S子とゆかりの関係
先日名古屋出身の友人S子が、日本に2週間帰国した時である。
S子とはもう10年来の友人で、近頃は“あれ”とか“それ”とかで、大体彼女の言おうとする事が理解できるようになってきた。
先日も“日本行ったらアレお願いね”と言った私に、“あー、あれね、わかった。”
“あとねぇ、あれもー!えっとぉー・・・” “あーあれか?”
“それそれー”と、まるで老夫婦感覚である。
S子が日本滞在中に電話で会話をしていた時も、”あの子なんだっけ、えーっと・・・。“
”あぁー、みきちゃん?“ ”そぉーそぉー、あのこあれやっけ?“ ”職探し中“
“そーそー、それそれ”“で、どう?” “んーっ、まーまーみたい。”という具合である。
まるで秘密組織のシークレットエージェントのように会話をこなす私達は、ランチに行っても、
“ちょっとトイレー、あれ頼んでおいてー、あれも忘れんよーになー”
そう言い残した私がトイレから戻ると、いつもの甘めの麻婆豆腐とフレッシュチリがテーブルにおいてあるのだ。
S子と私の間では、“あれ”は心の言葉といえよう。
そんな私とS子の仲でも、“これは通じてないとマズイ”というトピックに関しては、きちんと代名詞をつける事もある。
“あんた名古屋から何かいらんかー?”
“んーーっ、あっ!名古屋だからゆかりー!ゆかり買ってきて!”
ゆかりと言えば、名古屋名産のエビせんべいである事は、読者の皆様もご存知であろう。
あの香ばしいエビのかおりと、サクサクした食感と上品なお味は一度食べたらやみつきにならない人はいない、
名古屋名産の高級エビせんべいだ。(念のため、エビせんべい・ゆかりのサイト→ http://www.bankaku.co.jp/
)
“あぁー、ゆかりかー!オッケー!あれでいいの?やっすいなー!いっぱい買ってくるわー!
かさばらないし、ずっともつし、私もあれは好きだしー!“
“やっぱり名古屋人も好きなんだな、ゆかりー。” そう言い残して受話器を置き、S子とゆかりの到着を待った。
数日後、“ただいまー!あれいっぱい買ってきたよー!今晩持って行くわー!”
“おぉーーっ!いっぱいかー!”
私は贅沢なエビせんべい・ゆかりで今宵を終えようと晩御飯を控えめにし、ナイロン袋を提げたS子が我が家に到着した時は、“ヤッホー!”とジェットスタージャンプを披露し、大人気ない勢いでナイロン袋をあけた。
しかし、ナイロン袋をあけたその瞬間、がく然とした・・・。
“あれっ??何これ????? へっ????? こ、これって梅シソ風味のふりかけのゆかりやーーん!→http://www.mishima.co.jp/study/yukari/ これとちがーーーう!ちゃんとゆかりって言ったのにぃー!ふりかけのゆかりなんかチャイナタウンでも買えるぅーーっ!“
こうして私とS子は、10袋以上あるゆかりふりかけを手にさげ、
たまに使う代名詞によって発生する言葉の行き違いに呆然とした。
“うぅーーっ、もう仕方ないからあれ出してー”
“あーーあれかー、もぉーーーっ・・・。ちょっと待ってー。”
こうして私は炊き立てのご飯を用意し、S子とゆかりとで無言の夜食を頂く事となったのである。
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