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日没にオペラハウスで見られる美しい映像作品

現在シドニーのオペラハウスで、オーストラリアの先住民の歴史や文化、人々の声を伝え続けることを目的としたアート作品のプロジェクションマッピングが、毎日日没時に映し出されていることをご存知ですか?

オペラハウスの正面階段を上がった踊り場で披露されているアート作品は、アボリジニの人々が市民権を得た1967年の国民投票の50周年を記念し、アボリジニとトレス海峡諸島民の歴史や文化、功績を称える「NAIDOC週間」(毎年7月の第1週目)前夜に合わせたもの。“NAIDOC”とは、the National Aboriginal and Island Day Observance Committeeの略。1920年代にオーストラリアの先住民の地位や扱いに対する認識を高めることを目的とした、アボリジニの団体が結成されたことに遡ります。

アボリジニのウィジャブル族のRhoda Robertsさんを筆頭に、オーストラリアとトレス諸島出身の先住民族アーティスト5名が協力して完成したこの作品は、アボリジニのガディガル族の言葉で「水の光」と名付けれられています。雄大な赤い大地、躍動する動物や魚、人々の営みなどが、揺らぐ水面のように移り変わり、シドニーの暗闇に浮かび上がる美しい映像です。

上映時間は約7分間。1年間実施される予定とのことで、こちらから近日の日没時間が確認できます。無料なので、未見の方は気軽に足を運んでみてはいかがでしょうか。

 


@boudist
※ハーバーブリッジとは反対側の壁(写真参照)に映し出されるので注意。

 

現在オペラハウスが建つ場所は、もともとガディガル族の人々が暮らしていた場所であり、1790年代前半にニューサウスウェールズ流刑植民地側とアボリジニ部族とあいだを仲介した、アボリジニのエオラ族のベネロングの住居があった場所。英語名で「ベネロング・ポイント(Bennelong Point)」と呼ばれるこの場所で映し出されるアートが、先住民の人々、歴史や文化をより理解する一助になることを願います。

文:武田彩愛(編集部)

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