♦海外生活の夢と現実♦
先日、久しぶりに実家の京都に帰国した時に「日本人なのに何で海外なんかで生活をしているのですか?」と問われた。
あまり考えた事の無いとっさの質問に息を詰まらせてしまった私は“神様のいたずらですかねぇ”などとへらへら笑って見せたが、
その60代半ばのジジイは「亡命行為ですか?」と真顔で聞いてきたのには、さすがの私も驚いた。
どうやら海外に住むということが、日本でやっていけない意固地な人間とか、現実逃避型人間などと思われる事があり、とんでもない汚名をきさされる事にここ数年出くわしている。 海外生活をされている皆様の代表としてこの場を使って言わせてもらうが、とんでもない誤解である。 それではまるで私が日本でえらい事を犯して、逃げ回っている犯罪者みたいではないか。
どうしても”海外生活”というと海外旅行の延長というイメージをもたれてしまうようで、私が毎朝小鳥のさえずりで目を覚まし、ファイブスターホテルで朝のバイキングを済ませたあとは、白砂ビーチで日光浴をしながらカクテルを飲み干し、ほろ酔い気分でルイビトンで買い物を済ませ、スキューバダイビングなどのオプショナルツアーに参加した後は、夜景を見ながらゆっくりと廻るサンセットクルーズでロマンティックなお食事を楽しみ、調子にのってカジノでバンバン大金をかけ、海が見えるホテルのキングサイズベッドで眠りにつくなどと思われているのではないかと思われているのなら大間違いである。そんな粋な生活をしているのは、マドンナやエルトンジョンくらいなものであろう。
私にとっての現実はここである。 日本のようなラッシュアワーに出くわす事は無いとしても、けたたましい目覚し時計の音で毎朝起こされ、寝起きの悪い私は洗顔剤で歯を磨き朝から悲鳴をあげてる事もしばしばあったり、子供の時から「朝は余裕を持って、起きなさい。」という母の声を無視していた私は今でもその癖が直らず、バス停までの道のりもパンを口にくわえ、リンゴを片手に握りながらがに股でバス停に向かって走っている姿はとてもグラマラスとはいえないだろう。
スーパーでトイレットペーパーを買う時だってそうである。本当は”ラベンダーの香りがついていてイルカさんがプリントしてあるものが欲しい”とは思うが、値段が倍くらい違う事を思うと「どうせ尻を拭くのだし、ラベンダーもミントもないわ。それにイルカさんに申し訳ない。」などと変な同情の念までかりたてられ、いつもの白いのを籠に入れるのだ。
休日の日も、朝から洗濯に掃除、ペットのセキセイインコのえさを取り替えたり、糞の始末をしてやったにも関わらず、逆に噛まれてひどい目にあったりと、ジジイが想像しているよりもかなり質素なものである。
ジジイが想像しているような“夢の海外生活“というよりは、”夢からさめた質素な現実“といった言葉が、残念ながら私にはピッタリで、”神様のいたずら”というよりは、”神様の意地悪!”と叫びたくなる日々が続く今日この頃だ。
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