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20周年の節目を迎えた日本映画祭が、オープニング・レセプションを開催

 

オープニング・レセプション

 

    

今回で20周年を迎えた映画祭「Japanese Film Festival in Sydney」のオープニング・レセプションが、11月20日(土)に、シドニーのタウン・ホールにて開催され、George Streetにあるイベント・シネマに場所を移して上映されたオープニング・フィルム『After the Storm(海よりもまだ深く)』と併せ、多数の一般参加者で賑わった。

 

    

レセプション会場には日本のクラシック映画にまつわる貴重な品々のほか、Jin Hien Lau氏による出展映画のコミック・レビューが展示されており、参加者はショーケースの展示品に見入っていた。また、正面には同映画祭の各映画予告を上映するスクリーンが設置され、参加者の映画祭への興味をさらにそそった。

 

レセプション前には、ピアニストのNathan Tam氏とチェリストのKimisu氏がスタジオ・ジブリやファイナル・ファンタジーなどの曲を合奏して参加者をもてなした。心地よい音楽に包まれ、参加者は軽食やワインを片手に歓談を楽しんだ。

 

 

   

レセプションの冒頭では、まず在シドニー日本国領事館の竹若敬三総領事(左)が、20回目の開催となる同映画祭の変遷や、多方面において良好な長きにわたる日豪関係について紹介した。

次いで、同映画祭のプログラム・コーディネーターを務めるMargarett Cortez氏(右)が挨拶に立ち、参加者への感謝の意を述べるとともに、Clover Mooreシドニー市長の祝辞を代読した。

 

国際交流基金シドニー日本文化センターが主催する「Japanese Film Festival」は、同センター・芸術文化交流部部長の許斐雅文氏が、日豪の文化交流や日本の言語と文化の普及を目的として始められ、1997年当初はシドニーで3本の日本映画が無料上映された。現在では「世界最大の日本映画祭」としてオーストラリアの6都市で毎年開催され、19回目の昨年はオーストラリア全国で26,300人が足を運ぶほどの人気イベントにまで成長している。

 

 

 

次いで三島有紀子監督が登壇し、英語での挨拶に続いて日本語で自身が監督を務めた『Night’s Tightrope(少女)』について語り、「I love film. I love Japanese films.」と英語でスピーチを締めくくると、会場は大きな拍手に包まれた。

「この『少女』という映画は、17歳の女子高生たちの物語です。17歳の少女たちというのは、非常に自分勝手で、儚く、とても美しく、そうした繊細な人間ドラマになっていると思います。

この映画の中の17歳の少女たちは、辛いことがあるとすぐに、“周りの人たちが死んでしまえばいいのに”と思います。また一方では、“自分なんか死んでしまえばいいのに”と自分も責めます。

実際、日本では自殺がとても多いんです。でも、この映画の主人公たちは決して死ぬことはなく、どうやったら生きられるのか、生きることを模索するために非常にもがいて生きています。」

わたしは世界の人々が、お互いに責めたり、傷つけあったりするような流れになることを、決して望んでいません。だから、この映画が今こうしてオーストラリアで見ていただけることを、非常に意義深いことだと思っています。

みなさんが、自分にとって生きている実感を持てる瞬間はどんな時なのか、考えていただけたら嬉しいです。例えば、こういうことをしている時なのか、誰の手を握っている時なのか、どういう時が一番みなさんにとって生きている瞬間であるのかということを、この映画を見てぜひ感じてもらえたら幸せです。

わたしは映画の力を信じています。映画の力で、みなさんがとてもハッピーになることを願っています」

 


『Night’s Tightrope(少女)』(2016年公開)

“死”にまつわる禁断の世界を描いた長編ミステリー。女のなかに潜む“闇”を艶美に繊細に、そして力強く映し出していく。自分自身に向ける「死にたい」という想い、他者に向ける「死ねばいいのに」という想い。死というものが何なのか分からないからこそ、少女たちは死に興味を持つ。女子校のなかに潜む闇、そこで生きる2人の少女が抱える闇、物語が進むにつれて点と点がつながっていく。そして“死”というキーワードによって導き出される結末には一体、何があるのか? 湊かなえの100万部を突破するベストセラー小説を、『しあわせのパン』や『繕い裁つ人』などを手がけた三島有紀子監督が映画化。

監督:三島有紀子

キャスト:本田翼、山本美月、真剣佑、佐藤玲、児嶋一哉、稲垣吾郎ほか


 

 

シドニーで活躍する太鼓チーム「和太鼓りんどうシドニー支部」がパフォーマンスを披露。日本芸能の迫力ある演奏に参加者はしばし聴き入った。

 

   

艶やかな着物姿の映画祭スタッフらと写真撮影をする参加者なども見受けられた。

 

 

オープニング・フィルム

 

     

George Streetにあるイベント・シネマに場所を移した後は、同館内にて国際交流基金シドニー日本文化センター(Japan Foundation, Sydney)の和田好宏所長(左)、同センター・芸術文化交流部部長の許斐雅文氏(右)らの挨拶に続き、オープニング・フィルム『After the Storm(海よりもまだ深く)』が上映された。

 


『After the Storm(海よりもまだ深く)』(2016年公開)

笑ってしまうほどのダメ人生を更新中の中年男、良多。15年前に文学賞を一度とったきりの自称作家で、いまは探偵事務所に勤めているが、周囲にも自分にも「小説のための取材」だと言い訳している。元妻の響子には、愛想を尽かされ、息子・真悟の養育費も満足に払えないくせに、彼女に新恋人ができたことにショックを受けている。そんな良多の頼みの綱は、団地で気楽な独り暮らしを送る母の淑子だ。ある日、たまたま淑子の家に集まった良多と響子と真悟は、台風のため翌朝まで帰れなくなる。こうして、偶然取り戻した、一夜かぎりの家族の時間が始まるが…。

監督:是枝裕和

キャスト:阿部寛、真木よう子、小林聡美、リリー・フランキー、池松壮亮、吉澤太陽、樹木希林、橋爪功ほか


 

   

この「Japanese Film Festival」は、シドニーでは11月27日(日)まで開催された。来年2017年は、おなじく11月中旬から下旬にかけてシドニーでは開催される予定。

 

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