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♦ミントガムの脅威♦

あまり聞きなれない言葉を題名にしてみたが、

私はミント系ガムの匂いが苦手だ。

例えばカフェなどで、友人と会話をしている時に、“ここらで一息”と言わんばかりに、私の前に座っている友人がミント系のガムを食べ始めたりすると、私の中のミントガム注意報が鳴動するのだ。

例えば中華街で、飲茶などの大きなテーブルに

座っている時などは比較的危険から回避出来るのだが、小さなカフェで私がたまたま風下に

座っている場合や、音楽がうるさいバーで飲んだりする時などは、ミントガム警笛が激しく作動し、一気に気持ち悪くなるのである。

私にとってあの独特な匂いは、なんだかその人の胃の中の空気を食べている気もするし、

加工されたミントの香りと唾液のコラボが、私の低い鼻筋の中でミックスされ、

リラックス気味の脳神経をツンと刺激する脅威の瞬間なのだ。

あのミントガムの香りがもたらす急性的な体調の異変は、船酔いに似ている。

船酔いとミントガムの違いと言えば、“船酔い止めの薬で予防出来ない事“と、“嘔吐まではしない“

くらいで、あとは似ていると思う。

それに”船酔い”だと、船にさえ乗らなければ船酔いにならないが、”ガム酔い”は普通に生活している上で、色々な場面で危険に遭遇するのだから、困ったものである。

喫煙者の方がタバコを吸う際に、“ちょっと吸っていいですか？”と禁煙者に気を使って、お断りするようなことは、ミントガムを食べる時にはまず無いし、“船酔い止めもってきたから、どうぞ～”などというような親切なシチュエーションもありえない。

かといって、“すいません、ミントガムは遠慮してもらえますか？”とお願いするのも、大人として変である。　

これが身内ならば、“うぇーーっ、気持ち悪いからやめてぇー！”と私のわがままを通すことも可能だが、時々訪問する東京での電車の中や、エレベーターの中、賑やかなバーなどになると、私は口をぎゅっとつむり、目をパチパチしたり、耳を無理やり動かしてみたりして、何とか呼吸困難にならないよう試みたりするほどである。

もし今後、読者の皆様の周りで、会話中に口をぎゅっとつむんでいる人がいたり、目をパチパチさせている人がいたら、その人はミントガム注意報を発信しているのかもしれないので、是非気遣って頂きたいと思う。

ちなみに私の中でのミントガム酔いの治療法は、新鮮な空気を鼻から思いっきり吸い、その後、肺が口から飛び出してしまうんじゃないかと思うほど、体内の息を思いっきり吐き出すというシンプルやり方を数回繰り返すだけなので、是非読者の皆様にも、”救急豆知識”として覚えておいて欲しいなぁ・・と切実に願う私だ。

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