冠婚葬祭

”肩こり菌”

♦肩こり菌♦

私の周りには、”万年肩こり”の友人が少なく見積もっても5人はいる。 

その中でも友人のS子は、小学校の4年生位から肩こりが始まったらしく、35歳になった今も尚、肩こりとお付き合いをしているという。 どうやら腐れ縁らしい。 

”小学校4年生から肩こりをもっているなんて、なかなかのベテランさんだね。 私に言わせりゃ、25年以上の経験豊富な肩こりレディだねぇ” と、まるでバリバリ働くキャリアウーマンのように、肩こりを奨励する私に、S子は肩を落としてこう言った。

”あのねぇ、あたしのオッパイが大きいんだったらまだわかるけど、これでよ、こーーれーー”と、背中のような胸に人差し指をグイグイ押し付けた。確かに彼女の胸はまるでアジの開きのように、凹凸も無ければ、その上半渇きである。

”あぁー、 そ、それねぇ・・” 私はアジの開きを凝視することも、まともなコメントを返す事も出来ず、無理やり話を戻す事にした。

”・・・っていうか、肩こりってどんな感じなの?” 肩こりの経験が一度も無い私は、子供の頃から”肩こりへの憧れ”をもっていた。

”あのねぇ、あんたなんかに言ってもわからないだろうけど、イメージ的にはねぇ、こなきじじいが両肩にずーっと乗ってる感じでねぇ、その上、首にまでこなきじじいジュニアが乗ってる感じがするんだよ。” とてもS子らしい、わかりやすい表現である。

”こなきじじいかぁー・・・ 目玉親父ならまだいいけど、こなきじじいは確かに気持ち悪いね。 でもジュニアならいいかもね。ジュニアでもいいから、ちょっとお借りしてみたいねぇ”

と、S子の説得もむなしく、私の肩こりへの憧れはますますおさまらなくなった。

”ジュニアでもシニアでも何でもいいけど、あんた馬鹿なこと言ってないで、ちょっと肩たたいてくれない? あんたが馬鹿な事ばっかり言うから、また肩がこってきたじゃないのー”

くだらない話ばかり聞いてると始まるのー。 だからあんたの周りには肩こりの人が増えるのよ。 あんたは肩こり菌だよ、本当に・・・”

こうして私はしばらくの間、周りの友人から、”肩こり菌”と呼ばれるようになった・・・。 

私がシドニーで”〇〇菌”などと呼ばれている事を、私の両親がうっかり知ってしまったなら、一体何と思うのだろうか。

”小学生の子供ならまだしも、35歳になって〇〇菌なんて呼ばれるなんて・・・” と、がっくり肩を落とさせる羽目になり、その上、両親にまで肩こり菌をうつしてしまう結果になるだろう。

そんな心配をよそに、私の”肩こりへの憧れ”は今も絶たない。

読者の皆様で、”私よりも強力な肩こり菌”をお持ちの方がいらっしゃったら、是非ご一報頂きたい。 

そのお礼と言っては何だが、一番強烈な”肩たたき菌”をお持ちの方に、”肩たたき棒”を一本無料で贈呈差し上げようと思う。

 

シドニー・クリエイティブフォトグラフィー

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