東北絆まつり実行委員会を中心に、東北六県商工会議所連合会、日本貿易振興機構(以下ジェトロ)仙台、そしてジェトロシドニーの協力のもと、東北6県(青森県・秋田県・山形県・岩手県・宮城県・福島県)の物産フェアが、ノースブリッジの日本食品店の東京マートにて3月いっぱい開催されている。3月10日と11日には、同店内で東北各県の食品生産者による試飲・試食イベントが開催され、山形県から秀鳳(しゅうほう)酒造場、ジェトロ山形、ジェトロ仙台のアドバイザーらが駆けつけ、東北の物産品をアピールした。
今回の東北フェアは、東京マートの創業者である舟山精二郎会長、そして梅田博司社長がともに東北出身であることもあり、JETROと共同で企画されたという。
店内に設けられた東北フェアのコーナーには、山形の日本酒、宮城のイカ明太子や乾燥納豆、福島のめかぶ、青森のそば饅頭、秋田のはたはたパイ、東北産サバ・イワシ・サンマ・ニシンの煮付け、桃のシャーベットやわらび餅などの物産品が並び、試飲・試食イベント日には観光パンフレットや日本酒の楽しみ方が英語でまとめられた冊子も配られた。
山形貿易情報センターの町井健太郎係長(写真右手前)
「JETROとしても、東北関連のこうしたイベントを開催するのは初めてのこと。今後も東北の物産品などを通して東北全体をアピールしていきたいと思っています。現在オーストラリアで日本酒と言えば、日本食と合わせることがスタンダードな飲み方。試食で人気のニシンの煮付けも、日本酒と一緒に食べたいとおっしゃる方が多い。そうした日本食に合う日本酒からさらに広がりを持たせるため、オーストラリア現地の食卓で普段から食べられているチーズやナッツ、ドライフルーツといった食材とも合わせたり、食感と臭いから嫌煙されがちな納豆も乾燥させてヨーグルトと合わせたりという方法もありますよ、と試食の中で説明しております。これまでにない日本酒の新しい味わい方や日本食の楽しみ方も、オーストラリアの方々に認知していただけるようにしていきたいですね」
『若桃の甘露煮』
[出典] https://www.fukushima-ichiba.com/info.php?id=I0000569&type=item
梅干しくらいの大きさの福島産の若桃。これまで摘果(間引き)された桃は廃棄されていたが、熟す前の硬い実を種の部分まで均一に柔らかくする方法が開発されたことで、食材として有効活用することが可能に。青く渋い実を甘く柔らかく煮た甘露煮は、皮がむいてあり丸ごと食べられる。小さな子どもからお年寄りにまでおすすめで、オーストラリアの酸味がある桃と違い、日本特有の甘みを残した桃ということで、オーストラリアの人々に大好評だったとのこと。
また、創業120年以上の歴史を誇る老舗酒造場「秀鳳」では、『純米大吟醸 山田錦(以下山田錦)』『純米吟醸 出羽の里(以下出羽の里)』の2種類の銘酒が用意され、東京マートを訪れた人々に振る舞われた。ぬくもりを感じる山形の地酒は、オーストラリアの飲み手にも感動を与えたようで、特に『山田錦』は精米歩合47で37ドルというコストパフォーマンスもさることながら、品のある吟醸香と滑らかでとろみのあるやわらかなコクが人気を博し、初日早々に売り切れたという。
秀鳳酒造場は、蔵王連邦の麓の山形市北東部に位置する山家町で、明治23年創業された蔵元。「秀鳳」には「和やか」の意味があり、豊かな自然と清洌な水、蔵の技を駆使して、和やかな心が醸す手造りを目指している。多品種の米の個性を豊かに表現した唯一無二の品質。
秀鳳酒造場の武田秀和専務取締役(写真奥)
「山形県酒造組合は、2016年末に国税庁から地理的表示GI「山形」の指定を受け、「国内米と山形県内で採取された水を原料とし、県内で製造、貯蔵、容器詰めをしている日本酒」のみが、原産地を特定する「山形」の名を冠して販売することができるようになりました。GIというのは、産地の名称を知的財産として保護する制度で、世界的にはボルドー、シャンパン、スコッチなどが有名です。日本国内の酒ブランドでは山梨のワインや球磨焼酎、石川県の白山地区といったように地域単位では少しずつ増えていますが、都道府県単位の指定は「山形」が初めて。
今回の『秀鳳』2銘柄も、もちろんGI指定を受けています。お酒単品で味わいがはっきりしているのは『山田錦』ですが、『出羽の里』は食中酒に向いており、フローラルな香りとピュアな甘みで、食事と合わせていただけます。オーストラリアは多民族国家ですから、さまざまなタイプの方々に試飲していただき、『秀鳳』を楽しんでいただけると幸いです。
これまで弊社はオーストラリアの日本食企業や現地のレストランへご挨拶へ伺う機会がありませんでしたから、今回のイベントを機に先にブリスベンへ赴き、日本食関連の企業様を訪問させていただきました。シドニーの企業様へも伺う予定でおります。将来的には「山形酒」の魅力を国内外に発信し、山形ブランドの向上にも努めていくつもりです」
東京マートは、JCS Rainbow Project(東日本大震災復興支援特別プロジェクト)主催のチャリティーイベント「East Japan Earthquake and Tsunami Recovery Charity Event TSU-NA-GU 2018」(3月11日開催)にも協賛している。
[左から、ジェトロ山形・町井氏、秀鳳酒造場・武田氏、ジェトロ仙台貿易情報センターの三沢奈保子アドバイザー(農林水産・食品分野)、Jun Pacific・梅田社長]
Jun Pacificの梅田博司代表取締役
「東日本大震災から7年目を迎え、『復興から発展へ』のコンセプトのもと、東北物産をイベント販売することで私たちの地元の活性化に貢献できれば、というのが今回の目的です。今後も東北だけに留まらず、日本全国のさまざまな地域をやっていきたいですね。幸いなことに東日本大震災の祈念日と開催日のタイミングが合いましたので、明日(取材日は3月10日)は震災時間に合わせて皆様とともに黙祷を捧げたく思います」
この東北フェアは3月31日までの開催だが、東京マートでは毎月スペシャルイベントを実施中。今後の日本地方活性化に貢献するイベントも見逃せない。
https://www.jams.tv/gourmet/97835
Shop 27, Northbridge Plaza, Northbridge
営業時間:月火水金 9:00-17:00、木 9:00-18:00、土 9:00-17:30、日 10:00-16:00
電話:(02) 9958-6860
www.junpacific.com/
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