毎年11月に、オーストラリア心理臨床学会Australian Psychological Societyの主催で、会員が自主的に開催する心理学ウィークイベント。APSは、サイコロジストの最大の所属団体です。毎年APSがテーマを決めて、研究結果を基にした知見をワークショップの内容にしています。
今年のテーマは、
「心理学と社会的正義。若い方から何を学べるか?」でした。環境問題活動家の高校生、グレタ・トゥーンベリさんが世界の注目を集めたり、各地で抗議デモが起こったり、いまタイムリーな話題ですね。
参加者6人にサイコロジスト、そして取材の記者さんの合計8名で、日本語で話し合われました!
フルレポートはこちらです。
https://psychweek.org.au/wp/wp-content/uploads/2019/11/19APS-PsychWeek-Full-Report-FA.pdf
要約のレポートはこちらになります。
https://psychweek.org.au/wp/wp-content/uploads/2019/11/19APS-PsychWeek-Summary-Report.pdf
結果のポイントをいくつかご紹介いたします。
若者が気候変動に関する心配をシェアしたり行動したりする機会を得ると
self efficacy 自己効力感
hopefulness 希望のある感じ
resilience レジリエンス(ストレスを跳ね返す耐性)
が増す。
若者が気候変動についての感情を見過ごされたり、否定や無視をされると
若者の生活の安定感に、否定的な影響が出る。
95%のオーストラリアの若者が、気候変動を深刻な問題だととらえている
4/5の若者が、気候変動について不安になっている
4/5の若者が、気候変動が将来の生活の質を減じると案じている
1/6の若者が、気候変動を心配して眠れなくなっている
3/4の若者が、若者の意見や心配がまともにとらえられていないと感じている
今の世界で何が、最も大きな社会的正義の問題であると思うか
いま正しい変化や行動をとれば、将来世界はどのようになると思うか
社会的正義に関して、コミュニティは何ができると思うか
●自分の意見を堂々と言って、しっかりしている。自分を意見を常に言わせるこちらでの教育の賜物だろう。
●オーストラリアで子どもの頃から育った英語ネイティブの若者ばかりのよう。英語第二言語の若者も入れないと。
●優等生ばかり??こんな企画にも積極的に参加して、成績に記述するネタにしてしまうような。バラエティに富んだ若者の意見を聴きたい。
●理想的なポジティブな意見。そう考え行動してみるのは良いこと。行動しなければ何も変わらない。行動して見たことで、そこからまた気づきや学びがある。
●ポジティブな意見で良いが、現実的な感覚ではあまり言っていない?
●みな同じ感じのポジティブな意見が多いのが少々心地よくない。バラエティのあるちがう意見も聴きたい。
●妥協した大人になってしまった世代が、若者のまっすぐな意見や態度から学べるものがある。
●そのまっすぐ向かう内容が、「社会的正義」でなければならない。例えば犯罪的なことに向かっては困る。
●若者世代なので、そのタイミングの心理的な特性から、活動が「抗議」活動と結びつきやすいのでは。行動するとは、抗議することとイコールのようにとらえられがちかもしれない。そればかりではないはずだ。
●マーティン・プレイスで行われるデモをよく見ている。その中に、環境問題について、先生が小学生の子どもを引率してデモに参加していたりするのを見たが、それはいかがなものか?先生が、判断力のまだ十分でない子どもに洗脳するような形で特定の考え方を入れるのは、問題ではないのか。子ども自身に調べさせ、考えさせ、いろんな意見や判断を自分でできるようにしないと、本質ではない気がする。
●気候変動のリスクを知ると、それが若者のメンタルを不安にさせている面があることを初めて知った。自分たちが生きて活躍する未来を、今の大人たちの考えなしの行動で壊されていく、という危機感が若者にはあり、関心の的になるのはよくわかる。
●ただその気候変動の危機感が、根拠や論理の少ない漠然とした不安感になり、「だから何をやっても意味がない」とか「こんな時代にモチベーションなんか持っても」とか「子どもなんか持てるか」「積極的になんかなれるかと言った、世紀末が近いような虚無感や投げやりな感じにつながってしまうのは良くない。
●よく知り、モチベーションを持って行動すれば得られるものがあると言う体験につながるように。
●先進国の人や若者が環境問題を言って、正しいことを設定しようとする。ただ発展途上国などの現実もある。環境のことなど言ってられず、コストの低い燃料を使うしか生活の便が無いような国や状況もある。それらも知って、現実的に議論する必要がある。
●昨今のSNSの浸透で、自分を演出して見せるのに熱心な人がたくさんいる。気候変動のデモへの参加も、ちゃんと考えてる人もいれば、そのトレンドのことをちゃんと考えていてカッコイイ自分の演出の一つになっている人もいるのでは。
●気候変動のデモに参加する若者の中には、ちゃんと考えている自分をSNSに載せるために参加している人もいるだろうが、国連などで政策を決めるのは、各国の先進国のエライ人たち。発展途上国の人は入っていない。それに若者が抗議している、というのが私の理解だ。
●SNSの普及で、承認欲求、とにかく見て欲しい欲求が強く、自分をどう見せるのかにばかり熱心で、本当の自分の体験はどうでもいい人がいる。そういうのは虚しくないか。自分の体験や本当のモチベーションに根付いていなければ意味がない。
●例えば恐竜が絶滅した隕石がまた降ってくるようなことも、この地球にはあり得る。自分にはそっちの方が怖い。自然の脅威の前では、人間は本当に無力だ。それがあり得ることにも、みなちゃんと気づいているのか?気候変動をどうにかしようという議論はとても意味があるものだが、その中に、人間がちゃんとやればコントロールできるはず、という万能感も見え隠れする・・。
大事なのは自分でモチベーションを持ってちゃんと調べて、自分で考えること
●一番言いたいのは、「自分」を大事にしたい。人の目ばかりを気にするのではなく。ちゃんと自分で考える。どう見られるかばかりを気にして行動を演出したりするのではなく、自分のモチベーションや考えで参加したい。物事をちゃんとクリティカル・シンキングで自分の頭で考え、行動する。
●子どもにも「どうしてだと思う?」と聞いていく。親が答えをどんどん言ってしまうのではなく。モチベーションを持たせるように親や大人は接したい。
話は尽きない私たちですが、予定時刻を20分ほど超過して、人からどう見られるかを過度に気にしたり影響されすぎたりして行動するのではなく、自分自身でちゃんと考えモチベーションを持って行動することの意味を結論として、お開きとなりました。
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