7 August 2023

◎＜ポイント＞ドル円144近辺に上昇後、141円台に反落して越週

・先週は週半ばから米国はじめ主要国の株価に調整が入り、「リスク回避のドル高」でドル円は一時143円台後半まで上昇した。
・フィッチが米国の格付けをAAAからAA+に引き下げたこともリスク回避を呼び、米債が売られて利回りが上昇したことがドルを支えた側面も。
・その他ドル上昇要因―日銀が積極的に連日買いオペを実施し、日銀の緩和姿勢変わらずとしてドル円を押し上げ。
英MPCでは一部の50bp利上げ予想に反して、利上げは25bpに留まり、市場のターミナルレート予想は低下し、失望のポンド売りとなる。
RBAは一部の利上げ予想に反して金利据え置きとし、加えてリスクに敏感な豪ドルが67セント台から65セント台に下落。
・ただ週末の米7月雇用統計に向けて徐々にドルは調整反落し、nfprの伸びが市場予想を下回ったことからドルが売り戻され、ドル円は141円台後半まで反落して越週した。
・今週の焦点は木曜日の米7月CPIであるが予想は、やや反発の+3.3%(前回+3.0%)。ピークの9.1%(昨年6月)の比べて1/3レベルまで低下しているが、ここから大きく再上昇とも考え難い。
・一方日銀の積極的な買いオペにもかかわらず日本の10年債利回りは0.64%レベルにじり高推移しており、この流れは1%に向けて続くだろう。
・日銀の金融政策が正常化に向かうのは良いことであり、日銀の責務と考えるが、一方金融政策の庇護を受けない日本経済・財政政策が“実力レベルに”戻る過程で、本邦からの資金の流出が活発化し大幅円安となるというのが筆者の見立て。
・ただ日銀の金融政策正常化への長い道のりを考えると、それに起因する大幅円安の時期もまだ先であり、目先は144円近辺まで上昇した“買われ過ぎ”の揺り戻しで反落し、結局135-140レンジに落ち着くものと考える。

◎＜豪ドル相場＞――ドル高プラスリスク回避で65セント台まで下落

先週の相場レンジ―AUDUSD 0.6514-0.6739  AUDYEN  92.96-95.83
今週の予想レンジ―AUDUSD 0.6450-0.6750  AUDYEN  90.00-95.00

・先週はリスク回避のドル高地合いの中、リスク感応度が高い豪ドルに売りが集中。対円でも一時ドル円の上昇を受けて95円台を付けたが、結局92円台まで反落した。
・RBA理事会で一部市場が予想する利上げに反して、RBAが2月連続で金利据え置きとしたことも、ターミナルレート達成観測を呼び、豪ドルの上値を重くした。
・ただ週末の米7月雇用統計で就業者数の伸びが予想を下回り、ドル高に調整が入ったことから豪ドルも65セント台で下げ止まりを見せている。
・今週も「豪ドルは米ドルの受け皿」で米ドル動向が注目されるが、重要ポイントの65セントを割りこむには、更なるリスク回避相場の拡大とドル高が必要であろう。
・テクニカルにも65セント、90円というサポートレベルを一気に下にブレイクするだけのエネルギーは今のところ感じられず、むしろレンジの下限近くにいるとの認識。
・ただ高金利の豪州経済への影響が今後予想されるため、豪ドル独自の買い材料には乏しい状況に著変はない。

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