2024年日本人会ゴルフ部9月度例会を開催しました
2024年日本人会ゴルフ部9月度例会リポート 開催日:2024年9月15日(日) 開催場所:Windsor Golf Club 参加人数:12名 …
子供の頃から一途にサッカーに打ち込み、大学では強豪チームのレギュラーまで登り詰める。決して才能に恵まれているわけではない、人よりずば抜けてうまくプレーできるわけではない。ただサッカーが好きなだけ。サッカーをプレーし続けるために、ひたすらうまくなるためには練習するしかなかった。
学生時代が終わりに近づき、まわりがそれぞれの進路に進むのを眺めながら思った。ここでサッカーをやめたくない。サッカーがしたい一心で選んだ道の先にあったのが、シドニー。夢の途中を突き進む日本人フットボーラーは、今日もここシドニーでボールを追いかける。
まずは大学に行ってもサッカーを続けたいと思ってました。プロになることが僕の明確な夢ではなかった。それよりもサッカーを通してしっかりした人間になりたい、という気持ちが強かったですね。
高校時代の監督にまずサッカーの前に人としてどうあるべきかということを叩き込まれました。僕の土台を作ってくれたところですね。例えば練習が始まる前に、ヘラヘラしている人がいたら、もう練習はなし、 全員でミーティングです。練習に臨む態度から始まります。とりあえずサッカーをすればいいということではないのです。上間政彦先生という、今は奈良育英高校の校長をしている方なんですけど、なかなか怖い先生で有名なんですよ。
でも今になって、あの時こう言ってもらって、先生の愛情だったのかなって思えるんですよ。いくらサッカーがうまくなっても、人間の土台ができていなければ技術は崩れると教えてくれた方でした。あいさつ・礼儀などなかなか最初からできる人はいないですから。この時期がなかったら、今の僕はないと思ってるんです。
大学も名門の関西大学に進学しました。毎年プロが出ているような強豪大学だったので、僕みたいなヤツが行ってもどのくらいできるか、まったく分からんかった…。正直僕はそんなすごい選手じゃないですし。
案の定、最初はボール拾いです。スポーツ推薦で入ってくる人は、すぐプレーできますが、僕は高校のサッカーが終わって、大学が始まる前の2月からサッカー部の練習に参加して、そこから4カ月間はずっとボール拾いをしながら、自分で練習してました。ボール拾いをさせられる1年生が30人前後いるんですけど、ボール拾いに耐えきれず、辞めていく人も多いんです。僕は、サッカーがしたい一心でしたね。この4カ月間の経験は逆に良かったと思います。この期間に、サッカーがプレーできること自体すごい幸せなことだと気づいたんです。
大学1年の前期(4~9月)が終わってから1年ほど、英語を勉強するためにイギリスに留学しました。留学中は草サッカーに参加したり、自主トレをする程度。
日本に帰ってきて、またサッカー部に戻り、真ん中くらいのチーム(5軍のうち3番目のチーム)からスタートして、4年生になったころにはいわゆる一軍でプレーするようになりました。大学が終わる頃はすごく迷いましたね。同期のなかには、サッカー関連の仕事に就く人もいるし、プロを目指す人もいます。僕なんかは別になんともない選手だったので就職することもひとつの選択なわけですが、いざどうしようかと改めて考えたときに、 明日からサッカーをピタっとやめて仕事に就くと思っただけで、ゾっとしたんです。これでやめてしまうとたぶん死ぬまで後悔すると思い、チャレンジすることにしました。
どうせサッカーをするんだったら僕のことを誰も知らないところの方が、自分のためになると思い、海外に飛びだしたわけです。
最初は知り合いがいるという理由もあり、ドイツとオーストラリアのどちらに行こうか迷っていたんです。最終的には英語をもっと喋れるようになりたいという気持ちが強く、オーストラリアを選びました。
正直こちらのサッカー事情は知らなくて、サッカーさえできて、上を目指せる環境であればいいとだけ思っていました。これも高校時代の上間先生の教えが根づいているのでしょうね。2014年2月にオーストラリアに来てトライアルを受けました。トライアルまでは公園で、ひとりで練習をするという感じでした。最初のトライアルでMarconi Stallionsに入団が決まり、1年間プレーし、今年の3月からはBlacktown Spartansでプレーしています。
まず一番の違いは、全員が戦う気持ち剥き出しでプレーするということ。ゴール前の点を取るような場面での体を張るプレーなどは、勢いがすごい。日本だと、ボールを扱う技術が上手でないとまず評価されませんが、こっちの選手は、勢いでプレーする人が多く、ボールを扱うのが上手い選手は比較的少ないですね。僕もどちらかというと、体を張って、泥臭くプレーをするタイプだったので、こちらのプレースタイルにあっている感じがしました。
そして次に感じたことは、全部自分だということ。目の前にいるヤツに、抜かれたらそいつの責任です。誰かのカバーをしていて褒められるってことは、まずない。日本だとチームプレーなんですけど、こちらではひとりひとりの仕事の責任が日本と比べて重いという気がします。逆に日本のサッカーは、頭の回転が速く、反応が素早い。ボールの動きを予想する能力も高い。個人的には、相手チームとの駆け引きとか、ボールの扱い方など、大学時代に身についたことが役に立っていると思います。
大学時代に一番下のチームでボール拾いから始めて、一番上のチームまで昇格したことですね。高校から大学に行くときも、友達から「難しいんちゃうの」とか、マイナスなこともたくさん言われて悔しい思いもしていたので、レギュラーでプレーできるようになったときはうれしかったですね。そして、シドニーでプロとしてデビューが決まったとき(2014年3月)、お金をもらってサッカーをプレーすることが本当にうれしかった。生まれて初めてお金をいただいてサッカーをしたわけですから…。契約してサインを書いているときも感激しました。
大学3年のときに、なんで周りのプレイヤーはこんなうまくて、僕は下手なんだろうと、思った時があったんです。練習もモチベーションがなく、ミスを繰り返して、悪循環でした。遊びに走ったりしたこともありました。結局仲のいい先輩と食事をした際に、 特にアドバイスをいただいたわけでもなく、怒られたわけでもないのに吹っ切れたんです。当時の監督にも相談したら、お前の悩んでいることは小さいと言われて、笑われたんですよ。それから客観的に考えてみたら僕自身が悩んでいることなんて小さいなと思えたんですよね。自分の中で嫌なことがあったら、そればっかり見てしまって、悪循環に陥るんですけど、パッと離れてリラックスしてみると、そんなに大したことないなと…。
それ以来、他の人にできなくて、自分にできることはなんだろうと思うようになりました。ひとりで体張れるし、走れるし、腕の一本二本折れようが、僕はボールを取りに行くし。実際に、目のところを切ったり、鼻も折れて、血が出しながらプレーしたことありますし、そういうところは負けへんなと気づいたんですよね。うまいへたではなく、そういう、自分で何かしようとする姿勢や気持ちが他の人よりは多少あるんじゃないかなと思います。 間違いなくメンタルですね。一応チームのコーチはいますけど、普段の生活にはいないですし、怒ってもくれない。全部自分なんですよ。だからだらけてしまわないよう、常に自分に厳しくいないと、こういうところでは生き残っていけないと思っています。
シドニーは、さまざまな人に出会う機会があり、遊ぶところがあり、同世代の日本人も多いので遊ぼうと思ったら遊べるんですよ。いろんな誘惑があります。人によってはダメになっちゃう可能性があるんじゃないかなと思います。遊んで、だらけた生活になりかねない。その誘惑に打ち克たなければと毎日葛藤中です。楽しいことは好きですけど、やり過ぎない、自分がどこにいるのかっていうのを分かっていないと、どんどん入り込んでいってしまうので。
毎日、体幹のトレーニングは欠かしません。たった5分くらいなんですけど毎日どんな日でもそれだけは続けてます。それが僕にとってはメンタルと身体の両面で自分を見つめ直せる時間。たまにルームシェアしている友達といっしょに自主練習したりもします。その他は、アルバイトで朝から3時くらいまで体を動かしてます。働かなくても良かったんですけど、僕の中でそうなってしまうとだらけてしまうし、自分に厳しくしたかったので…。
オフの日は、魚釣りによく行きます。ボンダイ・ビーチやミルソンズ・ポイントの岩場とかに行ってます(笑)。素潜りもするんですよ。けっこう大きなサザエとかも採れるんですよ。
今年は今のチーム(Blacktown Spartans)でがんばって、上(Aリーグ)に上がれたらいいですね。昨年プレミアリーグからAリーグに昇格した選手は10人くらいいるんじゃないですか。去年ウエスタンシドニー・ワンダラーズの1.5軍と試合したんですけど、手が届きそうなレベルだなと思いました。ただ昇格することばかりを意識し過ぎると空回りしてしまうので、将来の目標も大事ですが、目の前にある試合に100%集中することが一番ですね。ゆくゆくは他の国でもサッカーをやってみたいなと思ってます。ヨーロッパかアジアかは分からないですけど、僕を求めてくれるチームがあれば、どこでも行きたいっすね。
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