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400mトラックをぐるぐる回るとある歌が流れ出す~人生はマラソンだ!ランニングブログ 三十一歩目~

ランニング前ちゃんです!

 

 

シドニー在住のランナー。

2019年現在16回のフルマラソン完走を達成!!50km、6時間トラック耐久、45kmトレイルランニングなどウルトラもやってます!

 

 

 

 

この記事はこんなあなた向け!

・走るのが楽しくなってきたので、力を試してみたい
・大きな大会ではなく小さめの大会に参加したい
・ランニングを通して友達を作りたい
・無謀なことに挑戦するのが好きだ
・熱くなれる目標がほしい

 

 

Sri Chinmoy “24 Hours on Track”

Photo: Sri Chinmoy Races

 

 

ゴールがないレース

 

「今年もこの季節がやってきたか。」

 

緑の芝生と赤茶に染まった合成ゴムのトラックの美しいコントラストの中にランナーの姿を確認したとき、思わずこぼれた一言。1年ぶりに三度降り立ったその場所は、Sydney南西部に位置するCampbelltown陸上競技場。

 

スタートしたら必ずフィニッシュラインがあるマラソン大会と異なり、今回参加したレースにはゴールテープがありません。どれだけ苦しくても一歩一歩足を進めれば、やがてゴールが近づいてくる。だから苦しいときも頑張れる。しかし、このレースにはそれがないのです。

 

その名も、Sri Chinmoy “24 Hours on Track”

 

1周400mの陸上競技トラックを制限時間内にどれだけ走れるか。どこで止まるかを決めるのは己のみ。自身の限界と戦う耐久レースです。

 

長距離レースといえばこの方!おなじみ、JAMS.tvディレクターの千葉さんと一緒に参加しました。千葉さんとは年始のNarrabeen All Nighterで2人1組のチームで走り、2位入賞して以来のレースです。

 

 

 

スタート前にお約束の一枚!

 

 

レジェンドが集う大会

 

注意点などを確認するレースブリーフィングの様子。顔なじみのメンツもいて、和やかな雰囲気。ランナーの足首にはタイミングチップが入ったバンドが巻かれています。

 

 

 

私がエントリーしたのは6時間部門。朝10時出走で、夕方4時までの部門です。

ブリーフィングと呼ばれるレースの注意事項などの説明が30分前に開かれます。そこでランナーは「3・4レーンを走ること」「3時間に一度逆まわりになること」といった注意点を聞き、「周回数を計測するタイミングチップの動作確認」などを行います。

6時間トラックの上を走るとなると、周回数も100周を超えます。走りながら自分で周回数を数えることは難しいので、参加者は足首にタイミングチップが付いたバンドを巻いて走ります。トラックのスタート地点にマットが敷かれており、この上をランナーが通過することで何周走ったか、1周あたりどれくらいの時間がかかったかを自動的に計測してくれます。

 

 

今回のような耐久レースや、42.195kmのフルマラソン以上の距離を走るウルトラマラソンと呼ばれるレースは、参加者の年齢層が比較的高いのが特徴的です。中には70歳を超えた方もいます。フルマラソン完走回数こそ10数回を数える私ですが、自分が50、60歳と歳を重ねたときに、同じように参加するだろうかと、畏敬の念を抱かざるにはえません。

とはいえ大会の雰囲気はとても和やかで、長距離は競走ではなく自己との戦いということを心得ているランナーが多いためか、ベストを尽くせるように、お互いに相手を思いやっています。そんなベテランのランナーたちに胸を借りて参加することができるのも、この大会ならではの良い点です。

 

 

そして耐久レースにおいて何にも増して重要なのが、サポーターの存在です。同じ場所を走り続けるレースのため、それぞれのランナーやそのサポーターはトラックの内側の芝生内にテントを張ったり、食料や飲み物を並べた机を用意して、そこをベースとします。

今回も私と千葉さんのサポートにそれぞれ駆けつけてくれたパートナーがいてくれて、朝早くからおにぎりまで準備してくれました。耐久レースは特に盛り上がるような白熱のレース展開もなく、ランナーがトラックをぐるぐる周るという、ずっと同じ光景が続きます。私たちランナーは好きで走っているのですが、応援してくれている人は寒空の下で6時間待つので、ある意味私たちよりも忍耐力が求められます。頭が上がりません。

 

大会運営側もランナーが無事に走り続けられるように、食べ物や飲み物を補給するためのエイドステーションを準備してくれています。このエイドステーションがとても充実していて、チーズトーストやパスタ、スイートポテトのマッシュポテトやスープなど、常に温かい食べ物を提供してくれます。

 

 

Photos: Sri Chinmoy Race ランナーにとって心の拠り所。どの食べ物の仕度があるか、大きな声で教えてくれます。

 

 

ブリーフィングも終わり、レース前の写真もバッチリ撮影し、いよいよ出走です!

 

 

 

君がトラックを走っているとき、トラックもまた君を試しているのだ

 

午前10時。6時間の部スタート。

 

 

出走~20,000m=50周まで

 

時計の針が10時を指したとき、6時間の部、出走です!今年で3度目の参加となる私ですが、正直言うと、このレースが苦手です。汗

過去2大会の距離がそれぞれ、55km(2017年)、56km(2018年)とどうにか自己ベストは更新しているのですが、いずれも6時間継続して走り切ることはできず、途中で長い時間休憩を挟んだり、歩いたりして、終わったときには精根尽き果てるとはまさにこのこと、という状況でした。

6時間粘り強く走り切るために、序盤にゆっくり走って脚を温存しようとしても、自分のペースが掴めないと逆に一層疲れるということは分かっています。それであれば、

作戦:脚も気持ちもフレッシュな内に、体の調子に任せて行けるところまで距離を稼いでしまおう!

というのが、過去2大会続けてきた戦術です。過去2大会、それはあまり功を奏していないことは分かっていたものの、どうしても6時間走り切る脚力と体力、そして精神力に自信がなく、今年もこの戦術が最善手と判断しました。

 

同じ場所を走り続けるために大事な力は、集中力です。

なるべく気持ちが散漫にならないように帽子を深めにかぶり、視線は20mほど前に定め、腕時計や運営側の計測時計は見ないようにして、ひとまず100周=約40km、時間にして6時間の半分以上になる3時間30分くらいまでは一気に走り切るという意気込みで臨みました。そうしたら残りは2時間ほど、そこからゆっくりなペースになっても十分昨年の記録は切れるだろうと、こう目論んでいました。

 

 

普段は笑顔を心がけていますが、耐久レースばかりは臨み方が異なります。

 

 

 

レースはまだまだ序盤!身体も躍動しています。

 

 

 

 

体感時間にして1時間半ほど経った頃でしょうか。この日は天候もおだやかで、風もなく、快調に先頭を飛ばしているところでした。

そろそろフルマラソンの距離の半分(21km)は超えたかなぁという頃合いで、一瞬気持ちが緩んだのか、計測時計を見てしまいました。周回数にして50周、時間はちょうど90~100分を過ぎたところでした。

 

「あぁ、まだ20kmか」

 

距離も経過時間も自分の予想と大きくは外れていなかったのですが、不思議なもので、まだ1/6時間しか経過していないことを認識した途端に、一瞬気持ちが沈んだのがわかりました。

なんとか集中し直そうと試みるものの、周回遅れにした人に一人抜き返され、また一人、今度は逆に周回遅れにされと、早くも気持ちがポキっと折れてしまいました。こうなると6時間耐久レースの本当の過酷さが顔を出し始めます。

 

 

 

このままで終わっていいものか。

 

 

 

40kmまでは快適に走るというレース前の青写真は早くも褪せ、30kmを超える頃には「もう辞めたい」「飽きてきたー」などと、冗談半分本音半分の弱音を、1周ごと応援してくれているサポーターに会うたびにこぼすようになっていました。そして35kmを迎える頃には完全に脚も止まり、ついにコースアウトして芝生の上に寝そべってしまいました。

 

「もう走りたくなーい」

 

一度停まってしまうと、次々と出てくる弱い気持ち。その間にも時計の針は進みます。自己ベストを出すためには行かないといけない、でも身体と気持ちが言うことを聞いてくれない。

ロードレースや普段の練習であれば余裕をもって通過できる距離なのに、それよりもゆっくりのペースで走っているのに、脚は痛み、肩甲骨は悲鳴をあげ、疲労困憊。

5kmや10km、ハーフマラソンの距離なら競えるのに、泣きべそかいて寝そべっている間にも、着実に、堅実に距離を積む千葉さんやその他のランナーたち。

 

ここがこの耐久レースの一番キツく、また興味深いところであり、ロードレースとは大きく異なるところです。
こうも気持ちや考え方が身体そのものに影響するのかと、本当に驚きです。

 

 

年齢によるアドバンテージや、一時的な勢いだけでは乗り越えられない、
常日頃の努力や、普段の自分の弱さ、甘えが如実に出るのがこの6時間耐久の真の顔です。

 

 

自己ベストは出せなくてもいい、1年越しに参加するのにこのまま泣き言を言ったまま終わるのは格好が悪いと、どうにか気持ちを奮い立たせて重い腰を上げて、再度トラックへ入ります。

 

 

 

https://augallery.srichinmoyraces.org/Sydney/24-Hours-on-Track-150619/

Photo: Sri Chinmoy Race 3時間に一度逆周りになります。

 

 

千葉さんとサポートしてくれたNanaeさん。このとき前ちゃんは泣き言中。何でこんなに元気なんだ。

 

 

 

 

頭に流れる松任谷由実

 

陽は傾き、長かった6時間も残すところあと30分。休憩を取っては歩き、少し走ってはまた歩きをどうにか繰り返していた私も、最後は全力を出し切ろうと、気力を絞って膝を上げ、歯を食いしばり、己を鼓舞してトラックを周回します。

 

 

“何をゴールに決めて、何を犠牲にしたの”  ー 松任谷由実 「ノーサイド」ー

 

 

距離も50kmを超えたとき、ふと頭に流れる1フレーズ。

高校から始めた陸上競技、人から「どうして走るの?」「何が楽しいの?」と問われることは数知れずありました。しかし、その質問を自分自身に問うたことも、走ることを疑うこともこれまでありませんでした。

 

止まりたい、でもあと15分、止まれない。そんなとき、この1フレーズが繰り返し繰り返しリピートされ、

「どうしてこんな苦しい思いをしてまで走るんだろう」

と初めて自分に問いました。

 

その答えは今でもわかりません。ただ、長かった6時間はブザーの音とともに幕を閉じました。

 

 

Photo: Sri Chinmoy Race

 

 

 

 

 

結果発表!!

 

 

 

年台別1位、全体でも2位の千葉さん!また一つ水を開けられました。

 

 

 

駆け抜けた20km。泣き言を言った30km。それでももがいた40km。ユーミンと走った50km。

 

こうして、三度目となるSri Chinmoy “24 Hours on Track”も終わりを迎えました。結果は54kmと、3年連続の自己記録更新は叶いませんでしたが、運良く(?)年台別で5位に滑り込むことができ、トロフィーをいただくことはできました。

しかしながら、走った距離や結果ではなく、途中に抱いたネガティブな気持ちが故に、今回のトロフィーは嬉しさよりも申し訳なさが勝りました。

 

 

苦しい思いをしてまで、どうして走るのか。6時間耐久レースに対してはこう言えます。

 

 

この悔しさの借りを返すために走るのだ、と。

 

 

 

来年また、赤茶のトラックに挑戦します!!

 

 

同じ場所を6時間走り続けるとこうなります。

 

 

 

今回前ちゃんが参加したSri Chinmoy Raceですが、5kmから参加できるレースも開催しているので、興味がある方はぜひご参加くださいね!

 

 

次回Sri Chinmoy Seriesレースが下記の日程で開催されます。

Sri Chinmoy Series Race 5

場所: Dolls Point

距離:5km、10km、Half Marathon

費用:5km $21(レース当日 $30)、 10km $26(レース当日$35)、Half Marathon $31(レース当日 $40)

 

 

 

それでは皆さん、

Have a good running!!!!

 

 

 

 

応援ありがとうございました!!!!

 

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