シドニーだけでなくゴールドコーストとメルボルンでも、メディカルアロマ、リフレクソロジー、メディカルハーブ、フラワーエッセンスの講座を実施することになったM’s Therapeutic(以下M’s)。ナチュロパス(自然療法士)の諸岡ひとみさんが講師を務めるこれらの講座は、誰でも覚えられるクラフト作りから医療従事者のスキルアップまで幅広く、自分の予算や目的に合わせてナチュロパシー(自然療法)を学べるのがポイント。
「自分を癒して、他の人も癒せるようになる」ひとみさんの講座は、初心者にも看護師などのプロにも人気で、その秘密に迫るためJAMS.TVでは前回、ひとみさんご自身にスポットをあてた取材も実施しました!
入学希望者が後を絶たない人気の理由に迫ります!アロマセラピストで自然療法士でもある Hitomiさんが語る「癒しへのこだわり」とは…。
「自然療法が盛んなオーストラリア」とは言いますが、今回はそもそも「ナチュロパシーとは何なのか?」「ナチュロパスの資格とは何なのか?」をひとみさんに伺い、実際に講座を受講すると製作できるクラフトをいくつか試作してみました!
ひとみさん:ナチュロパシーは、病院に行って薬を処方してもらう現代医療とは違って、 本来身体が持つ「健康になろうとする力=自然治癒力」を高めることにより、失われた身体のバランスを回復させて、そのバランスを保つことで病気を予防することが目的で、世界中で“代替医療”として用いられています。
日本での自然療法は、どちらかというとリラクゼーションや癒しというイメージですが、オーストラリアの自然療法はもう少し化学的で医学的でもあり、ホリスティック(全体医療的)なコンサルテーションを行い、症状を抑えるのではなく、症状を引き起こしている根本原因(心、ライフスタイル、食習慣など)を、まるで探偵のように患者さんと一緒に探るワークをします。
その原因に対して自己治癒力を正常に働かせることにより心身のバランスを整え、その後の健康を維持する方法を伝えます。自然療法の具体的な治療法は、ハーブなどの生薬療法、栄養学(食事やサプリメント)、ホメオパシー、物理療法(クレニオセイクロ、リンパドレナージュなど)などがあります。現代医学は急性疾患の治療に向き、ナチュロパシーは慢性的な疾患の治療に向いているともいえます。
現在では、世界保健機構(WHO)も通常の医学とナチュロパシーの統合を勧めています。
西洋医学の対症療法的な治療では限界のある慢性の症状や、病気の予防、自己免疫疾患の症状のコントロールなどを得意とします。喘息を始めとする慢性の呼吸器系疾患や、皮膚疾患、消化器系障害、免疫低下などのほか、うつやストレスや病名はつかない些細な不調もサポート。
ひとみさん:ナチュロパシーでは、よく「Body/Mind/Spirit」という言葉を聞きます。身体を整えて自然治癒力を高めていくには、心や精神面のサポートも必要。 特に慢性的な症状は、治癒できるまでに時間がかかります。 同じ症状が繰り返される場合などは、予防にも焦点を当てていきます。
例えば今年は花粉症がひどいと言われていて、私自身もアレルギー持ちですが、アロマやハーブを代用することで薬はほとんど飲まないままでいられます。それでも、どうしようもない時は薬を飲みます。何でもアロマやハーブ、とならないように気をつけなければなりません。尋常でない痛みや熱、吐き気、出血などがある場合は、まずお医者様に会うように勧めています。
私がナチュロパス(自然療法士)の学校に通っていた頃も、「今日は頭痛がひどくて。何かいいハーブはありますか?」と先生に尋ねると、彼らは決まって「パナドールを飲みなさい」と。「どうして? 薬に頼りたくないからナチュロパシーを学んでいるのに」と私が訊きますよね。先生の言い分は「今、痛いんでしょう? 痛くて勉強できないなら、まずは痛みを抑えるのが先でしょう」というもの。
じゃあ、ナチュロパシーは何なのか? 頭痛になる前に予防をすること。どうしたら頭痛にならないか、を考えて実践していくことが大事です。
じつは私がナチュロパスの学校に通ったのは、40歳を過ぎてから。前職でツアーガイドをやっていた頃は、コーヒーを1日に7杯飲み、水をあまり飲まず、職業柄トイレも我慢する、といった身体に悪いことばかりしていましたが、当時の自分はまったく気づかないまま……何も考えずに頭痛薬を常備していました。ツアーガイドを辞めた理由は、慢性の気管支炎が辛くなってのこと。最後の7、8年は本当に咳ばかりしていて、それもホメオパシーやハーブ、アロマを試して本当によくなったんです。ナチュロパシーを勉強しはじめた頃から、何がいけないのか、すうっと分かるようになりましたね。
「医者に行くほどじゃないけど」という症状にこそ、アロマやリフレクソロジー、ハーブなんです。人によって症状が細かく違う月経症候群にも効果的だと思います。
ひとみさん:自然療法を使う専門家のナチュロパスは、「代替医療の総合医」のようなものです。患者さんの全容を把握して根っこの原因を探す作業をするため、ナチュロパスの学校では多岐にわたる分野を4年ほどかけてじっくりと学びます。広範囲な知識と技術を必要としますが、やりがいのある仕事。また、卒業後にプラスアルファの分野を習得するナチュロパスもいるため、人によって得意分野が異なります。私の場合は合計8年間みっちり勉強し、占星術や霊気、クリスタルヒーリングなどの知識もあります。
アロマというとリラクゼーションとコスメティックのイメージが強く、実際に約95%のアロマがそのような使い方をされていますが、私はアロマやハーブの処方箋も書ける資格も保持していますので、一般のアロマセラピストとは違ったアプローチでアロマを取り入れ、健康を考える方法も伝えていきます。
ナチュロパスの必須科目には、
などがあります。前半は医師や栄養士のよう!
このように膨大な学びを経て、メディカルハーブや栄養療法、アロマセラピー、マッサージ、フラワーエッセンス、ホメオパシー、カウンセリングといったナチュロパスで用いる治療法や健康に導く方法“モダリティ”に精通することができます。これらのモダリティを最適な形に組み合わせて、体内から健康に導く専門家となれるのです。
オーストラリアには6,000人あたりに1人のナチュロパスがいると言われていて、薬局や健康食品店で働くナチュロパスもいれば、代替医療クリニックや総合医療施設、そして医師とともに働くナチュロパスもいます。オーストラリアのナチュロパスは医者ではないので、診断を下すことは許されておらず、「あなたは○○病です」とか「これで治ります」とは言ってはいけません。
では、ナチュロパスは実際に何をするのでしょうか? 食生活指導からカウンセリング、医療用を含むサプリメントやメディカルハーブの調合と処方、マッサージを始めとするボディワークまで、数々の様式の中から個々の患者にじっくりと向き合い、最適と思われる方法でアプローチしていきます。
日本ではあまり見かけない総合医療施設も、オーストラリアの都市部には比較的多く存在し、医師、ナチュロパス、鍼灸師、栄養士、整体師などが各クリニックルームに常任し、医師からナチュロパスに紹介されたり、ナチュロパスから整体師に紹介されたり、専門家同士でサポートし合えるようになっています。また、ナチュロパス協会に正式登録しているナチュロパスの場合、ほとんどの民間の健康保険で診療費をカバーしてもらえます。
身体と心の不協和音を調律する調律師のようなナチュロパス! 「その人をじっくりカウンセリングして、その人だけに合うオリジナルのナチュロパシーを伝えていきたい」とひとみさんは語ります。
ひとみさんのご職業に関するお話を終えたところで、実際に講座の中で製作できるクラフトを3つ、JAMSスタッフが体験してみました!
ひとみさん:私の講座は、アロマもリフレクソロジーもハーブティーも、すべて実際に自分だけでやれるようになることが目的。リフレクソロジー講座も、3週間後には何も見ずに1時間半のトリートメントをできるようになっていますよ。
クラフトは材料を揃えるのも大変でしょうから、M’sで1度作ったものは、事前予約さえ入れてくれたら私が材料を用意しています。生徒さんは、いつでもM’sでクラフトを製作していいんですよ。ボトルに貼るシールも、手作りで用意していますから。日本へのお土産にリップバームを15個くらい作った生徒さんもいます。
ひとみさん:東日本大震災の仙台の被災地にはアロマの香り袋を、熊本地震の被災地にはハーブ石鹸を、それぞれ事前に連絡を取り合っていた避難所に配ってきました。迷惑にならない自分にできることをしたかったんです。香り袋は簡単ですし、ほとんどの精油に殺菌効果があることからタンスに入れておくだけでもいいし、旅行の時にも臭い消しにと殺菌用にさまざまな場面で使えますよ。
ひとみさん:じゃあ、今日の症状で香りを決めてみましょうか。
スタッフ:週の始まり(取材日は月曜日)で、ちょっと憂鬱な感じです。それに、鼻づまりとお腹の調子があまりよくありません。
ひとみさん:じゃあ、タスマニアラベンダーを2滴くらい端に垂らしてください。振らずに、そうそう、ゆっくりね。
スタッフ:ラベンダーは匂いが強くて苦手だったんですけど、今までのラベンダーと違ってスッと入ってくる香りですね!
ひとみさん:次にフラゴニアを1滴くらい垂らしてください。このラベンダーの匂いに別の精油を混ぜる。アロマはこれがおもしろいんです。
スタッフ:あっ、2滴くらい落ちてしまいました! ちょっと違う香りになりました。鼻が通って気持ちいいです。
ひとみさん:意外と適量はむずかしいでしょう。最後にオレンジを3滴くらい垂らしてください。
スタッフ:また違う香り、フレッシュで香水っぽい。
ひとみさん:オレンジは抗うつ効果があり、お腹にもいいんですよ。じゃあ、端から巻いて布に包みましょう。
スタッフ:小さいのによく香りますね。ありがとうございます!
ひとみさん:カバンに入れておくだけで1週間程度いい香りがしますよ。
ひとみさん:アロマはレシピレシピと言われますが、個人によって匂いが大きく変わることもあります。以前、生徒さん3名に、私の言った通りに調合してもらったことがあります。各自調合したものを手のひらで温めてから匂いを嗅いでもらうと、3つとも違う匂いになりました。「3滴」と言ったら、ポツポツポツと垂らす人もあれば、ポタタタッと垂らす人もいますし、手のひらで温める時の体温によっても違いが出るからなんですよ。
じゃあ、香りのもとになる精油を3種類選びましょうか。
スタッフ:コレにします! タスマニアラベンダーが気に入りました。
ひとみさん:ラベンダーとフラゴニア、グレープフルーツの3種類ですね。ラベンダーは万能ですから何でもオッケーなんですよ。鼻づまりや炎症も緩和してくれます。グレープフルーツはリンパを流してくれるので、肩こりや交感神経系にもいいでしょう。
スタッフ:なるほど。
ひとみさん:3本の精油のボトルを両手で包み、同じ高さにそろえて回しながら嗅いでみてください。今の香りの比率は5:5:5ですが、グレープフルーツが多い方がいいとかラベンダーが少ないほうがいいとかありますか?
スタッフ:うーん、グレープフルーツが多くて、フラゴニアは少なめがいいかも。
ひとみさん:今回はホホバオイルをベースに、全部で15滴の精油を加えます。 3つの精油で、全15滴になるように、その割合を各5滴ずつから、少し変えてみましょう。 グレープフルーツのボトルの高さをほんの少し上げ、フラゴニアのボトルをほんの少し下げてみてください。 これでグレープフルーツ 6:ラベンダー 5:フラゴニア 4 くらいです。
スタッフ:あっ、グレープフルーツが前より効いてます。
ひとみさん:その香りの比率でよければ、ラベンダーから順に、香りの比率と同じ数だけ、精油をこのボトルに垂らしてください。あまり多く空気が入ると香りが出てこないので気をつけてください。
スタッフ:ラベンダー5滴、フラゴニア4滴、グレープフルーツ6滴ですね。
ひとみさん:最後に、この蓋を思いきり押し込んで栓をしてください。
スタッフ:できました!
ひとみさん:初めにクルクル回してしてから、手首の内側に塗って、そっと香りを嗅いでみて。
スタッフ:わあ、好きな香りです。お店に売っていない自分のオリジナルができてうれしい!
ひとみさん:「香水は匂いだけで買うな」と聞きませんか? 「香水をつけたら必ず1時間くらいおいて、その後に匂いを嗅ぎなさい」と言いますよね。これはトップノート・ミドルノート・ベースノートの違いによるものです。
メディカルアロマにおいて身体の不調に焦点を当てる場合は、香りのノート(調香)はあまり重要視しませんが、その症状が精神的なことに起因する場合や、香りを楽しみたい場合には、ノートを考えるといいかもしれません。
●ノート
香り成分が揮発するスピードに着目した分類。
トップノート:最も速い揮発速度で、10分から20分程度持続する。フレグランスの第一印象。柑橘系や爽快感のあるハーブ系、樹木系の精油に多い。
ミドルノート:トップノートに続いて香り、3、4時間程度持続する。ハートノートとも呼ばれ、フレグランスの軸となる。ハーブ系、フローラル系、樹木系、スパイス系などの精油に多い。
ベースノート:最も遅い揮発速度で、6時間以上たっても香りが持続する。フレグランスの余韻。オリエンタル系、樹脂系の精油に多い。
ひとみさん:香水を肌につけてから、香りのエッセンスが揮発して実際に香る過程で、揮発しやすい成分から順々に飛び出していきます。 その結果、香水は時間とともに香りのグラデーションを描きながら、どんどん変化していくことに。 初めに飛んでいってしまうのは、ユーカリや柑橘系。ラベンダーはそれより少し重いから、柑橘系が飛んだ後に香ります。ベースノートは長い時には2、3日後にも香ります。お寺のお線香が分かりやすい例でしょう。
ひとみさん:講座のひとつに「ハーブティー&フラワーエッセンス」がありますが、自分自身の体調や気分に合わせて飲めるハーブティー・ブレンドを作れるようになることを目標にします。今回は、私がリクエストに合わせてブレンドしてみますね。
スタッフ:それでは「元気が出るレシピ」をお願いできますか?
ひとみさん:ハイビスカスとローズヒップ、エルダーの花と実などを入れてみました。
スタッフ:いい香り。ほんのり甘酸っぱいです。
ひとみさん:すべて自然の甘さですよ。
スタッフ:少し効いているはミントですか?
ひとみさん:そう、スーッと爽やかで気持ちいでしょう。
スタッフ:はい、これは元気が出ますね!
ひとみさん:「ハーブ講座」は4日間あり、そのうち3日間がハーブティー、1日間がフラワーエッセンスについて学びます。ハーブティーは「イライラとおさらば!生理症候群ブレンド」や「ぐっすり眠れる!不眠症ブレンド」、「二日酔いの朝用ブレンド」など自分のお好みで。
ひとみさん:生徒さんには、習ったことは自分で全部できるように、私がいなくても大丈夫なように成長してもらいたいんです。「痛みにいい精油は何?」と訊いたらポンと返ってくるようにしたい。まず一番は自分を癒してほしいし、次にまわりの人を癒して、仕事にもつながるなら仕事にも生かしてほしい。楽しいだけじゃなく、しっかり勉強して使えるようになれば、自分にも他者にも健康を意識させて自己改革に導いていけます。
どうぞ、気軽に相談してくださいね。
現在ひとみさんは日本に出張中! その後も2018年1月までシドニーを離れて、ゴールド・コースト、メルボルン、そして再び日本と、他都市を訪れて講座を開講していきます。
日本在住や帰国予定の方も、メールで気軽に問い合わせてみましょう。
ゴールド・コーストは4、5日間の短期集中コース、メルボルンは看護師対象の長いコースまで、待望のシドニー以外の都市でのアロマセラピー集中コースも残席あり!
https://www.jams.tv/beauty/79650
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