たくさんの保険会社がさまざまな種類の医療保険を提供しており、どれに加入したらいいのか迷ってしまうオーストラリアの医療保険。ビザの種類や保険料、保険適用内容によって違う保険プランの内、自分に最適な保険プランを選ぶには、各保険の特徴や注意点を押さえておくことが大切です。
今回は、オーストラリアで使用できる医療保険についてご紹介します。
目次
オーストラリアでは、取得しているビザによって加入できる医療保険が異なります。自分の状況に合ったオーストラリアの医療保険を選びましょう。
©︎https://www.humanservices.gov.au/individuals/services/medicare/medicare-card
オーストラリアの市民権または永住権保持者が加入できる国民健康保険・メディケア。課税所得の2%が保険料として徴収される代わりに、GPと呼ばれる一般開業医や、公立病院での入院・治療などの医療費を全額カバーしてくれる他、私立病院での一部の医療費が補助されます。ただし、オーストラリア政府の規定料金と医師会の規定料金に基づく医師の請求料金にはそれぞれ差があるため、オーストラリア政府・医師会の規定料金を上回る費用が、担任の医師から請求される場合があります。その差額は自己負担となります。もし支払いが生じた場合は、後日オーストラリア福祉省に請求することで、自己負担分が全額戻ってきます。しかし、請求期限がある場合もあるので注意しましょう。
メディケアの詳しい請求方法はこちらから
https://www.humanservices.gov.au/individuals/subjects/medicare-claiming
オーストラリアの学生ビザ保持者であれば誰でも、そして長期的に加入が可能な民間医療保険のOSHC。学生ビザだけではオーストラリアの国民健康保険・メディケアが適用されないので、オーストラリアの民間医療保険会社が提供しているOSHCに加入する必要があります。OSHCを提供している民間医療保険会社によっては、ブリッジングビザ*保持者や学生ビザ申請中の人、学生ビザ保持者のその配偶者(事実婚を含む)または18歳未満の子供の加入も認められているところもあります。OSHCであれば、学生ビザと同じ有効期間があり、長期の滞在でも安心です。
*現在のビザと新しく取得するビザの切替時に発給される一時滞在ビザ。
オーストラリアのワーキングホリデービザや就労ビザ、新卒者暫定就労ビザなどのビザ保持者は、OSHCが適用されません。そのような人が医療保険に加入したい場合は、民間医療保険会社が提供しているOVHSを選ぶといいでしょう。OVHSを提供している民間医療保険会社によっては、他の保険プランより保険が適用されている保険の範囲が狭いこともあるので、加入するときは注意が必要。取得しているビザと同じ有効期限となので、オーストラリア滞在期間中に体調が悪くなったり緊急事態が起きても安心です。
オーストラリアに90日以内の短期滞在の場合には、通常、海外旅行保険が最適です。海外旅行保険を提供している多くの民間保険会社は、その保険の有効期限を自宅を出た時から自宅に戻るまでの期間90日までと定めています。海外旅行保険には、医療だけではなく器物破損や盗難被害も含まれており、医療保険そのものより医療以外での適用範囲が広いのが特徴です。また日本から加入できるので、英語が不安な人でも安心して手続きを進めることができ、多くの民間保険会社が24時間日本語対応電話サービスを提供しています。
エーオン・ジャパン保険サービス(AON Japan Insurance Service/JIS)
JISは、上記の国民健康保険や医療保険が適用されない、オーストラリアに滞在している日系企業の駐在員とその家族向けの保険です。オーストラリアではエーオンが唯一、駐在員向けの保険を提供しており、医療保険だけではなく自動車保険、家屋・家財保険、賠償責任保険など、生活に関わるさまざまな部分をカバーしてくれるのが特徴です。また、日本人スタッフが日本語で電話対応するので、オーストラリアに来たばかりで英会話が苦手な人や緊急の場合でも、安心して問い合わせることができます。
オーストラリアの医療保険によって加入時に必要となるものは異なりますが、多くの民間医療保険会社ではウェブサイトから加入ができます。ウェブサイトから申請する場合、個人情報(生年月日など)、取得しているビザの情報、医療保険料引き落とし先のクレジットカードや銀行口座の情報が必要となります。メディケアに申請する場合は、パスポートまたはイミカード(Immicard)と呼ばれる永住者に給付されるカードのコピーと、オーストラリア内務省から承認された永住ビザのコピーを提出しなければなりません。
オーストラリアで生活する上で重要な医療保険ですが、保険に加入する際は以下の点に気をつけましょう。
上記の通り、取得しているオーストラリアのビザの種類によって加入できる医療保険が異なります。その中でも特に間違えやすいのが、海外留学医療保険(OSHC)と短期滞在者向け医療保険(OVHC)です。OSHCは基本的にオーストラリアの学生ビザ保持者とその配偶者(事実婚を含む)または18歳未満の子供のみ加入できます。たとえオーストラリアの学校に通っていても、ワーキングホリデービザではOSHCには加入できないので注意が必要です。
メディケアの場合、基本的にオーストラリア国民または永住者にのみ適用される国民健康保険なので、有効期限はありません。OSHCやOVHCの場合の多くは、取得しているビザの期間が加入している医療保険の適用期間となっているので、オーストラリア滞在中に体調を崩した時や緊急時にも安心して使用できます。それらの医療保険と比べて、ほとんどの海外旅行保険では有効期間が90日間と定められています。もし観光ビザから他のビザに切り替える場合には、海外旅行保険から医療保険へと早めに切り替えることをおすすめします。
クレジットカード会社によっては、利用者に対して海外旅行傷害保険を提供しているところもあります。附帯保険と利用保険の2種があり、附帯保険はクレジットカードを持っているだけで海外旅行保険が附帯され、ゴールドカードやメンパーシップフィーを払っているカードなどでは、そのカードを利用しなくても海外保険が適用されるケースもあります。
利用保険の場合は、クレジットカード会社で適用されている条件のうち一つを満たせば、海外旅行保険と同じような待遇を受けることができます。条件は以下の通りです。
一度の旅行で、日本出国から旅行期間中90日間は保険が適用されます。上記の条件のどれか一つを満たしても、クレジットカード発行会社へ保険の申請をしなければ対象にならないので、利用しているクレジットカード会社との情報確認が必要です。また手続きの際には、上記の決済情報がわかるカード利用レシートが必要となるので、しっかりと保管しておきましょう。
オーストラリア永住者でメディケアを使用する場合は、病院に行って受付でメディケアを提示すれば医療費用が全額カバーされます。しかし、前述したように受診した病院によっては小額の支払いが必要なところもあるので、その分の現金、またはクレジットカードを念のため持っていきましょう。
オーストラリアでOSHCなど他の民間医療保険を利用している人は、病院で診察を受けた際に、その場で医療費用を支払わなければいけません。その場合も同様に現金、またはクレジットカードを持参しましょう。日本語対応の病院によっては、海外旅行保険やOSHCの場合、キャッシュレスに対応していたり、差額負担のみの支払いですむ病院もあるので、事前に確認しておきましょう。また、こうした民間医療保険の保険金請求には、担当医師の診断書と医療費用が明記されたレシートも必要になるので、しっかりと保管しておきましょう。
オーストラリアでの保険金請求方法は、加入している医療保険会社によって異なりますが、一般的に各医療保険会社のウェブサイトにあるフォーム(Claim Form)に必要事項を記入し、オンラインまたは郵便で該当する書類を送ります。オーストラリアの民間医療保険会社によってはスマートフォンの専用アプリもあり、簡単かつ迅速に保険金請求ができます。多くの民間保険会社では過去12カ月間の受診費用を対象にしているので、診察後、日を空けずに手続きを進めることをおすすめします。
詳しい医療保険の利用・請求方法はこちらから
https://www.jams.tv/insurance/100144
日本で海外旅行保険やクレジットカード付帯海外旅行障害保険に加入している場合の、オーストラリアでの保険金請求方法は、電話での日本語アシスタントサービスがあるので、そこで確認した上で保険金を請求しましょう。
オーストラリアで加入する医療保険には、メリット・デメリットがあります。医療保険加入前にしっかりと要点を押さえましょう。
医療保険の種類 | メリット | デメリット |
メディケア(Medicare) | ◯ 無料または少額で診察・治療を受けることができる
◯ 保険金請求のための手続きが不必要なことが多い |
● オーストラリア市民権や永住権を持っている人しか加入できない ● 基本的に歯科や眼科、救急車要請などの費用は対象外 ● 私立病院での医療費は一部しかカバーされない |
海外留学医療保険(OSHC) |
◯ 学生ビザ保持者であればビザと同じ期間、医療保険が適用される ◯ 私立病院での医療費がカバーされる ◯ 日本語対応の病院(GP)によっては差額負担のみでいいところがある ◯ 追加プランに加入すれば、歯科や眼科、フィジオなどの医療費もカバーされる |
● 学生ビザ保持者とその配偶者(事実婚を含む)または18歳未満の子供しか加入できない ● 民間の医療保険に加入する必要があり、学生ビザと同じ期間が適用されるため、料金が高めの傾向がある ● オーストラリアで加入するため、英語の手続きになる ● 保険金請求に必要な書類や手順が多い |
短期滞在者向け医療保険(OVHC) |
◯ ワーキングホリデービザや就労ビザ、新卒者暫定就労ビザなど幅広いビザ保持者が加入できる ◯ 所持しているビザと同じ期間、医療保険が適用される |
● OSHCに比べて料金が高めの傾向にある ● 他の医療保険に比べて、カバーされる範囲が狭い ● オーストラリアで加入するため、英語での手続きになる ● 保険金請求に必要な書類や手順が多い |
海外旅行保険 |
◯ 日本から加入ができる多くの場合、保険が90日間適用される ◯ 医療保険以外の保険も対象(器物破損保険や盗難被害保険など) ◯ 他の医療保険に比べて安く加入できる |
● 短期間しか適用されない ● 保険金請求に必要な書類や手順が多い |
駐在員向け医療保険(AON) |
◯ 医療保険以外の保険も対象(自動車保険、家屋・家財保険、賠償責任保険など) ◯ 日本人スタッフが日本語で電話対応する ◯ オーストラリアで唯一の駐在員向けの保険を提供 |
● 短期間しか適用されない |
クレジットカード付帯海外旅行障害保険 |
◯ 医療保険以外の保険も対象(器物破損保険や盗難被害保険など) ◯ 保険の加入に費用がかからない |
● クレジットカード会社規定の一定の条件を満たす必要がある ● 事前に保険の申請をする必要がある ● 短期間しか適用されない ● 保険金請求に必要な書類や手順が多い |
A. オーストラリアへ入国する前に、観光ビザであれば海外旅行保険、またはクレジットカード付帯海外旅行傷害保険に加入している人も多いと思います。もし観光ビザでオーストラリアに入国し、その後ビザを変更する場合は、海外旅行保険からその他の医療保険への切り替えが必要です。新しく申請したビザに合った医療保険に加入しましょう。
A. ワーキングホリデービザを取得している場合、オーストラリアの学校に通っていても、原則OSHCへ加入できません。その代わり、OVHCと呼ばれる短期滞在者向け医療保険に加入することができます。OVHC保険への加入条件を確認して申請すれば、ワーキングホリデー期間中は医療保険が適用されます。
A. オーストラリアの国民健康保険のメディケアへの加入は、基本的にオーストラリア国民や永住者しかできません。オーストラリア国民や永住者は、メディケアを利用できる代わりに、課税所得から保険料として2%徴収されています。その他のオーストラリアのビザ保持者は、民間保険会社が提供する医療保険への加入がオーストラリア政府からも勧められています。オーストラリアで民間医療保険に加入すれば、メディケアと同じような待遇を受けることも可能です。
A. オーストラリアで医療保険に加入していない場合、病院で診察を受けた際や緊急時に医療費を全額支払うことになります。オーストラリア滞在中は民間医療保険に加入していれば、基本的な医療費はカバーされるので加入しておいて損はありません。オーストラリアから加入可能な医療保険もたくさんあるので、上記のことを考慮して自分に合った医療保険を選びましょう。
オーストラリアで取得しているビザによって保険料、保険適用範囲が異なり、選ぶのがむずかしい医療保険ですが、要点を押さえておけば自分に適した医療保険を比較的簡単に見つけられます。オーストラリア滞在中に民間医療保険に加入する場合、費用はかかりますが利点も多くなります。保険に加入さえしていれば、体調がすぐれない時でも安心できるので、いざという時のために備えましょう。
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