MBA法律事務所 – JAMS.TV https://www.jams.tv オーストラリア生活情報ウェブサイト Mon, 09 Apr 2018 06:35:40 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=5.7.2 大型トラックと死亡事故 https://www.jams.tv/law/102007 Mon, 09 Apr 2018 06:35:40 +0000 https://www.jams.tv/?p=102007 年初の数ヶ月間に死亡事故が多発したことで、トラック業界が非難をあびています・・・       2018年最初の2ヶ月間、大型トラックを巻き込んだ死亡事故が多発しました。こうした事実を受けて所轄機関は、 […]

投稿 大型トラックと死亡事故JAMS.TV に最初に表示されました。

]]>
年初の数ヶ月間に死亡事故が多発したことで、トラック業界が非難をあびています・・・

 

 

 

2018年最初の2ヶ月間、大型トラックを巻き込んだ死亡事故が多発しました。こうした事実を受けて所轄機関は、交通安全対策の見直しを図っています。

 

ニューサウスウェールズ州では2018年1月~2月に、大型トラック事故で64人もの命が失われました。一般道路を走っている大型トラックの割合は少ないものの(その多くは普通車)、死亡事故となると大型トラックが関わるケースが多いのです。

 

こうした事実により、トラック運送会社は交通安全所轄機関から注意を促されています。なぜなら、トラック事故に関連した死亡者の増加は、運送会社がドライバーたちに無謀なシフト、例えばドライバーの疲労や睡眠時間を無視したシフトを強いていることが原因の一つであると考えられているからです。オーストラリアは広大な国ですから、メルボルン~ブリスベンの片道距離は1,800 km にも達します。これは、東京~福岡往復に相当します。一方で、多くの大型トラック事故は、実は普通車ドライバー(相手)のミスによって発生しているという調査結果も出ています。例えば、普通車ドライバーが大型トラックとの適正車間距離を取っていなかったり、大型トラックを無理に追い越したりするなど、大型トラックを巻き込んだ事故の一部は、普通車ドライバーの安全運転に関する知識不足が原因なのだそうです。

 

 

統計を見てみると、制限速度80 km/h以上の田舎道でより多くの事故が発生していることや、死亡事故の多くが、市内道路よりも高速道路で起きていることがわかります(参考:死亡交通事故統計2016-2017)。この他には、死亡事故に関連したドライバーの2つの行動危険因子《居眠り運転と酒気帯び・薬物運転》が、近年減少傾向であるという興味深い事実も判明しています。もちろんこれは、社会的変化が背景かもしれませんが、コミュニティーで実施されている教育プログラムによって、人々の交通安全に対する意識が向上していることも理由の一つでしょう。

 

NSW州の道路交通量は増加しているものの(2017年、NSW州の登録車両は600万台以上)、より安全になってきているという統計結果が出ています。しかしながら、警察による飲酒検問(呼気検査)などの継続的交通安全対策とともに、道路を利用する私たちが、常に交通安全を意識することが大事だと思います。

投稿 大型トラックと死亡事故JAMS.TV に最初に表示されました。

]]>
Zoo War 動物園同士のいがみ合い ~ 法廷闘争へ https://www.jams.tv/law/101022 Thu, 29 Mar 2018 06:44:34 +0000 https://www.jams.tv/?p=101022 “シドニー”という名称を巡って、タロンガ動物園が新たに登場したライバル動物園を訴えています...   タロンガ動物園は100年以上にも渡って、海外旅行者だけでなくシドニーを訪れる国内旅行者にも人気のスポットです […]

投稿 Zoo War 動物園同士のいがみ合い ~ 法廷闘争へJAMS.TV に最初に表示されました。

]]>
“シドニー”という名称を巡って、タロンガ動物園が新たに登場したライバル動物園を訴えています...

 

タロンガ動物園は100年以上にも渡って、海外旅行者だけでなくシドニーを訪れる国内旅行者にも人気のスポットです(年間来場者数およそ150万人)。シドニーハーバーを見渡すモスマンに位置し、シティからたった8 kmというアクセスのしやすさも、シドニーを代表する観光地である理由の一つでしょう。

 

さて、そのタロンガ動物園の強敵となり得る、シドニー中心部から西に約33 kmのブラックタウンに開園予定のサファリパークタイプの動物園が突然 “シドニー動物園” と名乗りたいと言い出したら、どうなると思いますか?

 

 

ブラックタウンのサファリパークがシドニー動物園という名称を使用するようになれば、ビジネス上の混乱だけでなく、意図的に観光客を惑わす(歴史、認知度ともに勝るライバルのタロンガ動物園と勘違いさせる)ことになるのではないでしょうか?これについて、タロンガ動物園がサファリパークに“シドニー動物園”という名称の使用を止めさせる訴えを起こし、連邦裁判所で争われることとなりました。

 

動物園同士の争いですから(?)、敵者生存の法則(ジャングルの弱肉強食の掟)がここでも成り立つのでしょうか?それともこの争いは “シドニーの動物園” として長年知れ渡っている老舗動物園が有利なのでしょうか?

 

 

1月15日タロンガ動物園は、動物たちのシルエットの向こうに朝陽をあしらい、手前に“シドニー動物園”と入れたサファリパークのロゴマークの商標登録申請に関連して(豪連邦機関の一つで国の知的財産権を管理するIP Australiaによる商標登録判定に続いて)、消費者の誤解を招く欺瞞行為があるとの訴えを起こしました。しかし最初の裁判で、タロンガはシドニー動物園の商標登録に反対するのに十分な理由を挙げることに失敗し(敗訴し)、現在この件は連邦裁判所で争われています。

 

シドニー動物園(サファリパーク)の運営組織は、2012年8月に“シドニー動物園”を屋号登録し、2015年5月に商標登録申請を行っていました。

 

 

その後の2015年11月タロンガ動物園は、“タロンガ・シドニー動物園”という文字、そして、おなじみのカモノハシのイラストに“シドニー動物園”という文字を入れたロゴの商標登録申請を行いました。

 

時代の流れを象徴するかのように、タロンガ動物園は上記提訴の根拠としてソーシャルメディアとアルゴリズムのデータを使用しました。グーグルサーチのアルゴリズムやソーシャルメディアサイトのインスタグラムのタグを分析すると“シドニー動物園”という文字を見た大部分の人が“タロンガ動物園”を思い浮かべるという結果が、参考データとして提出されました。

 

しかしながらIP Australiaは、タロンガが“シドニー動物園”を商標として使用した証拠は何もない、との判定を下しました。その論理的根拠は、何人かの人がグーグルでタロンガ動物園を調べる時に“シドニー動物園”と入力した、あるいは、インスタグラムにタロンガ動物園の写真をアップする時に#シドニー動物園と入れた、という単なる事実があったにすぎず、これらが法的商標権の使用を意味するものではない、ということでした。

 

ご参考までに、、、タロンガとはアボリジニ語で“美しい眺め”を意味します。本日のお話はここでおしまいにしたいと思います。

投稿 Zoo War 動物園同士のいがみ合い ~ 法廷闘争へJAMS.TV に最初に表示されました。

]]>
コイン・ウォーズ https://www.jams.tv/law/98686 Thu, 08 Mar 2018 08:02:59 +0000 https://www.jams.tv/?p=98686 2017年12月カナダとオーストラリアの間で、カラーコイン(色付き硬貨)の特許権をめぐった法廷論争が始まりました。   2017年12月22日オーストラリア連邦裁判所において、カラーコイン(色付き硬貨)の技術を […]

投稿 コイン・ウォーズJAMS.TV に最初に表示されました。

]]>
2017年12月カナダとオーストラリアの間で、カラーコイン(色付き硬貨)の特許権をめぐった法廷論争が始まりました。

 

2017年12月22日オーストラリア連邦裁判所において、カラーコイン(色付き硬貨)の技術をめぐったカナダ造幣局とオーストラリア造幣局との法廷論争が正式に開始されました。

 

 

この争い【コイン・ウォーズ】は、2012年にオーストラリア造幣局が、赤いポピーをプリントした特別記念2ドル硬貨を発行したことに始まります。記念硬貨は、戦没者追悼記念日(11月11日のリメンバランス・デー※)に合わせて発行されたものでした。※第一次世界大戦が停戦となった1918年11月11日を記念して、英連邦諸国では11月11日が戦没者を追悼する日になり、赤いポピーは、戦没者に対する報恩感謝の気持ちの象徴とされています。

 

 

リメンバランス・デーは英連邦諸国(コモンウェルス)における記念日です。ご存知のとおり、オーストラリアもカナダもコモンウェルスの主要メンバーで、第一次世界大戦停戦以来99年間、両国では毎年この戦没者追悼記念日を執り行っています。近代史における最初の戦争で1,000万人以上もの命が失われたことは非常に悲しい出来事です。赤いポピーの鮮やな色は、戦争で流された血のシンボルなのです。

 

 

オーストラリアもカナダもイギリスの伝統を受け継いだ国で、一緒に第一次世界大戦を戦った仲(連合軍)でもあります。赤いポピーのプリントに加え、極小テキストが刻印された特別記念硬貨は、50万枚発行されました。当時のオーストラリア造幣局長Ross MacDiarmid氏は「カラーコインの技術達成は、世界で注目されることとなるでしょう。」と述べています。

記念硬貨はRSL(Returned and Services League /現役および退役軍人支援のための組織)にも配布され、困難な時期を過ごした現役・退役軍人を支援するための資金となりました。

 

 

さて、訴訟の話に戻りますと、カナダ造幣局は硬貨にカラーインクをプリントする特許の所有権を主張しています。赤のポピーをプリントした記念硬貨を発行したオーストラリア造幣局は、カナダ造幣局の保有する特許権を侵害したというのです。カナダ造幣局は、オーストラリア造幣局に対象硬貨の引き渡しまたは破棄、ならびに賠償もしくは記念硬貨の発行によって得た利益の引き渡しを求めています。

 

 

今回の訴訟は、2012年に発行された硬貨が対象ですが、もしかするとその結果は計り知れない大きさになるかもしれません。なぜなら、オーストラリア造幣局はこれまでに何百万枚単位でカラーコインを発行しているからです。これには、2017年11月発行の、緑のロザリオと紫の花で装飾(色)された290万枚のリメンバランス・デー記念2ドル硬貨も含まれます。

 

 

興味深いことに、2012年の記念硬貨発行当時、オーストラリア造幣局は“カラーコインを発行しているのは、オーストラリアの他にたった1ヶ国だけです。カナダはカラーコインを発行していますが、私たち【オーストラリア】は、それに極小テキスト刻印の技術を加えました。これは、世界に誇れる我が国の革新的能力を示したデザインと言えます。”

投稿 コイン・ウォーズJAMS.TV に最初に表示されました。

]]>
海外旅行者の運転免許について現在検討されていること https://www.jams.tv/law/95955 Sun, 04 Feb 2018 23:30:45 +0000 https://www.jams.tv/?p=95955 クリスマスホリデー期間中の交通事故死傷者多数を受け、オーストラリアでは海外旅行者に特別運転免許を取得させようというプランが持ち上がっています。   海外旅行者はオーストラリアでレンタカーを借りる前に、特別に設定 […]

投稿 海外旅行者の運転免許について現在検討されていることJAMS.TV に最初に表示されました。

]]>
クリスマスホリデー期間中の交通事故死傷者多数を受け、オーストラリアでは海外旅行者に特別運転免許を取得させようというプランが持ち上がっています。

 

海外旅行者はオーストラリアでレンタカーを借りる前に、特別に設定された運転試験にパスしなければならない、という規制を作ろうという案が出ているようですが、果たしてこれでオーストラリアの交通事故死傷者数を減らすことができるのでしょうか?

 

 

昨年オーストラリアでは、1,000人以上の命が交通事故で失われました。特に夏休み(クリスマスホリデー期間)中は自動車事故が多発しますが、NSW州ではこの期間に1,400件以上の深刻な自動車事故が発生し、28人死亡、450人以上が負傷するという残念で悲しい結果でした。

 

こうした交通事故死者数の増加を受け、早急な法律の見直し・改正を求める声が上がっています。オーストラリアのマルコム・ターンブル首相もそうした声に同調しています。

 

検討中の案その1は、オーストラリアで運転する海外旅行者にテストを実施し、それにパスすれば “Tプレート” を発行する、というものです。つまり海外旅行者は、レンタカーを借りる前にテストに臨み、自分の運転技能を証明しなければなりません。

 

論題的には上記その1と同じですが、別の案(その2)もあります。それは、オーストラリアでレンタカーを借りようとするすべての海外旅行者に、安全講習ビデオの閲覧を義務付け、レンタカー会社にはより厳しい貸出基準の設定を強いる、というものです。

 

メルボルン郊外のグレートオーシャンロードは、オーストラリアを訪れる海外旅行者に人気のスポットです。ビクトリア州道路交通規制機関の統計によると、グレートオーシャンロードで起きた自動車事故(2012年7月~2017年6月)の21%が、外国人ドライバーの運転だったそうです。

 

しかし道路交通安全業界では、海外旅行者の運転に対する規制を厳しくしたところで、大きな効果はないのではないかとの声も上がっています。なぜなら、地元の(オーストラリア人)ドライバーも、無免許、疲労、飲酒・ドラッグ運転や携帯電話使用等で多々、事故の原因を作っているからです。そうしたことから、まずは道路交通・自動車運転に関する国内教育や規制向上の余地があるのではないか、との意見があります。

 

ところで、現行の規制は?

 

海外旅行者は、英語で記された国際免許証(英語でない場合は、翻訳書類が必須)を携帯すればオーストラリアで車の運転が可能です。現行の規制では、国際免許証の保持以外、テスト(運転試験)はありません。

 

また、ニュージーランドからの旅行者については、オーストラリア国内のドライバーと同等に扱われます。

 

では、他諸国ではどのようなシステムになっているのでしょうか?

海外旅行者の運転に関するニュージーランドの規制は、オーストラリアと同じです。ニュージーランドの異なる点は、ニュージーランドで車を運転しようとする海外旅行者に対し、“ビジタードライバー・トレーニングプログラム”という教育プログラムの提供が準備されていることです。ただしこれは、希望者のみが対象なので、必須ではありません。いくつかのレンタカー会社では、このプログラムを受講し、修了証を取得した海外旅行者向けにディスカウントが用意されているようです。

投稿 海外旅行者の運転免許について現在検討されていることJAMS.TV に最初に表示されました。

]]>
交通事故 vs テロリズム https://www.jams.tv/law/92516 Fri, 15 Dec 2017 01:54:20 +0000 https://www.jams.tv/?p=92516 交通事故とテロ、死者数が多いのはどっち? テロが起きると、当然のことながらニュースで大きく取りあげられます。しかしテロで犠牲になるよりももっとたくさんの人たちが、毎年、車の事故で死傷しているのを知っていますか? 2015 […]

投稿 交通事故 vs テロリズムJAMS.TV に最初に表示されました。

]]>
交通事故とテロ、死者数が多いのはどっち?

テロが起きると、当然のことながらニュースで大きく取りあげられます。しかしテロで犠牲になるよりももっとたくさんの人たちが、毎年、車の事故で死傷しているのを知っていますか?

2015年の世界の交通事故死者数はおよそ120万人。これに対して、同年のテロによる死者は約3万人でした。

エコノミスト・インテリジェント・ユニットがこのほど発表した「世界の都市安全性指数ランキング2017」によると、東京が世界で最も安全な都市として1位、そして3位には大阪が入りました。東京や大阪は、サイバーセキュリティ分野(東京がトップ)や医療・健康環境の安全性分野(大阪がトップ)、個人の安全性分野において上位につけました。

オーストラリアを見てみますと、総合ランキングでメルボルンが5位、シドニーが7位という良い結果でした。ちなみに2位はシンガポール、4位はトロントです。

 

大都市ニューヨークは、その崩壊しつつあるインフラを理由に、総合21位という残念な結果でした。

こうした年次評価は、都市の交通手段とインフラの関連性や自動車事故の危険度に関する調査にまで及んでいます。健康保険や社会保険制度に与える影響の大きさから、交通事故防止のための対策も重要視されるようになってきています。適切な都市デザインによって、事故発生のリスクが低下すると考えられるからです。

 

また、この調査報告は、ワシントンD.C.の自動車事故率が著しく高いことを明らかにしています。ワシントンD.C.では、住民100万人あたり1年間に35,000件以上の事故が発生しているのだそう。他の主な都市、例えばトロントは住民100万人あたり1年間に5,000件以下の事故数ということなので、どれほど多いかがわかりますよね。

テロリズムは、都市のリスクとして多くの注目が集まりますが、最初にも述べた通り、自動車事故の死者数(2015年に120万人)の方がテロの犠牲者数(同年3万人)よりもかなり多いということを肝に銘じて、普段の車生活にも気をつけましょう。

投稿 交通事故 vs テロリズムJAMS.TV に最初に表示されました。

]]>
ワーホリを搾取する雇用主にオーストラリアの裁判所が厳しい判決 https://www.jams.tv/law/91529 Tue, 05 Dec 2017 07:07:30 +0000 https://www.jams.tv/?p=91529 2017年11月連邦巡回裁判所において、日本食系ファストフード店で働くスタッフへの不当な低賃金支払いに関わった会計事務所に、罰金刑が言い渡されました。これは、労使関係を取り締まる国の監視機関(会計事務所を訴えた)にとって […]

投稿 ワーホリを搾取する雇用主にオーストラリアの裁判所が厳しい判決JAMS.TV に最初に表示されました。

]]>
2017年11月連邦巡回裁判所において、日本食系ファストフード店で働くスタッフへの不当な低賃金支払いに関わった会計事務所に、罰金刑が言い渡されました。これは、労使関係を取り締まる国の監視機関(会計事務所を訴えた)にとって意味のある勝訴であると同時に、ワーホリを含めたオーストラリアの労働者搾取に加担した会計士など、外部のアドバイザーにも法的責任が及ぶことをはっきりと世間に示した判決でもありました。

 

連邦巡回裁判所は、ビクトリア州の会計事務所「Ezy Accounting 123」のクライアントで日本食系ファストフード店を経営する「Blue Impression」社によるスタッフへの不当な低賃金支払いに関わったとして、同会計事務所にAUD$53,880.00の罰金刑を科しました。それ以前に、メルボルン店で働いていたワーホリスタッフ2名に不当な低賃金を支払っていたことを認めたBlue Impression社には、罰金AUS$115,706.00が言い渡されています。これらの罰金刑は、フェアワーク・オンブズマンが起こした訴訟の結果、連邦巡回裁判所が下した判決でした。

 

 

不当な低賃金で雇われていたのは会計事務所のスタッフではなく、会計事務所のクライアントである日本食系ファストフード店のスタッフであったことから、判決は、会計士を一種の“従犯(共犯)”としました。会計士は給与計算サービスをクライアント(日本食系ファストフード店の経営者)に提供しており、これには法定賃金以下の時給であることを知りながら、ファストフード店スタッフへの給与支払いを実行していたことも含まれます。搾取されていた20代のスタッフには、ファストフード業界の報酬規程に沿った祝日・週末出勤手当や、カジュアル・スタッフに対する割り増し賃金を無視した、

最低賃金に満たない一律の時給で、給与が支払われていました。また、規程で認められているユニフォーム手当や、就業中の適切な休憩時間も与えられていませんでした(法律違反)。

 

オーストラリア連邦政府の直轄機関であるフェアワーク・オンブズマンは、労使関係の法律が守られているかどうかの見張り番です。雇用条件、特に最低給与の順守や各種休暇の付与が適切であるか、厳しく取り締まっています。フェアワークが扱っているのは、概ね雇用主と被雇用者間の問題ですが、今回の判決で労働者の権利が直接の雇用主を超えたところにまで及んだことで、今後への影響力は大きいでしょう。

 

問題の会計士は裁判の中で、不当な低賃金を受け取っていたのは会計事務所のスタッフではないと反論しました。労使関係の法律は通常、雇用主(ボス)と被雇用者(スタッフ)の関係を定めています。しかし今回の画期的判決において、John O’Sullivan判事はこのように述べました。“クライアント(日本食系ファストフード店の経営者)から給与計算サービスを任されていたEzyは、自所の事業利益よりも法の順守を優先すべきである。” さらに判事は、弱い立場に置かれていた2名のスタッフ(ワーキングホリデーでオーストラリアに滞在)が “搾取の被害者”になってしまったと指摘しました。会計士は会社の給与計算を手伝っていたことから、最低賃金に満たない時給だったことも知っており、それに対して判事は、会計士が“違法性を認識していながら”それに携わったことは“たちが悪い”と述べました。

 

直接の雇用主を超えて、スタッフへの不当な低賃金支払いを助けた外部のアドバイザー(会計士)にまで労働者搾取に関する責任が及んだ今回の判決は“補助的責任法”として知られています。もしあなたが、搾取の現状(とりわけ、ワーキングホリデーで働く人たちは、オーストラリアの労働関連法について知識不足だったり、人によっては言葉の壁があったりして、雇用主との関係で弱い立場に置かれている)を知りながらそれに関わった場合、多額の罰金刑が科せられる可能性があることが、今回の判決によって明確になりました。会計士のような信頼できるアドバイザーは、自身が違法行為を犯してしまうことのないよう、クライアントに法規をきちんと説明し、理解してもらう義務があります。

 

フェアワークのウェブサイトwww.fairwork.gov.auでは、職場での(雇用主・従業員)の権利や義務について詳しく説明しています。また電話13 13 94で、無料アドバイスを得ることもできますので(通訳が必要な場合、最初に13 14 50へ電話)、積極的にこうしたフェアワークのサービスを利用してはいかがでしょうか?

投稿 ワーホリを搾取する雇用主にオーストラリアの裁判所が厳しい判決JAMS.TV に最初に表示されました。

]]>
インディジネス・アーティストの法的勝利 https://www.jams.tv/law/89042 Fri, 10 Nov 2017 06:15:11 +0000 https://www.jams.tv/?p=89042 先月、レジェンド・プレス社は、インディジネス・アーティストのアルバート・ナマジラによる絵画の版権を1豪ドルで売却することに同意し、オーストラリア史に残る感動的な係争決着となりました。 オーストラリアで最も有名なアボリジナ […]

投稿 インディジネス・アーティストの法的勝利JAMS.TV に最初に表示されました。

]]>
先月、レジェンド・プレス社は、インディジネス・アーティストのアルバート・ナマジラによる絵画の版権を1豪ドルで売却することに同意し、オーストラリア史に残る感動的な係争決着となりました。

オーストラリアで最も有名なアボリジナル・アーティストといえばアルバート・ナマジラ、であることにほぼ間違いありません。1902年生まれのナマジラは、1940年代に水彩画家として人気を博しました。彼は、オーストラリア大陸中央部の壮大な景色を鮮明な色彩と穏やかな明度で描写しました。

ナマジラによる、穏やかなトーンのピースフルな風景画とは正反対に、その著作権をめぐって長編物語のような争いが起こっていました。

ナマジラの絵画の著作権については、ナマジラの子孫たちが白人経営の美術出版社、レジェンド・プレス社と争っていました。シドニーのノースショアを拠点とするレジェンド・プレス社は2度の法的取引を通して60年もの間、ほぼ、あるいは完全にナマジラの著作権を有していました。

ナマジラの子孫と出版社の争いは、オーストラリア史上最も感情的で議論を呼ぶ著作権争奪合戦となりました。

最初の法的取引は1957年にまで遡ります。ナマジラは、オーストラリアの市民権を得たのですが、その3週間後に彼の版権のほとんどを、レジェンド・プレスの美術品ディーラーであるジョン・ブラッケンレッグに10ポンドで売却してしまいました。

この取引には利点もありました。例えば、レジェンド・プレス社はナマジラの作品をクリスマス・カードやカレンダーとして複製したので、インディジネス・アーティストのナマジラの絵がオーストラリアの家庭でとても親しまれるようになりました。一方で、この著作権取引は“搾取的”と批判されることもありました。なぜなら、ナマジラの識字能力が完全ではなかったからです。

2回目の著作権取引は1983年に起きました。ノーザンテリトリー公益信託がナマジラ・ファミリーの同意を得ずに、ナマジラ作品の著作権のすべてをレジェンド・プレス社に8,500ドルで売却してしまいました。

1959年、アルバート・ナマジラはに悲惨な状況で亡くなりました。1983年の著作権取引以来34年もの間、ナマジラ・ファミリーは有名な祖先の美術作品が複製されても、1セントも得ることができなかったのです。

 

 

しかし先月、歴史的快挙が起こりました。レジェンド・プレス社がナマジラの版権をナマジラ・レガシー・トラストに譲渡したのです。この新組織は、アルバート・ナマジラの子孫と大陸中央部にある彼らのコミュニティーの利益を代表しています。

今回の著作権譲渡はたった1ドルで取引されました。何十年にも渡ってレジェンド・プレス社が断固保有し続けていた著作権は放棄され、ナマジラ・ファミリーとの係争は終わりました。これによって、息をのむほど美しいナマジラの風景画は世界でより広く親しまれることとなるでしょう。今回のことで、画家ナマジラのドキュメンタリーや本の製作も今後期待されます。

投稿 インディジネス・アーティストの法的勝利JAMS.TV に最初に表示されました。

]]>
オーストラリアで “ギグワーカー” が労災に遭ってしまったら? https://www.jams.tv/law/87587 Wed, 01 Nov 2017 00:36:16 +0000 https://www.jams.tv/?p=87587 ギグエコノミー: 非正規雇用が多い労働市場 ギグワーカー: オンライン上で仕事を受注するフリーランサーなど 欧米諸国では Uber、Deliveroo、Fedora など、オンラインサービス(アプリ)の人気が高まっていま […]

投稿 オーストラリアで “ギグワーカー” が労災に遭ってしまったら?JAMS.TV に最初に表示されました。

]]>
ギグエコノミー: 非正規雇用が多い労働市場

ギグワーカー: オンライン上で仕事を受注するフリーランサーなど

欧米諸国では Uber、Deliveroo、Fedora など、オンラインサービス(アプリ)の人気が高まっていますが、オーストラリアも例外ではありません。そして、それに伴った雇用状況の変化も起きています。今、人気沸騰中のオンラインサービスを見る限り、オーストラリア人は “ギグエコノミー” を歓迎しているようですが、こうしたオンラインサービスは消費者そして働き手に恩恵をもたらす一方で、新たなチャレンジも作り出しています。

アーンスト・アンド・ヤング会計事務所が最近行った調査によると、“ギグワーカー”の数はこの10年で66%も増えたそうです。また、2020年までには労働者の5人に1人程度が、UberやDeliverooのドライバーのような非正規雇用に関わることも予測されています。これらは、正規社員として働くよりも、単発の仕事を請け負って生計を立てている人の増加を表しています。昨年のデータで見ると、オーストラリアでは約1/3の労働者がフリーランスで働いていました。

 

ギグワークには目に見えないコストがある?

オーストラリアのギグワーカーは、他の(ギグワーカーでない正規雇用)労働者と変わらない雇用条件下で働けるのでしょうか?

実際、ギグワーカーは標準に満たない労働条件で働いていることが懸念されています。例えば、オーストラリアの他の労働者は、最低賃金を設定した法律で守られていますが、ギグワーカーにはこれがありません。もちろん、ギグワーカーとして働くことは自由度や柔軟性の点で優れており、良い面もあります。

 

自由 vs 操られる

短時間で仕事を終えることに価値を見出しているのが、ギグワーカーの典型だと思います。また、ギグワークを副業にすれば、お小遣い稼ぎにもなります。

しかしオーストラリアのギグワーカーには、病気休暇、有給休暇、解雇に関する事前通告などがなく、大事なスーパーアニュエーションもありません。なぜならギグワーカーは、独立したコントラクターとして仕事を請け負うからです。マイカー相乗り運転手、便利屋、犬の散歩代行者やホームヘルパーなどのギグワーカーには、オーストラリアの労働法が適用されません。つまり、最低時給が設定されていないのです。オーストラリアの他の労働者は、最低限の雇用環境、例えば最低基本時給、休暇手当や永年勤続手当等の付与を定めた法律で守られています。また、ギグワーカーは仕事に使用する機材・道具を自分で用意する必要があり、そのメンテナンス費用も個人負担です。

結果、オンラインサービス“アプリ”のオーナー(会社)は、スーパーアニュエーション、労災補償、休暇手当、特定の税金等の支払いをしなくても良い場合が多いです。働き手は、何かの問題、例えば労災に遭って初めてこうした状況について考える、ということが少なくありません。オーストラリアの他の労働者は、国の労災補償制度によってカバーされているため、万が一仕事で負傷しても、治療費や休業中の所得損失分の補償があります。また、ギグワーカーの雇用契約は、オーナーのおもいつきで終了になってしまうこともあるでしょう。こうした状況は、オーストラリア社会に大きな疑問を投げかけています。スーパーアニュエーションに頼ることができないギガワーカーがリタイアしたら、誰がその面倒を見るのでしょうか?

 

 

その他の懸念は ?

より大きな社会的関心は、ヘルスケアです。オーストラリアの標準的労働者が職場で怪我をした場合、労災補償を受ける権利があります。具体的には、手術費や理学療法治療費、再就職のためのトレーニング費用などが、雇用主が加入している労災保険制度でカバーされます。

一方、ギグワーカーが仕事中に怪我をしても、労災補償を受けることができません。その人個人が民間の健康保険に加入していなければ、公的健康保険制度の下で治療を受ける、もしくは、その費用を個人で負担することになります。国民の税金を財源としているオーストラリアの公的健康保険制度は、すでに疑問の余地があります。

ワーキングホリデーで来豪中に、ギグワーカーとして働いていたとしましょう。職場の上司の指示に従って仕事中、不運にも負傷し働けなくなってしまったら、所得はなくなりますし、治療のための出費もあるでしょう。こうした状況を公平と感じますか?では、もしあなたが税金を納めている正規雇用社員、あるいはビジネスオーナーだったとします。あなたが納めた税金の一部が、仕事中に怪我をしたギグワーカーの治療費に充てられることを公平と感じますか?

MBA法律事務所パートナー弁護士のミッチェル・クラークは25年以上に渡って、不運にも労災の被害に遭われた方をサポートしています。労働者を取り巻く労災制度や健康保険制度の問題には引き続き注目し、定期的にこちらで共有させていただきます。

投稿 オーストラリアで “ギグワーカー” が労災に遭ってしまったら?JAMS.TV に最初に表示されました。

]]>
フェイク健康ブロガー、がんに関する嘘で有罪に https://www.jams.tv/law/86004 Wed, 18 Oct 2017 06:30:54 +0000 https://www.jams.tv/?p=86004 健康ブロガーの ベル・ギブソンさんが、食事法“クリーン・イーティング”でがんを克服したなどと嘘を重ね、100万ドルを儲けていたことが明らかになりました。   先月メルボルン連邦裁判所は、この健康ブロガーが犯した5件のオー […]

投稿 フェイク健康ブロガー、がんに関する嘘で有罪にJAMS.TV に最初に表示されました。

]]>
健康ブロガーの ベル・ギブソンさんが、食事法クリーン・イーティングでがんを克服したなどと嘘を重ね、100万ドルを儲けていたことが明らかになりました。

 

先月メルボルン連邦裁判所は、この健康ブロガーが犯した5件のオーストラリア消費者法違反に対し、合計41万ドルの罰金を命じました。ギブソンさんは、代替療法や特定の栄養摂取法で、実際には罹患していなかった脳腫瘍が消えたと嘘をつき、ブログ読者を欺いていたのです。

 

 

裁判所はまた、ギブソン さんが得た利益の多くを慈善団体に寄付すると言っていたのも嘘だったことを明らかにしました。その中でも、手術ができない状態にまで脳腫瘍に侵されてしまったジョシュア・シュワルツ君の家族に、アプリの売上を寄付すると言って実際にはしなかったことが最も深刻な法律違反である、とモーティマー判事は述べました。判事によると“ギブソンさんは ジョシュア君と同じような腫瘍があると言ってジョシュア君と自分の病態をあからさまに比べていたが、それは完全な嘘だった”と。

 

ギブソンさんによるこうした悪事は、ビクトリア州消費者問題(CAV)による調査を受け、2016年6月に民事訴訟が開始されていました。

 

ギブソンさんの嘘に関連した別の罰金刑も生じています。彼女の料理本を出版した出版社ペンギン・オーストラリア社に対し昨年、ギブソンさんが執筆した内容の事実チェックを怠った罰として、3万ドルの罰金が言い渡され、そのお金はビクトリア州消費者法基金に寄付されました。ペンギン社は偽証・不当表示のある本(ギブソンさんの料理本)を出版・販売していたことになり、その料理本は2015年3月に売り場から撤去されていました。

 

食品関連の消費者詐欺のお話は、次週も続きます。次回のコラムでは、DNAバーコーディングで魚、肉、生鮮野菜等の種名を特定する研究が進めば、食品偽装の抑制につながるかも?というお話をしたいと思います。 お楽しみに。

投稿 フェイク健康ブロガー、がんに関する嘘で有罪にJAMS.TV に最初に表示されました。

]]>
DNAバーコーディングが食品偽装抑止に役立つ? https://www.jams.tv/law/85604 Fri, 13 Oct 2017 08:11:01 +0000 https://www.jams.tv/?p=85604 食品偽装は蔓延しており、その経済的影響の大きさを正確に見積もるのは不可能なほど。なぜなら、それはひっそりと行われ、ほとんどのケースで公衆衛生に危険を及ぼすには至らず、偽装が暴かれることがないからです。 アメリカ保存食品製 […]

投稿 DNAバーコーディングが食品偽装抑止に役立つ?JAMS.TV に最初に表示されました。

]]>
食品偽装は蔓延しており、その経済的影響の大きさを正確に見積もるのは不可能なほど。なぜなら、それはひっそりと行われ、ほとんどのケースで公衆衛生に危険を及ぼすには至らず、偽装が暴かれることがないからです。

アメリカ保存食品製造業者協会による最近の調査では、食品偽装による、世界の食品産業界における損失額は年間およそ150億米ドルにも達することがわかりました。

 

食料供給においてもグローバル化が進んでいる今日、生産物はより遠くへ、そしてより速く運ばれていきます。つまり、食品偽装も世界中にはびこっている状況なのです。

 

ジュースを例に挙げましょう。着色料や香味・甘味料が加えられたり、水や安価ジュースで薄められたりしている飲み物が、“100%フルーツジュース”として店頭に並んでいるかもしれません。

また、ブドウ糖果糖液糖つまりコーンシロップでできた“はちみつ”があったり、高価なスペシャル“エキストラバージンオリーブオイル”が実際は混合物いっぱいの安いオイルだったり、“オーガニック”と思って食べていたブドウが実際はオーガニックではなかった、なんてこともあるでしょう。

 

市販の食品生産物の約10%が食品偽装となんらかの関わりがあると言われています。

 

以下は消費者がだまされる典型的な3つの例です。

 

  • 高いオリーブオイル、ワインやチーズなど、偽の高級食品を購入

  • 実際は単に味付けされただけの水分なのに、抗酸化作用のある濃厚ザクロ果汁などと称して販売されている、健康飲料や健康食品の購入

 

  • オーガニック、あるいは遺伝子組み換えではないと偽って売られている商品の購入

オーストラリアの政府系機関は、食品の安全と品質管理を通して、食品偽造の抑止に取り組んでいます。しかし現実問題として、市場にあふれている食品生産物の量を考えると、担当局が商品を一つ一つ検査するのは不可能です。そこで、賢い消費者は一つの解決方法を編み出します。あまりにも良い値段で売られている商品には、ほぼウラがある!(ほとんどが偽物?)ということです。また、オンラインショッピングをする際には、信頼して良い売り手かどうか、レビューを確認してみることが大事です。

さらに、もしなにかおかしなことになったら、それを販売者に伝えたり、政府機関に報告するなど、きちんと苦情を言いましょう!

近い将来、洗練された方法で食品偽装を減らすことができるかもしれません。それは、遺伝子領域の短い塩基配列(DNAバーコード)を用いて種を特定するというテクノロジーの活用です。現時点においてDNAバーコーディングはあまりにも費用がかかりすぎて、消費者が自由に利用できるような段階には至っていません。しかし今後、消費者がスマホをプロダクトにかざして(バーコーディング・アプリを使って)、食品をテストする日がやってくるかもしれません。

投稿 DNAバーコーディングが食品偽装抑止に役立つ?JAMS.TV に最初に表示されました。

]]>