オンライン形式では初の試みとなるオーストラリアおよびニュージーランドの旅行事業者が参加する訪日観光セミナー・商談会「Virtual Japan Travel Expo」(株式会社mov/JAMS.TV共催)が、8月24日~28日の日程で開催された。
世界的な新型コロナウイルス感染拡大の影響で10月に横浜で予定されていた日本政府観光局主催のBtoB商談会「VISIT JAPAN トラベル& MICEマート」が中止となり、またオーストラリアで開催が予定されていた訪日観光セミナー「Japan Roadshow 2020」も延期に追い込まれるなど、各種イベントの開催が軒並み見送られている状況ではあるが、その一方、現地の訪日旅行取扱事業者の間では、オーストラリアから比較的近い距離にあり、世界中から「安心・安全・清潔」な国として評価されている日本がコロナ収束後の海外旅行需要回復の牽引役になるとの期待も持たれており、今後に向けた訪日商品開発・販売の流れをなるべく止めたくないという姿勢を見せている事業者も少なくない。ちなみにこの6月に日本政策投資銀行(DBJ)と日本交通公社(JTBF)が欧米豪居住者を対象に実施した意向調査でも、日本はポスト・コロナにおいて観光旅行をしたい国(地域)の第2位になっている(*1)。
このような状況を踏まえ、ポスト・コロナ時代に向けてオーストラリアでの新規参入・販路拡大を模索している日本の自治体やインバウンド事業者と訪日旅行商品の造成・販売に興味を示すオーストラリアの旅行会社をオンライン上で取り結び、インバウンドビジネス創出を実現させるべく企画・開催されたこの商談会には、日本全国から自治体、宿泊施設や旅行企業の20団体が参加し、現地の旅行関連事業25社の中から事前にマッチングされた商談相手と活発なネットワーキング、そして商品造成に向けた熱のこもったディスカッションがオンライン上で繰り広げられた。
商談会に先立ち、24日と25日には日本側参加団体による観光情報セミナーが実施された。セミナーの冒頭でJNTOシドニー事務所マーケティング担当サリー・マイルズ氏は、海外渡航制限が敷かれているなか、日本政府観光局として消費者に向けて「日本に行こう」という積極的な呼びかけよりも、日本の理解を深めることを主とした発信をSNS上で続けているという現在のプロモーション活動の概要に触れ、また、平行して実施している各テーマに沿った投稿をしてもらう参加型のプレゼントキャンペーンでは、参加者同士のコミュニケーションを活性化することで、訪日旅行欲を高く保ちたいと言及した。JNTOシドニー事務所では5月下旬より現地事業者に向け観光ウェビナーの配信を開始し、日本側からの協力も仰ぎながら、今後の商品造成や販売に活かすことができるようにエデュケーショナル型のコンテンツ提供を実施しているとし、早期市場回復に向け、この難局を一致団結して乗り越えたいと力強いエールを送った。
その後は各々の団体が資料やイメージ、動画などを駆使し、それぞれの地域の魅力を訴求。プレゼンターが観光地からライブ配信するなど臨場感溢れたプレゼンテーションや、チャット機能を通じてプレゼンターと参加者がコメント交換や質疑応答する活発な交流など、今後の観光セミナーの新しい可能性をも感じさせる場面がところどころで展開された。
26日からの商談会は、日本側参加団体と現地エージェントの要望に沿ったマッチングを事前に設定し、運営事務局がファシリテーターとして同席するかたちで実施され、両者による情報交換、ツアー日程や販売方法などの具体的な送客案についてのディスカッションなど、オンラインの場において熱のこもった効率的かつ精度の高い商談が展開された。
国際観光再開の見通しが立たない厳しい状況であっても、復興に向けた取り組みを止めることなく、積極的なプロモーションを実施し、訪日旅行を盛り上げていきたいという両国の観光復興に向けた強い意志が感じられるイベントであった。両国の国境が封鎖されている現在、渡航しなくとも効果的な観光PRと商談が進められる「Virtual Japan Travel Expo」が今後もオーストラリア市場において訪日需要回復の要となることに期待したい。
取材・文:臼井 佑季
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