幼少期に養育者などから長期間にわたって虐待を受けた結果、その後の人生も虐待のトラウマに苦しみ、社会生活において葛藤を抱えている人は少なくありません。依然として恐怖、不安、強迫症、解離、激しい感情の起伏などと隣り合わせの生活で、その複雑な要因と症状から、時に複雑性PTSDや解離性障害など別の精神疾患として診断されていたりすることもあります。
今回は、そうした虐待から生き残った「虐待サバイバー」とその影響、治療方法についてシドニーにある心理カウンセリングルームの「こころクリニック」がご紹介します。
「こころクリニック」のやの先生は、心理カウンセリングルームを20年以上運営し、30年以上の日本の臨床心理士とオーストラリアの登録サイコロジストとして活躍しています。日本で近年成立した難関の「公認心理師試験」に合格し、日豪両国で臨床心理士の資格取得後も、心理臨床の専門家として技量向上を目指し、その専門性を維持していくために研鑽を積んでいるサイコロジストです。
オーストラリアにおけるサイコロジストは医療資格であるため、「こころクリニック」ならオーストラリアでの心理カウンセリングに医療保険カバーが適用されます。メディケアをお持ちの方は対面も遠隔も、バルクビル(自己負担なし)で診察。先に一般医GPの紹介があれば、ワーホリや留学生の海外旅行保険やOSHC(学生保険)、メディケアなどほとんどの保険で心理カウンセリング費用がカバーされます。
虐待やトラウマ体験を含めた症状や不安、気持ちの落ち込みなど、ここオーストラリアで生活を送りながらも社会生活に支障がある方や、うつうつと感じてしまう方は、同クリニックへ気軽に相談してみましょう。
「公認心理師試験」とは?
公認心理師は、2017年に心理職初の国家資格として新設された試験に合格した人が名乗れる資格。心の問題を抱えた人に対して心理学の知識と技術を用いて援助する専門家の中でも、公認心理師は「唯一の日本国家資格」です。
主な役割は、心理的な問題を抱えた人に対してカウンセリングを実施、問題を分析し、助言や指導をし、問題解決まで導くこと。それに加えて、心の健康に関する知識を一般に広げるために、積極的に教育活動や情報提供をしていくことも大事な役割としてあります。
「虐待サバイバー」とは、虐待を受けた経験を持つ人々のことを指します。「サバイバー」とは「生き延びた人」という意味で、虐待サバイバーには、身体的、性的、心理的な虐待や、ネグレクト(放置、無視)を経験した人が含まれます。
しかし、これまで生き延びていても今に辿り着くまでの人生を他人が知り及ぶことはできず、虐待サバイバー自身は今までにさまざまな問題や障害にみまわれ、社会的に苦労していることが多くあります。たとえば、心的外傷後ストレス障害、うつ病、不安障害、パーソナリティ障害などが挙げられます。
虐待には主に身体的虐待、心理的虐待、性的虐待、ネグレクトの4つの種類があります。ただし、虐待サバイバーの受けた被害のうち、虐待がどれか一つだけであることは少なく、複数にわたって行われることが多くあります。そして、虐待を受けたことによる影響は非常に深刻で、脳が萎縮した状態になることもあると言います。脳の萎縮とは神経細胞の減少のことです。
2019年、理化学研究所*で、哺乳類の脳が作られる際に神経幹細胞が柔軟に形を再生する仕組みが発見されました。
「脳の神経細胞はいったん破壊されると再生しない」というのが通説でした。そして、外からの衝撃だけでなくアルコールや薬物など内からの要因によっても神経細胞は損傷し、脳は萎縮します。そうすると、脳の機能が低下している状態になってしまうのですが、一度でも萎縮した脳は戻らないと思われていたのです。
しかし、理化学研究所によると、大人の脳の中に神経細胞になることができる神経幹細胞を発見したとのこと。これまで神経幹細胞は胎児や新生児の脳にしか存在しないと考えられていたので、当時の大発見でした。とはいえ、その神経幹細胞が大人の脳にとってどういう役割を果たしているのかは未だに解明されてはいません。
ここで重要なことは、脳の機能は神経細胞の数だけでは決まらないということ。萎縮していても脳は神経細胞間のネットワークによって機能的に働くこともあるからです。当時発見された神経幹細胞によってそのネットワークが復活するのかどうか、今後の研究が待たれます。
その復活が可能なら、脳が萎縮してしまった虐待サバイバー、トラウマによる活動低下に苦しむ人、その他にも高次脳機能障害や認知症、統合失調症などによって脳が萎縮した人々にとって、新たな希望となるかもしれません。
シドニーにある「こころクリニック」のサイコロジスト、やの先生は、発見された神経細胞間の働きが今後の心理的なアプローチにも影響を及ぼすと考えています。神経幹細胞について実態が明らかになることで、その成長をサポートするための効果的な心理アプローチもあるかもしれないからです。
Riken: Stem cells exert tight control over the timing of brain development, 2020(理化学研究所: 神経幹細胞の再生能を発見, 2019 Dec. 24 )
こうした問題の治療には、現在は、心理カウンセリングでサイコロジストなど専門家による認知行動療法、精神療法、EMDRといった治療が用いられます。また、自治体やNPO団体などによって運営されている自助グループに参加することで、同じ虐待サバイバー同士が経験を共有し、これからの人生を支え合うことができます。
虐待サバイバーの多くが過去のトラウマに苦しんでいますが、それは永遠に続くものと決定されてはおらず、自分に合った治療法と治療者を通じて、徐々に回復することも今は可能なのです。
カウンセリングや心理療法を始める前には、アセスメントが重要となります。たとえば、気分障害のように思われていた無気力や意欲低下が、過酷な虐待が続くなかでの無力感からくるものかもしれません。統合失調症のような迫害的妄想や幻聴もまた、虐待という恐怖が別の形で表出している状態かもしれません。パーソナリティ障害の不安定な人間関係は、虐待者との関係性とそれによる対人的な不安が現れているのかもしれません。
経験豊富なサイコロジストによるアセスメントでの診断を、患者が認識することから始まり、その上でカウンセリングをするのであれば、サイコロジストは目標や方法を提案し、患者の同意のもとで適切なカウンセリングと心理療法を提供してい苦ことになります。
また、虐待をした側に対する治療も虐待の連鎖を絶つため、これ以上の虐待サバイバーを増やさないためにも重要とされています。虐待をする親や養育者は悪意をもって虐待することもありますが、多くは養育者として育児や生活に困っていることもあり、そのストレスや歪みが子どもに向かってしまい、結果的に虐待になることもあります。そのため、被虐待者のケアはもちろんのこと、彼らを取り巻く保護者や家庭そのものをサポートする必要もあります。
本人と周囲の支援者の心のケアは重要なポイント。苦痛を和らげ今後の人生を取り戻すためには、心理ケアの専門家を受診し、その担当者と二人三脚でコミュニケーションをとりながら、時間をかけても適切な知識を得ること、治療を受けることも考えていくといいかもしれません。
虐待の被害に遭った方は、自分を責めてしまったり恥ずかしいと感じていたりする方も多く、治療につながらないこともありますが、今ここに生き残っていることが何より頑張っている証拠です。虐待に対して抵抗すること、逃げること、凍りつくこと、すべてが生き残るための神経の働きであり、強い・弱いといった差はありません。あなたの神経と身体が、あなたの命を必死に守ってくれたのです。
日本では未だにあまりなじみのないトラウマケアや心理カウンセリングですが、オーストラリア人にとっては身近な存在。カップルカウンセリングやアンガーマネージメントなどちょっとした暮らしづらさの改善や、「期待していたように物事が進まない」といった些細な行き詰まりからでも、悩みが深刻になる前に早めに相談するという習慣があります。メンタルの健康維持のような位置づけとして、機能しています。
シドニーにある「こころクリニック」では、日豪で心理カウンセリングの経験豊富なオーストラリア公認サイコロジストが、虐待サバイバーの人々へのカウンセリングも受け付けています。
また、オーストラリアでは、テレヘルス心理カウンセリングを含めた遠隔医療サービスに、メディケアや学生保険による保険カバーが常時適用されています。クリニックまで行けない方やシドニー以外にお住まいの方も、遠隔の心理カウンセリングを受けることができます。トラウマの治療もメディケアの範囲になるため、「こころクリニック」へ気軽に相談してみましょう。
臨床心理士・やのしおり
電話:0416-006-835(受付時間8:00-22:00 シドニー現地時間)
Email:sydney@cocoroclinic.com「こころクリニック」新カウンセリングルーム
所在地:Suite 4543, Level 45, World Square, 680 George Street Sydney 2000
心理カウンセリングのサイコロジストは、悩みを抱える人々が良い意思決定という形で行動できるようになることを援助してくれます。心理カウンセリングを受ける人は自分の状況や気持ちを話し、サイコロジストはそれを理解するために耳を傾けます。そのプロセスの中で、「わかってもらえた」「すっきりした」などの感覚と経験を得られること、そしてサイコロジストとの信頼関係の中で自分を客観視できるようになり、直面している問題に取り組めるようになることが心理カウンセリングの良いところ。
また、サイコロジストからの的確なサポートから自分の考え方や行動パターンを変えていったり、今後のストレスにどのように対処していくか、自分をどのようにマネジメントしていくか、といったことも習得していくことができます。このようなプロセスをサイコロジストと一緒に歩むことは、現状の問題の改善だけでなく、社会の中でその人があるがまま、美味しいものを食べた時のように楽しく明るい気持ちで、より良く生きることにもつながるでしょう。
このような心理カウンセリングの効果を生むためには、サイコロジストとの関係の質、用いる技法はとても重要なポイント。
「こころクリニック」には、日本とオーストラリアの両国の臨床心理士の資格と経験がある、経験の長い日本人開業サイコロジストやのしおりさんが在籍。Australian Psychological Societyの正会員歴20年以上、臨床経験は30年以上、シドニーの心理カウンセリングルームも20年以上運営しています。
オーストラリアのクリニックで心理カウンセリングや心理療法が可能な職種には、サイコロジスト、サイコセラピスト、カウンセラー、ソーシャルワーカーがありますが、その中でもソーシャルワーカーと並ぶ「医療資格」であり、心理カウンセリングと心理療法を専門とする職種が、サイコロジスト。
医療資格がなく学会員メンバーシップのみで働くカウンセラーやサイコセラピストよりも、サイコロジストの修業年数はさらに長く、その信頼性と専門性は医療保険カバーの範囲にも現れ、サイコロジストはGPの紹介があれば、ほとんどの保険で費用がカバー可能に。
心理カウンセリングの効果は実証研究でも確認されています。例えば、うつの症状に関しては、約50の厳密な研究を通して認知行動療法での明確な効果が示され、うつ症状の改善に寄与し、再発の予防にも寄与しています。
このように心理カウンセリングには的確な技法も求められますが、心理カウンセリングが効果を生むためには、サイコロジストがどのように関われるかといった信頼関係も重要になります。そのため、実績があり相性の良いサイコロジストとの出会いは心理カウンセリングの効果に欠かせないものとなります。
「こころクリニック」の心理療法は、共感的カウンセリングを基本としています。何より大切にしている治療の根本は常に「共感」であり、このサイコロジストの共感力が相談者の自己治癒力を高めることにも一役買います。何でも話せて、気持ちに共感してもらえる関係の中で、サイコロジストとプランニングした現実的なゴールに向かい、一人一人に合ったプロセスを進めていきます。
一回や数回のカウンセリングで終結するケースもあれば、さらに回数を重ねるケースもありますが、カウンセリングを必要としなくなった時が、ゴール達成の時です。サイコロジストとのセッションは終結しても、「こころクリニック」のカウンセリングで得られたことを胸に、現実世界の中で存分に羽ばたきましょう。
上記以外にも相談者に合わせた心理カウンセリングに対応しています。
他にも子どものためのプレイセラピーや日本語の発達・知能検査を行った上での発達アセスメント、カップルまたは家族カウンセリングなども受付中。
「カウンセリングを受けてみたいけど、その前にサイコロジストと話して雰囲気を見てみたい」という方は、電話もしくはビデオ通話にて、5分〜10分程度の説明時間を設け、その際にやりとりしながらカウンセリングを検討していただくことは可能です。もちろん、その場合に料金は発生しません。
また、カウンセリングの費用を保険でカバーするためには、GPによる診断が必要になりますが、「自分の悩みをGPに英語で説明することに不安があり、サイコロジストからの紹介状がほしい」という方は、GPでプランを作られた後の本来の初回セッションをご予約いただける方には、サイコロジストからGPに紹介状を書くための45分無料セッションは設定できる可能性があります。同クリニックまで気軽に問い合わせてみましょう。
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新型コロナウイルスの感染流行が始まって以来、世界的に心理カウンセリングに対する需要が高まっています。これには新型コロナウイルスの直接の感染による身体的・心理的な影響に加えて、長期に及ぶロックダウンなどのパンデミック制限による精神衛生への影響も関係していると思われます。
全国1,400人以上のAustralian Public Service会員を対象とした独自の調査では、全体の88%にのぼるサイコロジストが、心理カウンセリングに対する需要が高まったと回答。また、サイコロジストの3人に2人は、パンデミック以後に新規の患者が増えたと言います。
オーストラリアのサイコロジストは、新型コロナウイルス治療後の患者を心理的にサポートし、長期的なLong COVID(Post COVID)の症状への適応と患者自身によるコントロールを、二人三脚で担ってくれる存在です。
新型コロナウイルスの治療後、その患者の心理的健康やウェルビーイングをモニタリングし、定期的なフォローアップをします。特に、うつ病、不安、社会的孤立、回復の過程に伴う神経的問題のリスク増加の要因を一緒に特定してゆき、認知行動療法、トラウマ焦点型認知行動療法、セルフモニタリングなど一人ひとりに合った対処を施すことになります。
【フォローアップできるLong COVID(Post COVID)の症状】
・抑うつ/不安症状
・恐怖
・PTSD
・疲労/不眠
・認知機能
・日常生活の乱れ
・新型コロナウイルスに感染したことによる社会的悪影響やスティグマ
また、オーストラリアの心理カウンセリングには医療保険カバーが適用されます。
オーストラリアにおけるサイコロジストは医療資格であるため、先に一般医GPの紹介があれば、ワーホリや留学生の海外旅行保険やOSHC(学生保険)、メディケアなどほとんどの保険で心理カウンセリング費用がカバーされます。メンタルケアの重要性を政府や社会が理解していることから、医療資格を持つサイコロジスト(臨床心理士)による心理カウンセリングにも医療保険が効き、永住者であればメディケア保険で診療費がカバーされます。
さらに、オーストラリアの国家資格を持つ「こころクリニック」なら、メディケアをお持ちの方は対面も遠隔もバルクビル(自己負担なし)で診察中。
新型コロナウイルスのパンデミック状況下、テレヘルス心理カウンセリングを含めた遠隔医療サービスにもメディケアや学生保険による保険カバーが適用されています。サイコロジストのテレヘルス・カウンセリングは、クリニックでの対面かテレヘルスか、常時いずれかの方法を選べるようになり、クリニックまで行けない方やシドニー以外にお住まいの方も、遠隔の心理カウンセリングを受けることができます。
カウンセリングルームは、シドニーシティ中心部に位置するワールドスクエアのビジネスセンタービルの45階。45階の受付にて「サイコロジストのやのしおりに会いに来た」旨を告げると、カフェのように快適なラウンジに通してもらえます。このラウンジからのシドニーシティの展望も良く、それだけでも心が開放的になります。カウンセリングルームは個室でプライバシーが守られますのでご安心ください。
臨床心理士・やのしおり
電話:0416-006-835(受付時間8:00-22:00 シドニー現地時間)
Email:sydney@cocoroclinic.com「こころクリニック」新カウンセリングルーム
所在地:Suite 4543, Level 45, World Square, 680 George Street Sydney 2000フェイスブックで心理情報も発信中!
所在地:Suite 4543, Level 45, World Square, 680 George Street Sydney 2000
電話:0416 006 835(受付時間 8:00 – 22:00)
メール:sydney@cocoroclinic.com
営業時間:月~土 8:30 – 20:00(日祝要相談)※予約制
ウェブ:http://cocoroclinic.com
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