27 November 2023

◎＜ポイント＞147円台まで反落後、149円台まで買戻し
・ドル円は再び10/31の日銀政策会合前の水準150円手前の“揉みレベル”に逆戻り。
・週初は前週のドル売りセンチメント継続し「FRBの利上げサイクル終了と来年の利下げ期待」が高まり、ドル円は147円台前半まで反落。
・しかし週末の米感謝祭休場含むロングウイークエンドに向けて調整買戻し強まり149円台後半まで反発。
・FRBのみならず主要国の中銀（除く日銀）の政策スタンスは「ここまでの引き締め効果を見つつも、インフレ再上昇には注意を払う」というもの。足元のドル円反落は米国の利上げをスペキュレートしたものだが、ECBやBOEも状況は同じであり、来年の利下げ観測はFRBに限ったものではない。
・一方最近音沙汰のない日銀であるが、市場では「来年の春闘の動向を踏まえてマイナス金利を解除すると」いう思惑が醸成されつつある。
・“ドル円が150円上に完全にシフトした”との見方には懐疑的であったが、市場にはびこる「ドル円ブルセンチメント」を考えれば、むしろ今回の147円台までの調整反落で適度の“ガス抜き”がされ、再び150円↑に戻る可能性もある。
・しかし上記のごとくFRBが来年にでも利下げに転じるとの思惑が強まれば、ドルブルセンチメントもある程度冷やされるというのが筆者の見立て。
・つまり、来年の春闘を標榜した日銀のマイナス金利解除（その前にYCCの撤廃）観測が高まれば、150円台が暫く遠退いて140-145円程度までの深堀もあるのではないか？
・本当の円安の嵐は、「日銀の金融正常化（マイナス金利解除）とその後の日本経済・財政の混乱時に訪れる」との中長期ビューは変えていない。

◎＜豪ドル相場＞――ドル安地合の中65セント台 後半まで反発

先週の相場レンジ―AUDUSD 0.6501-0.6590  AUDYEN  96.83-98.54
今週の予想レンジ―AUDUSD 0.6350-0.6650  AUDYEN  96.50-99.50

・先週豪ドルは、米ドル軟調地合（ドルインデックスは103台前半に下落）の中、今年8月以来の高値65セント台後半まで上昇。対円でも昨年9月の高値98.74に迫るレベルまで上昇した。
・ドルの軟調が主因ではあるが、ブロックRBA総裁が11月の利上げ後もインフレ抑制を最優先とするタカ派姿勢を崩さず、「年末までに再利上げ」という観測が高まっていることも豪ドル堅調の背景。米国のインフレ率が3%台前半に低下する一方、豪州のインフレ率は5%台に高止まりしており、今週水曜日に発表される10月CPI(予想5.2%、前回5.6%)が注目される。
・また木曜日にはQ3の民間設備投資(CAPEX)が発表されるが(予想+1.0%、前回+2.8%)高金利の影響により伸びが鈍化するか注視したい。
・豪ドルの65セント台は歴史的に見ても依然アンダーバリューと筆者は認識しているが（70セント近辺が過去の中心値）、主要国の高金利政策で豪ドルの金利的優位性がなくなったことも、相対的な豪ドル軟調の原因であり、この状況が急激に変化する可能性は少ない。
・いずれ高金利が豪州経済に与える影響や住宅融資残高保有者を圧迫している事実が表面化すれば、むしろ高金利が豪ドルにとりネガティブ要因と見なされる可能性もあるだろう。
・したがって歴史的なニュートラルレベルである70セント台回復も容易ではあるまい。対円ではドル円の乱高下を受けたアップ・ダウンが続くであろうが、中期的には100円↑を見るものの、こちらも年内到達の可能性は少ないと考える。
・65セント台、98円台より上では、上値の重い展開を予想する。

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