◆◆「ルームメイトが異性を連れ込む」ケース。その体験から何を学んで行けるのか?◆◆
ワーホリや留学生の方は最近は、シティの高層ユニットで大勢で生活している方が多いです。ひと昔前は、郊外のシェアに住む方も多く、個室でなければ嫌な方もけっこういたように思うのですが・・・(私自身はシドニー五輪前の1998年から在豪で、日本語カウンセリングクリニックは2000年に開業なので、この国に滞在する日本人に関しても時代の流れや変化を感じたりしております)。
この大勢でのシェア、2ベッドルームの1個室に二段ベッドが2つで女性4人でシェア、もう一部屋も例えば男性4人で同様で、リビングルームに1人か2人、総勢6人とか10人以上のこともあって、驚きます。
この国に多い2ベッドルームのユニットは、定員は普通4人までです。つまりオーナーや不動産屋には秘密で違法に、大勢で暮らしていることになります。それでセキュリティキーが持てない人が出てきたり、半年に一度くらいはある不動産屋のインスペクションの際には家具や荷物を動かして少ない人数で暮らしているように見せかけなければならないなど、たいへんになったりします。
その中で、気が合う人となら良いのでしょうけれど、短期滞在者が多いためにどんどん入れ替わり、気の合わない人と同室になってしまったりすると、毎日寝起きする場でギクシャクしてかなりのストレスになります。
例えば、4人部屋ならなかなか起こらないかも知れませんが、2人部屋などで、ルームメイトに恋人ができて、その恋人が部屋に入り浸るようになった、時には性的なこともしている・・・などのトラブルを例にとります。(実際に体験した特定のケースではなく、いくつかのケースを混ぜ合わせたり創作しています)。
ふだんは仲が悪くなくけっこううまくやっているのに、そのことに文句を言って仲を悪くしたくない、ルームシェアは相手によってストレス度がかなり変わるので、相性の悪くない相手であるし。
それに相手は、そのあたりは私に甘えもあるのか、見過ごしたり遠慮したりして欲しい様子。それに対して何か言い出すのもゲスな気がするし、日本では義理人情で相手の気持ちを察して行動する、意見をはっきりは言わないことを良しとされるし、そのような行動原理を持つ母親に育てられた。
しかしこの状況に接するとイライラする・・・
このようなカウンセリングの場合には、クライエントの本音の感情に焦点をあてて、明確化して行きます<本当はとてもイライラしている気持ちがあるようでしょうか?>。<それはそうでしょうね>と共感の機能もたくさん使います。このあたりは、来談者中心療法的カウンセリングの基本技法を使います。
その上で、「もしその子との関係が壊れないのなら本当はどうしたいのでしょう?」とミラクル・クエスチョンをしてみます。このあたりは解決志向短期療法の技法です。
「本当は、それはしないで欲しいとしっかり伝えたい。そしてその上でまた仲良くしたい」「でもそういう風に人にはっきり言うのは苦手」
<そうなんだね>とまた共感や要約した上で、<その考え方はどこから来たようですか?>と聞きます。「お母さんの考え方」「日本では大事な考えだと教えられたし経験して来た」と答えれば、<お母さんとの同一視、同じような価値観の考え方が多いようですか?>と聞きます。その方の生育史の問題がどのくらいこの問題に重なっていそうかについて見立てをつけます。(生育史の問題がかなり影響している場合には、分析的技法を使って、生育史への理解の明確化と、ワークスルーの作業をしていきます)。
<どのくらいお母さんと同じ価値観を持ちたくて、なたはどこは変えていきたいのでしょうか?>、また<日本文化ではそれが大事な価値観や態度と学んだけれど、それは果たして西洋文化のここでもそうなのでしょうか?>などと考えて行っていただきます。このように、日本文化と西洋文化のそれぞれで大事にされる考え方や価値観のちがい、つまり異文化差について話し合うことも多いのが、ここオーストラリアで日本語カウンセリングをやっている特徴であると思います。
その文化差に気づくことによって自分としてはどちらをどのくらい採用していきたいのか?日本で教え込まれたことのどの辺をどのくらいキープして、どの辺を上書きしていきたいのかという、個体化や自我の成熟化の作業のきっかけにつながることも多いです。
<攻撃的や受動的にならない形で、正当に自己主張しても良い>というアサーティブな考え方を紹介し、アサーティブトレーニング(自己主張訓練)の技法も使います。
最終的にどうするのかはクライエントの方自身が決めることですが、
「まずはルームメイトと率直に話し合ってみる」「話し合ってみた結果、ものすごく険悪にはならずに分かってもらえて、正常化できて良かった」「正当な自己主張はしても良いのだ」という経験になると、単なる目の前のストレスや出来事の解決のみならず、正当な個人バウンダリーを持ち、合理的な判断をする「大人の自我機能」を育て、アサーティブな行動ができるようになるなど、その方自身の人格機能の成長につながるカウンセリングができるように思います。
このように目の前のストレスや状況の解決だけでなく、それをきっかけにしての人格機能の究極的な成長の方も、可能な時には狙って行きます。それはその方が一生使える機能を身につけていただくという大きなお土産になるので。
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シドニー以外の他都市出張カウンセリング
3月10日(金) キャンベラ
3月17日(金)~19日(日) パース
4月1日(土)~2日(日) メルボルン
4月14日(金)、16日(日) ブリスベン
4月28日(金)、30日(日)ホバート
出張でもシドニーでのカウンセリングと同様、
一般開業医GPの紹介状があれば、
海外旅行保険、メディケア、学生OSHC保険などで
滞在費や交通費はいただかずに、
保険全額カバーでカウンセリング可能です。
ご興味のある方はお早めにご連絡ください!
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↓ ジャムズの方が体験に来てくださったときの記事から抜粋してみました。
トライアル後の心理カウンセリングはどんなことをするの?
心理カウンセリングを開始する前に、サイコロジストのやのさんとご対面。
やのさんの優しい笑顔と丁寧な対応に、少し緊張がほぐれました。
カウンセリングに入る前に、手渡されたフォームに自分悩みや、症状を可能な限り書き込みながら、最近の自分のココロの状態を5段階で評価します。
自己評価をしていると、意外にも当てはまる項目が多いJAMSスタッフ。自分自身が思っている以上に、ココロのケアが必要かもしれません。
フォームが書き終わり待合室で座っていると、やのさんが温かい笑顔で部屋に招き入れてくださいます。
それでは、いよいよ相談室にお邪魔しま〜す!
「臨床心理士」の医療資格証書が並んでいます。
心理カウンセリング開始
先程のフォームを読み返し、ゆっくりと静かに質問をはじめたやのさん。現在の心境や、抱えている悩みの細部に至るまで、質問形式でのカウンセリングがスタートしました。
通常より時間がかかっています。ページを再読み込みしてみてください。
それでもうまくいかない場合は、下記を試してみてください。
◆◆ワーホリや留学生の方たちはなんでストレスな場合でも帰国しない
の?という質問に◆◆
先日、永住者の方たちと飲みながらお話しする機会があり、どんな方
たちを対象にカウンセリングをしているのですか?と聞かれました。
私は「ワーホリや、語学学校やビジネスカレッジの学生、または大学
や大学院への留学生、駐在の方やその家族、永住者まで、日系人はみ
んなカウンセリングすることがあります」と答えました。
その話の流れで、「ワーホリや学生の人たちは、ここでの生活に慣れ
るのがたいへんだったりかなりストレスを感じている人でも、なんで
日本に帰国しないでここにいながら、たいへんだストレスだと言って
いる人たちがいるんですか?」と聞かれました。「駐在や永住者なら
、家族がいるとか家族のここでの仕事の期間があるなど、帰りたくて
も帰れないという理由があることが多いが、彼らは自分で選んで来て
、なんのしばりもなくて帰ろうと思えば帰らないで、ブツブツ言いな
がらやっている人がいるのを理解しにくい」とのこと。
そう言われれば・・・例えば学位を取ることを目標に来た大学や大学
院への留学生であれば、自分の将来につながるはずの学位を取るまで
帰れない、帰ってしまえば何百万円も投資した学費や生活費などがム
ダになってしまう・・・などの引くに引けない事情があったりします
。しかしワーホリや語学学校、ビザ取りのビジネスカレッジに行きな
がら滞在されている方は、そのようなしばりはないと言えばない。帰
国しようと思えば、すぐにでも帰国できる状況とも言えるわけです。
それに対する私の答えは「しかしそれでも・・・。日本での生活の中
で、長年の夢でワーホリや留学に来た。そのためのハードなアルバイ
トや仕事をいくつもこなして貯金を作った日々だったり、親が夢を理
解して費用を援助してくれた、または貸してくれた、親戚も餞別とし
ていくばくかのお金をくれた、友だちが壮行会をして応援してくれた
、今でもフェイスブックなどで自分の海外生活を見て応援したりうら
やましがったりしている ・・・などの事情を抱えている。それだけの
お金や労力もかけてでもかなえて来た海外生活であるだけに、思い描
いていた理想の生活とは多少違ったり、思ったように英語力が伸びな
かったり、バイトはローカルの英語環境でなくて日本人ばかりのジャ
パレスでしかできない現実があったりしながらも、自分でも「このま
までは帰れない」という気持ちが強い。「英語力を始めとする何かを
つかんでからでないと帰れない」という気持ちが強くて、簡単に帰ろ
うと思うこともできない状況なのでしょう」というものでした。
このワーホリや留学生の「あせり」「自分で自分にかけざるを得ずに
苦悩してしまうプレッシャー」を痛いほど感じることがあります。ワ
ーホリや留学生活はそういう一面があるものであると・・・。どこか
で考え方を切り替えて「英語力の伸びにそんなに強迫的にならなくて
も、海外でしかできない体験をすることに価値を置こう」「そもそも
ワーキングホリデーとの名前が表すようにホリデーなのだから、日本
での社会人生活とは全然ちがう設定での海外でのホリデーを楽しもう
」と気持ちを切り替えられればまだ良いのですが、将来の真面目さが
手伝って、そうも思えない期間の間や、そのようなタイプの方はけっ
こうたいへんです。
その方なりにこの現実の海外生活にどのような落としどころをみつけ
て、現実にも気持ち的にも適応できるのかということが課題です。そ
の方がここにいながらその落ち着きどころを見つけられるまで、カウ
ンセリングの中で援助します。人によって帰国するのが現実的な選択
肢で本人にとってリスクを避けるほぼ唯一の選択肢である場合は、「
もう帰国する」と決断できるまでを援助することもあります。
12月1日(日)、シドニー市内のウェントワースパーク屋内会場で行われた「Matsuri Japan Festival 2024」に、シドニーやま…