2024年日本人会ゴルフ部10月度例会を開催しました
2024年日本人会ゴルフ部10月度例会リポート 開催日:2024年10月20日(日) 開催場所:Mona Vale Golf Club 参加人数:11…
所属するオーストラリアの大手フィットネスクラブ「Jetts」で、2016年・2017年とNSW州ベストパーソナルトレーナー賞を連続受賞(1年目はアジア人で初の快挙)し、フィットネス大国オーストラリアでも実力が認められている野村麻衣さん。
ただトレーニングを提供するだけでなく、「この子変わった!」と実感するまで自信をつけさせる麻衣さんのやり方に、オーストラリア国内のみならず海外からも、毎日SNSを通じてメッセージが届くという。
学生時代からやりたいと思ったことには迷わず挑戦しながらも、一つ一つへの取り組み方はストイック。日本からオーストラリアに舞台を移した現在でも、そのスタイルは変わらない。満ちあふれる彼女のエネルギーの原点と今後のビジョンを伺った。
両親ともにスポーツが好きだった影響か、3歳から運動をはじめ、ずっとスポーツに関わる環境で育ってきました。小学生の時は、バスケットボールに水泳、テニス、スカッシュと習い事やクラブ活動をいくつも掛け持ちしてて。
親に強制されたことは一度もありません。やりたいことを見つけたら、練習時間や場所などを自分で調べて、「来週から、コレコレのレッスンに通うから!」と親に一方的に告げるような感じでした。その時から私はアチーヴァーだったのかもしれないです。まぁ、月謝を払っていたのは親なんですけどね(笑)。
中学時代もバスケットボール部と陸上部に所属し、どちらの部活でも活動していたのですが、当時の先生に体育専門の高校があると勧められ、そこからはスポーツ一本になりましたね。
高校はオリンピック選手の育成を目標に掲げているような、当時としてはかなり珍しい学校でした。体育の種目だけでも10項目くらいあり、最新設備や先進的な理論に基づいた実践を通して、身体運動やトレーニングを勉強できる環境が整っていました。
逆に一般教科は最低限の授業数で、国語・数学・社会以外は選択制だったので、高校時代に英語の勉強はしませんでした。その時は、まさか自分が海外で生活するなんて、思いもしなかったので(笑)。
高校卒業後は当時流行っていたショップで洋服の販売員もしました(笑)。同時期に、都立高校でダンス部の顧問もしていて。やっぱり体を動かすのが好きだし、人の助けになることもしたくて、それらを両立できるのは何かと考えた時に、ジムのインストラクターになろうと。
最初に働いたのはちょっと特殊なジムで、同時期に入社した人は全員体育大学卒の、専門的にトレーニングを勉強してきた人たちばかりでした。最初の半年はジムがあるビル内の別フロアで徹底的に座学を講習を受けてから、筆記試験と実技試験に合格すれば晴れてユニフォームが着られるようになるんです。
でも、体育大学卒の人たちの中に混ざって講習を受けているので、そもそもの知識量がまったく違いました。授業についていくのが大変で、この時は生涯で一番勉強したと思います。キャリーケースがパンパンになるくらいにテキストやノートを入れて、毎日必死の思いで通っていました(笑)。
日本のジムでは4〜5年ほど働きました。組織的に従業員をサポートしてくれる企業だったので、あのリードがあったから今の私のベースがあると思うのですが、とにかくスケジュールがタイトでした。
この時間にはスタジオAでダンスのクラス、次は移動してパーソナルトレーニング、そしてすぐにシャワーを浴びて、そこから……みたいな感じで、1日のスケジュールが5分単位で管理されていて。やりがいはあったし、当時はストレスに感じていなかったのですが、無理もしていたのかもしれません。
次のステップに進むことを考えた時、海の近くに住みたいという夢を持っていたので、ワーキングホリデーでゴールドコーストに渡りました。最初の4カ月は語学学校に通い、そこからローカルのフィッシュ&チップスのお店で働いて。
でも中学以来、英語を一切勉強してこなかったので、なかなか英語が上達しなくて。そんな中、ホームステイ先のホストマザーがジムインストラクターだったこともあり、英語がうまく話せないなら、運動を通してコミュニケーションを取ろう!と、彼女のジムセッションもアウトドアのブートキャンプも、とにかく全部参加するようになりました。そしたらまた「あ……、やっぱりやりたいかも」って気持ちが芽生え始めました。
ワーホリ後は帰国してから、オーストラリアでジムインストラクター資格を取得する道を探しました。最終的に、いろいろな事情が重なり、シドニーの専門学校へ進学することに。そこでも、英語と専門知識の勉強の日々を送ることになりましたが、日本でインストラクターの経験がある私がクラスメイトをサポートし、逆にクラスメイトは英語面で私を支えてくれました。
所属しているフィットネスジムの「Jetts」には、かなりスムーズに入社しました。もともと会員として通っていたのですが、アジア人の女の子でガツガツとトレーニングしてる人は珍しかったようで、私のことを普通じゃないと思った当時のマネージャーが「あなたプロなの?」って話しかけてくれて。そこからトントン拍子で話が進み、面接すらしないままに就職が決まりました。
そこから数年働いて、2016年には「Jetts」のNSW州ベストパーソナルトレーナー賞を受賞しました。認定員が数十個あるチェック項目から所属トレーナーを評価しているらしいのですが、私はそんなアワードがあることすら知らなくて。「トップ3に選ばれたよ」「ゴールドコーストに行くよ」と電話で告げられ、そして表彰式ではまさかのグランプリ(笑)。
ベストパーソナルトレーナー賞をいただいたことで、自分の中に変化が生まれました。というのも、No.1パーソナルトレーナーがいるクラブがNo.1じゃなかったらおかしいと考えるようになったからです。この賞はクラブのメンバーやクライアントさんとのチームワークで獲れたと感じているし、その人たちに恩返しをしたいのもあって、クラブを一番にしようと思うようになりました。
そのために自分の空き時間を使って、他のトレーナーの教育にも積極的に携わるようになりました。個人として、周りからは2年連続の受賞はないだろうと言われていましたが、最終的にはクラブとしての1位、個人としての2年連続1位というダブル受賞を達成することができました。すごくうれしかったですね。
オーストラリアでは、ジムに通うことやパーソナルトレーナーに指導してもらうことが広く浸透しています。ビジネスマンでも、仕事の休み時間や出勤前に通うことがごく普通ですし、ジムの数も多いですよね。
驚いたのは、「ジムに入会したい!」と来てくれたお客さんが、シドニーに着いたばかりで、まだ携帯の通信がつながっていなければ滞在先もバックパッカーズという状態で。「すいません。まずは家を決めて、銀行口座を作ってからの方がいいのでは?」とアドバイスをしました(笑)。
日本でもトレーニングの熱は上がっていると思うのですが、ジムに通っていると言うと「何を目指してるの?」と聞かれる場合もあると思います。ご飯を食べる、歯を磨く、ジムに行く、そんな風にライフスタイルの一環として、日本でも自然に取り入れいってほしいなと思います。
私のモットーは、100人のクライアントに100通りのトレーニング方法を提案することです。トレーニングのアプローチは人によって変えていかないといけなくて、ガンガン追い込みながらやりたい人もいれば、そっと背中を押すのが必要な人もいます。
運動方法も人によってかなりフレキシブルになるようにしています。私自身が柔軟に動けないと、私と合う人しか、トレーニングできなくなってしまうので。でも、トレーニングのアプローチは変えても、野村麻衣としての軸は変えないようにしてます。「人それぞれでまったく違うプログラムを組んでいるし、教え方も違うけど、私は私だから」と、みんなに言っていますね。
この仕事をしていて一番うれしいなと感じるのは、その人のライフチェンジがわかるところ。「痩せた」という結果だけじゃなくて、初めてジムに来たときには長袖・長ズボンで自信なさげに入って来た子が、短いショーツ履いて「Hi, Mai!!!」でハイファイブしてくれるようになった時とか。
自信を持ってジムに来られる習慣を付けるのは簡単じゃないんですよ。私から発信する一方通行のコミュニケーションでは限界があるので、話すときも「You」とか「I」は使わずに、「We」や「Us」と言うように心がけています。「私たちのチームでひとつのゴールを目指すんだよ」って。
2016年7月に『Style gear』という会社を立ち上げました。「体のスタイル」に加えて、「あなたのスタイル」にあったものを提供し、「人生のギア」をいい方向チェンジするという意味を込めています。
ジム内でできることには制限があるので、オンラインでセッションを提供したり、ブルーマウンテンズでアウトドアアドベンチャーや軍隊式のハードなトレーニングを組んだりと、より幅広く活動ができるようになりました。
オーストラリア人はアジア人に比べ、お金を経験にかけるんですよね。また、私の持ち味はトレーナーとしての指導技術だけでなく、メンタルコーチやライフスタイルコーチとしての部分も強いので、そういったニーズにも応えられる環境ができつつあります。
よく知り合いの方からは、「ベストパーソナルトレーナー賞を受賞した経歴を活かして、野村麻衣メソッドを作ればいいのに」と言っていただけるのですが……。100人のクライアントに100通りのトレーニング方法を提案することが私のスタイルなので、それをメソッドという形にまとめることは不可能ですよね(笑)。
これまでの経験や知識を使って、最適なトレーニング方法やライフスタイルを提案しますが、それを強制をするつもりはないんです。むしろ自分のやり方が常に正解だとも思っていません。気に入ったことだけを取り入れてもらって、そこから自分の色に染めて、オリジナルな方法に変えていく。そのお手伝いができればと思っています。
今、どれだけ24時間を有効に使うかというタイムマネージメントを勉強しています。より生産的で、今日よりも明日をよくできる方法を模索していて。でも、毎日何かを達成する必要はなくて、目標に向かって努力をしていれば、目に見えた結果がでなくても大丈夫なんです。
昔はいつも「100でやる(100パーセントを出し切る)」というのが心にあって、オンもオフも常にフル回転で働いていたんですよ。今でも、仕事は100で取り組むし、連続で5セッションを持つとクタクタになりますが、それでもオフの時間は必ず取るようにしました。
そうして作った時間をスペアタイムとかフリータイムにするのではなく、インベストタイム(自己投資の時間)として使うようにしていて。それを意識しはじめてから毎日のサイクルが良くなりました。仕事量は前よりも増えているはずなのに、私のキャパシティーにはまだ余裕があって、24時間をうまく使えるようになったと思います。
だから、本気で何かやろうと思ったらできるんだなと改めて実感しました。やらないで後悔するよりもやって失敗した方が、その時間も勉強になるし、無駄になる時間はないと思います。それが結果につながらなかったら、タイミングが違ったと思うようにしたらいいだけ。自分の人生は「わたし」が選ぶ。これからも目標を達成するアチーヴァーとして、さまざまなことに挑戦していきたいですね。
オーストラリアの大手フィットネスチェーン店「Jetts」でパーソナルトレーナーとして勤務する傍ら、フィットネスに関わるサービスを提供する会社『Style gear』を運営。20歳から日本でパーソナルトレーナーとしての経験を積む。渡豪後はトレーナーとして活動するため、専門学校を経て「Jetts」に入社。2016年にアジア人初となるJetts・NSW州ベストパーソナルトレーナー賞を受賞。続く2017年には、同アワードの連続受賞に加え、所属店舗をNSW州ベストクラブへと導く。
取材:德田 直大
文:家田阿実
連載『Talk Lounge』の過去記事一覧はこちら
>>https://www.jams.tv/author/jams_talk_loungeをクリック
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