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心理学ウィーク・日本語ワークショップ「文化差・日本の精神性と心の健康」のご報告です!

 
 

オーストラリアの心理臨床学会であるAustralian Psychological Society主催で、2015年11月13日に行われた日本語コミュニティに向けての心理学イベント、ナショナル・サイコロジー・ウィーク。おかげさまで参加者のみなさんと白熱した文化差に関する議論が盛り上がりました!!・・・たいへん遅くなりましたが、ご報告いたします。

テーマは文化的差異とメンタルヘルス。「日本人に特有なメンタルヘルスへの影響〜日本で身につけて来たこと」。みなさんとあまりに議論に熱中し、記録をほんの少ししか取れなかったため、かなり記憶を頼りにまとめています。

まずは「日本のプラウドできるところ、好きなところは?」という問いかけから始まりました。「丁寧、礼儀正しい、勤勉、常識や学力の平均値が高い、きちんとしている、情緒的でソフトである、あまり感情的にならず穏やかに人と接する、便利で治安の良い先進国、ご飯がおいしい、四季がはっきりしていて楽しめる、カスタマーサービスの良さ、物の品質の高さ」などなど・・・。

では「日本の良さの反面、その副作用的に心身の健康に良くない影響を及ぼしてしまう点は?」の問いかけに・・・

1。日本文化の中に実はある「禁欲的であること」の重視。勤勉。強迫的にきちんとしている。遊ぶ、楽しむのは二の次。ホリデーをあまり重視しない。すなわちワーク・ライフ・バランスが悪くなりがち。→ 強迫的に勤勉な働き方ゆえの効率的な国家や経済の繁栄。プラウドできるところでもある。しかし日本的強迫的勤勉は心身の健康に対する副作用も強い。ワーク・ライフのより良いバランスを目指していく。遊ぶ、楽しむことへの価値観。それを自分の中で良しとできるようになること。

2。強迫的労働の基礎にあるのは「滅私奉公」の精神。「忠誠心」の重視。集団、おかみ、日本という国、上司、会社などへの。集団への忠誠心。→ 相対的。一神教のキリスト教をベースとする西洋文化の「神」の前で恥ないか、という絶対的な善である存在への忠誠心とは違う。コミュニティの質によって、善のあり方が相対的に変わる。日本人は宗教にはかなり否定的で無宗教、あるいは慣習宗教のみとする人が多いが、実は「世間体教」「コミュニティ教」を持っていて、それに従って生きている。

3。西洋社会の論理性、個人の判断力の重視。→ 日本にはあらかじめステレオタイプな「まっとうな生き方」があるようだ。世間が言っていることを盲目的に信じる。→ 論理的な思考に基づいた自分の判断や意見が明確でないことも多い。西洋社会で生きるなら、そこを鍛えていかないと。

4。日本文化や特有な精神性を客観的に理解し、良いところは残し、副作用の多いところは上書きしていく。外国に暮らしていると、文化差や、日本文化の特性も見えやすい。それをうまく利用して。

などなどなど・・・。外国で暮らしている日本人は、みなが文化差や日本特有の精神性を常に感じ、それについて考えさせられながら生きていることを実感しました。なぜってみなの日本人らしくない!?積極的な参加度!!・・・取材に来たはずの某日本語新聞営業さんまでもが熱く語る!!!

楽しく興味深い、文化差と日本の精神性に関する義論でした。一時間半があっと言うまで、もっとやりたい、まだまだ語れるという名残惜しい中でのお開きとなりました。

在豪邦人という、日本文化を根底に持ちながら西洋社会に暮らし、常にその文化差と西洋流と、日本文化との違いにさらされながら生きている私たち。大事にキープしたい日本的な価値観や姿勢と、西洋社会に適応すべく、また自分自身の心身の健康への副作用を最小限にするべく、日本で学んで身に付けてきたことに上書きをしていくことのバランスにこれからもチャレンジしていきましょう!

ナショナル・心理学ウィーク・日本語イベントは、2016年も11月にも開催予定です!なお、この日系イベント情報ページに関しては、ウィーク以外の期間も、心理学情報を随時流して行く予定です。お楽しみに。

https://www.facebook.com/psychweekjp

https://www.psychology.org.au/Default.aspx

(シティ日本語&アジアンイベント主催:日本人サイコロジストやのしおり、マレージアン・チャイニーズ・サイコロジスト:チューンホワ・リム)

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