同じで、誰もが感じたりするものではなく、かなり個人差があるものです。いわば過敏な人の健康被害です。

地球温暖化や原発事故などにより、自然エネルギー、再生可能エネルギーを目指す動きが広まっていますが、こんな問題もあるわけで、自然エネルギーだから何も問題はないんだというわけではありません。

それでも、最終処理がまったくできずに放射能汚染物質のゴミ処理が解決していない原子力に比べたら遥かにましなエネルギー源ですので、その地域や場所毎に、さまざまな再生可能エネルギー源をうまく使っていくことが求められています。それに技術革新でこのような問題も克服される日が来るのではないかと思います。

(水越)

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