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「今週の相場の焦点」by Joe Tsuda (津田 穣) 5 August 2024

5 August 2024

<ポイント>
日銀利上げ、弱い米雇用で米景気減速懸念、加えて世界同時株安のリスク回避円買い加わり146円台に続落


先週は「激動の一週間」の読みは当たったが、市場では米景気減速懸念が強まり、世界同時株安・リスク回避の円買戻しが活発化して、ドル円は今回の高値161円台から先週は146円台まで大幅下落した。
・米景気後退懸念をモロに受けて日経平均は7月中旬の高値42,000円台から先週金曜には36,000円割れと、この1月足らずに15%以上下落したことになる。
・個人的な読み「日銀は利上げしない」、「FOMCのハト派転換はない」は完全にハズレが、二つのことが分かった。
①植田総裁は世界の金融政策の流れは完全無視で、0.1%0.35%への引き上げと今後の追加利上げにこだわり、日米金利格差縮小の思惑が円買戻しに繋がり満足げであるが、主要国の金利が4-5%台から今後低下が予想される中でのコンマ何%の“金融正常化”が果たして影響を持つか?あくまでも金利格差の縮小は米欧主要国の利下げが主導する。
FOMCでのパウエル議長の急激なハト派転換には“裏があった”。
従来から指摘しているが同議長の耳には当然弱い翌日のISMと金曜日の雇用統計の結果が入っていたのであろう。この先取りは中央銀行総裁の立場では当然ではあるが、市場は間接的に金融当局の言動から指標結果を憶測するしか手はない。
・今回のドル円戻り安値の下限予想150円を大きく割り込んだが、「相場は常に行き過ぎる」の鉄則と世界同時株価下落による「リスク回避の円買い」という“昔の名前で出ています”となれば、まだ下値余地があると考えざるを得ない。
・米利下げが始まるのは9月であるし、日銀が追加利上げに執着する限り「金利差縮小」がまだテーマ性を維持するだろう。
・一方日銀の“継続利上げ”と債券購入額縮小から市場の長短金利が上昇し、景気減速、更には財政赤字補填問題が再浮上し、格付け会社の日本格下げ論議が高まり(当然その頃には日本株の下落は米国を上回っていよう)、青い目の日本株・債券離れが新たな円安を生む状況となる時期は来年にずれ込む可能性がある。
・市場はドル円の下値深堀を継続するだろうが、需給が円売りに傾いた状況では、いずれ溜まったショートがあぶり出されることとなろう。

◎<豪ドル相場>
豪ドル円は95円台に大幅下落。対ドルでも65セント割れまで下落。反発の読みは外れ。

先週の相場レンジ―AUDUSD 0.6479-0.6568   AUDYEN  95.33-101.77
(先週の予想レンジ―AUDUSD 0.6450-0.6650    AUDYEN  99.00-105.00
今週の予想レンジ―AUDUSD 0.6400-0.6600    AUDYEN  93.00-98.00


・先週豪ドルは特に対円では、ドル円大幅下落の反発地合を予想し、豪ドル円も再び100円超え予想したが、ドル円が146円台まで続落するに至り、豪ドル円も95円台まで値を下げた。
・豪ドルユーロも0.59台半ばまで下落しており、いわば豪ドル全面安状態だが特に対円での売り戻しが目立った(円買いの背景は上述)。
・7/31に発表された注目のQ2並びに6月のCPIはQ2が前年比で+3.8%と2022年Q4以来の前年比での伸びを示す一方、6月月次は5月の前年比+4.0%の伸びから+3.8%に若干低下した。またRBAの重視するアンダーライイングインフレーション(刈込平均値と加重中央値の平均)は3.9%と6Q連続で低下しており、8/6のRBA理事会ではキャッシュレートは現行の4.35%に据え置き予想が強いことも豪ドルを下押しした。
・先週は米ドル全面安の中、欧州通貨が反発したが、豪ドルの対ドルでも軟調推移。クロスの売り圧力も加わり、今週も上値の重い展開が予想される。

 

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Joe Tsuda のプロフィール

東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ


☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。

☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/

☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。

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