冠婚葬祭

ミミズさんの仕返し

ミミズさんの仕返し 

 

私は幼い頃ミミズ狩りに没頭していた事があった。 

特にミミズさんが可愛くてたまらないとか、いっぱい捕まえてペットにしたいという訳ではなかったのだが、

私の実家の裏に小さな池があって、そこに鯉やら金魚が数匹住みついて居たので、そこに新鮮なミミズさんを放り込んでは、

鯉や金魚の餌食にしていたのだ。

通常ミミズさんたちは、畑の脇に隠れていて、ちょっと石を動かすだけでピュルピュルーと大混乱し、

まるでミミズのダンスクラブに突然お邪魔させて頂いたような景色がドーンと広がるのだ。 

そんなミミズさんの大群から、鯉の為のミミズ大将を一匹と、小さな金魚の為のもやしミミズさんを数匹スコップですくった私は、

みみずさん達を途中で落とさないように、池に向かって慎重に走るのだ。 

その後慎重に輸送されたミミズさん達は、強制的に池に放り込まれ、数秒の間水中ダンスショーが繰り広げられたかと思うと、

あっと言う間に鯉や金魚のお食事ショー切り替わるという、大変質素なゲームを毎日のように続けていた。 

私はこうして池と畑の往復を繰り返して幼少の頃を過ごしたわけだが、きっとプロゴルファーの石川遼選手などは、

この時既にゴルフクラブを握ってプロの選手を夢見ていたのだろうか。 

“家庭環境の違いはあまりにも不公平じゃないか。” そう両親をせめたくなる瞬間である。 

そうこうする内に、私は鯉と金魚から厚い信頼を受けるようになり、池の前を通り過ぎるだけで、池の鯉や金魚達が浮き上がり、

“今日もお食事ショー如何ですか?”とお誘いを受けるようになった。 

もしこれがまんが日本昔話のストーリーだったとしたら、“鯉や金魚から厚い恩恵を受けた貧乏な少年が、ある朝玄関の戸を開けてみると、突然家の前に大きな湖が出来ていて、そこには一生困らない量の魚介類や農作物が溢れ、一生幸せに暮らしました。“ となるのだろうが、残念ながら世の中はそれほどあまくない。 

先日某プールで泳いでいた私は、突然水中でこむら返りを起こし溺れかけたのだが、きっとあれはみみずさん達の恨みをかった

タタリだったに違いない。

ミミズさん達がちゃんと成仏出来るよう、この場をかりて一分間の黙祷を捧げようじゃないか。 もくとーーっ!

パート2はこちら→ http://web.jams.tv/photo/blog/view/id-71856

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