1 July 2024

◎＜ポイント＞
ドル円161円台前半まで急上昇、依然対欧州通貨でもドル優勢

・先週は160円台手前で始まり“160円は簡単に抜けないであろう”と考えた。事実月曜日の欧州市場入り口では159円台後半から約1円短時間に下落し、市場に介入のうわさも流れた。
・また水曜日に既に前回の円買いの介入点160円台に乗っており、政府・日銀も意地を見せるのであれば、金曜日の6月東京都CPI発表後の可能性が濃厚と考えた。実際にCPI（生鮮食品除くコア）は2.1%(予想2.0%、前回1.9%)と強めに出たことから「円安も物価上昇の一因」との大義を得た介入に一理ありと考えた。
・しかし、出たのは介入ならず、神田財務官退任の報道―――少なくとも円安を危惧し介入を実行した当の本人が退任！？市場は一気に161円台まで上攻め。この人事異動は7/1の定例の霞が関人事であるが、人事異動には為替など関係ないのである！
・先週もFRB当局者からはタカ派的発言が相次いだ。
・加えて6/30週末の仏下院選挙第一回投票では極右の台頭が予想されるため、今週もユーロへの売り圧力が高まるだろう（週初のユーロの動き要注意！）
・加えて先週の米国の第一回大統領選TV討論では視聴した有権者の内トランプ優勢と答えたものが67%、バイデンが33%との結果も聞かれ、トランプ前政権時代のドル安政策にもかかわらず、トランプ優勢＝ドル買い反応が出たのも驚き。
・このようにドル買い材料に事欠かない状況に変わりはない。ただし先々週米財務省が為替報告書で日本を（円安ゆえに）監視対象に指定したことや、徐々に広がる「買い安心感」を考えると、“買いポジションの調整”を警戒する必要があり、ドル円も一方的な上昇トレンドというよりは、ボラタイルなアップダウンを覚悟すべきだろう。

◎＜豪ドル相場＞――米ドル堅調にもかかわらず豪ドルは66セント台で小じっかり、対円では2007年11月以来の107円台

先週の相場レンジ―AUDUSD 0.6619-0.6688 　 AUDYEN  105.59-107.46
（先週の予想レンジ―AUDUSD 0.6500-0.6700    AUDYEN  104.00-107.00
今週の予想レンジ―AUDUSD 0.6500-0.6700    AUDYEN  104.00-109.00

・豪ドルは米ドル高にもかかわらず、66セントを割ることなく堅調推移した。発表された6月のWESTPAC消費者信頼感が物価高にもかかわらず先月の-0.%から+1.7%に好転し、また5月CPIが前回の+3.6%から予想（+3.8%）を上回る4.0%となり、RBAの再利上げ観測が高まったことも豪ドルをサポートした。ケント総裁補は「今後数カ月でインフレが新たな勢いを増す危険性」を指摘した。
・市場は高金利が豪州経済に与える負の影響よりも再利上げを豪ドル買い材料視しているのは明らか。
・対円ではドル円が161円台に上昇したため、円クロスが全面高となっており（ユーロ円はユーロ発足以来の高値172円台）、豪ドル円の独歩高ではない。
この上昇トレンドは更に長続きする可能性があるだろう。当面のターゲットは110円である。

―読者各位―
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