【シドニー13日AAP】 NSW州行政決定審判所(ADT)は12日、レバノン出身のイスラム教徒に対する人種差別発言の謝罪内容が不十分だったとして、ラジオ局「2GB」のベテランアナウンサー、アラン・ジョーンズ氏に2度目の謝罪命令を出した。
レバノン出身の青年が警察をあざける映像を放送したとされるナイン・ネットワークの時事問題番組をめぐって、ジョーンズ氏は2005年4月28日、「レバノン出身の男性の圧倒的大多数が我々の国だけでなく、その遺産も憎んでいることを明らかにする事例といえば、これだ」と発言。また、その男性たちを「害獣」や「雑種」と呼び、「受け入れた国家を全く強姦(ごうかん)、略奪、収奪するのだ」と付け加えた。
この発言を受けて、シドニーに在住している、レバノン出身のイスラム教指導者がジョーンズ氏をADTに提訴した。審判の末、ADTは2009年、ジョーンズ氏が損害賠償1万ドルを同指導者に支払い、8週間以内に公的謝罪を出すほか、ラジオ局に対し、人種差別に関する指針や職員訓練の内部調査を行うよう命令した。
ジョーンズ氏は、ADTの判決を上訴して長い法的紛争を繰り広げたが、2カ月前に敗訴が確定し、今月6日に謝罪を出した。しかし、その内容が不十分だったとして、ADTは12日、同氏に謝罪文を渡し、17日以降の1週間以内に読み上げるよう命令した。