近年、若者が世界を動かす声になりつつあります。
昨年スウェーデン議会前で気候変動問題のための学校ストライキを行い、一躍有名になった16歳の環境運動家のグレタ・トゥーンべリさんは、もっとも印象的な人物のひとりでしょう。トゥーンべリさんの呼びかけに賛同したデモの参加者は、子どもと若者を中心とした非常に若い年齢層で、一部の米企業や自治体も支援しています。
先月の国連気候行動サミットに合わせて、世界各地で「グローバル気候マーチ」など若者主体の環境抗議活動が起きましたが、気候関連では過去最大との報道も。シドニー中心部でも約5万人が広場を埋め尽くしました。
このように、今や若い世代を議論の中心として世界が動き始めています。
今回は、そうした若い世代と社会的正義との関連を心理学的に研究した今年の「ナショナル心理学ウィーク 2019」について、そして、日豪臨床経験27年のサイコロジストによる研究結果の解説とディスカッションの場を設けた無料ワークショップについて、順にご紹介します。
オーストラリア在住のサイコロジストの内ほとんどが会員として活動している、豪心理臨床学会(Australian Psycholgy Society/以下APS)。そのAPSが各会員サイコロジストを通じて、人々に心理学やカウンセリング、心理療法などへの理解を深めてもらうことを目的とした1週間が、「ナショナル心理学ウィーク」です。期間中は、オーストラリア全土の各地でさまざまなイベントが催されます。
今年のテーマは”Psychology and social justice issues”、「心理学と社会的正義」 。そのナショナル心理学ウィークの一環として、日本人サイコロジストの「やのしおり」氏がファシリテーターを務め、無料の日本語による心理学ワークショップを毎年開催しています。5回目を迎える今年は「社会的正義と若者」をテーマに「今なぜ若者の意見に耳を傾けるべきなのか」、科学的心理学の目線から解説していきます。
参加費は無料なので、気軽に参加してみてはいかがでしょうか?
今年のナショナル心理学ウィークのテーマは「心理学と社会的正義(Psychology and social justice issues)」、そして「若者から何が学べるのか?(What can we learn from young people?)」。
オーストラリアのシドニーでも、授業をボイコットした学生ら数千人が政府に対策強化を求めシュプレヒコールを上げました。9月20日にシドニー中心部で行われた「グローバル気候マーチ」には、参加された方もいるのではないでしょうか?
当日のデモ行進にはオーストラリア国内の110の都市や地域で数万人が参加し、2030年までに二酸化炭素排出量ゼロを達成することや、再生可能エネルギーへの100%の移行を求めました。さらに、気候変動について連邦政府にアクションを求めるオンラインの署名活動では、過去最多となる16万人以上の署名数を集めています。連邦議会に向けられたオンラインの署名活動として、これは過去最多の記録。若者たちは危機感を抱えて行動に移しているのです。
オーストラリアは昨年から記録的な干ばつに見舞われて、地球温暖化との関連が指摘されています。NSW州で最初に飲料水の供給が枯渇する地域のひとつと予想されるダボでは、給水制限を1カ月間でレベル2から4に自主的に引き上げると決定。QLD州でかつて異常と見なされた山火事シーズンの前倒しは今や普通になってきており、VIC州のメルボルンでも9月の夜半の気温が18年ぶりとなる最高気温を記録しています。
しかし、気候変動懐疑派の政治的影響力は依然として強く、モリソン首相は国連で「2030年までに排ガスの排出量を26~28%削減し、2005年を下回る水準まで引き下げることを目標に対策に取り組んでいる」とアピールしているものの、これまでに対策を主張した複数の首相は辞任に追い込まれています。
トゥーンベリさんの呼びかけが世界中に広がり、世界規模のデモにまで発展したのは、ソーシャルメディアのおかげです。トゥーンベリさんが「学校を休んでデモに参加しよう」と呼びかけたメッセージは全世界に広がり、先進国だけでなく多くの途上国の子どもたちをも動かし、世界同時多発のデモを可能にしました。
ニューヨーク・タイムズ紙によれば、「これだけ大規模で広範囲で、貧富の差を超えて、共通の、しかしまだ初期段階の怒りで結ばれた若者の運動を、現代の世界では滅多に見ることがなかった」とのこと。
なぜ、これほどまでに若い世代が、環境問題を始めとした社会的正義に立ち上がるようになったのか? 彼ら若者から何を学ぶべきなのか?
今年のナショナル心理学ウィークでは、そうした若者の社会的正義に対する感情、態度、そして信念にフォーカスし、APSによる調査結果から若者と社会的正義運動、そして心理学と心理科学の関係性について読み解いていきます。
今年の日本語による心理学ワークショップのテーマは「社会的正義と若者」 。地球温暖化を始めとした環境破壊や人種差別など社会的正義について、若者の態度や感情、信念を知りつつ、今なぜ若者の社会的正義についての意見に耳を傾けるべきなのか、科学としての心理学によって解説します!
日豪での臨床経験27年のサイコロジストの話をじっくりと聞いた後は、参加者全員でインタラクティブに話し合いましょう!
開催日時:2019年11月15日(金)17:30 – 19:00
会場:ワールドシティ日本語医療センター内
住所:1/722 George Street, Haymarket NSW 2000
問い合わせ先:0416-006-835(やのしおり宛にテキストを送信してください)
入場:無料
定員:先着10名
気候変動や環境問題、人種差別・平和維持について興味がある16〜25歳までの方は、「Social Justice Youth Advisory Group」と呼ばれるFacebookのオンラインフォーラムに参加し、APSメンバーが進行するディスカッションのもと、オーストラリア全土の若者と意見を交わすことができます(メルボルン在住の場合は対面セッションもあり)。
同じトピックに興味を持つ人々と出会い、自分のスピーキングスキルやリーダーシップ、チームワークの向上を期待できる他、履歴書の項目にも書くことができるでしょう。そしてそれが、研究結果にも生かされます!
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所在地:ワールドシティ日本語医療・歯科センター内, Level 1, 722 George Street, Sydney NSW 2000
電話:0416 006 835(受付時間 8:00 – 22:00)
メール:sydney@cocoroclinic.com
営業時間:月~土 8:30 – 20:00(日祝要相談)※予約制
ウェブ:http://cocoroclinic.com
Facebook:Sydney Cocoro Clinic
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