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オーストラリア国内で日本酒「獺祭(だっさい)」の認知度拡大を目的とした試飲会が、3月25日、シドニーにあるイベントスペースのCreator Unionと日本食レストランのRei Izakayaで、2部構成で開催された。
「獺祭」は山口県岩国市の酒蔵、旭酒造が造る日本酒の銘柄。通常の酒蔵は複数の銘柄を持つのが一般的なところ、旭酒造では「獺祭」一本に絞り、日本酒の中で最も品質が良いとされる純米大吟醸仕込みの商品のみ、使用する原材料は酒米の王様と呼ばれる「山田錦」と徹底したクオリティの地酒を造り続けている。
全国の地酒の中でも指折りの飲みやすさ、酒質の綺麗さから、今やその名声は日本に留まらない旭酒造の「獺祭」だが、より大きな市場を求めて山口県から東京のみならずニューヨークへの進出を果たすなど、現在は売上全体の6割が国内市場、4割が海外市場となっている。将来的には海外市場での売上9割を目指し、今回のオーストラリアでの試飲会に踏み切った。
昼の部のメディア&インフルエンサー向け試飲会では、主にオーストラリア現地の中国系メディア、インフルエンサーら約40名を招き、「獺祭」の由来や歴史、酒造り、企業信念を紹介後、「獺祭」ブランドのうち「純米大吟醸 磨き二割三部」、「純米大吟醸 磨き三割九部」、「純米大吟醸45」の3種が参加者に振る舞われた。
夜の部の一般客向け試飲会では、会場をRei Izakayaに移し、同店を訪れた一般客に前述の「獺祭」3種を無料で試飲提供した。同店は今年2月にオープンしたばかりの居酒屋で、焼き鳥やおでんを中心としたさまざまな日本食を味わえる。「来店客に日本の居酒屋体験をしてもらいたい」という同店オーナーの願いのもと、当日は100名以上の来店客が日本酒と合うおつまみとともに「獺祭」の味わいを楽しんだ。
写真・向かって左から2番目:旭酒造営業部(輸出担当/Export Department)の山森健成さん
「酔えばいい、売れればいい酒ではなく、おいしい酒・楽しむ酒」を信念とする旭酒造。「酒のある楽しい生活」を提案する酒蔵でもありたいと、生活の中にある一つの道具として楽しめるような日本酒を目指して「獺祭」を醸しているという。酒造りも杜氏だけに頼らず社員全員で進めていくため、社員ひとりひとりが酒造りの匠と言える。
現状を良しとするのではなく、毎年さらなる試行錯誤を繰り返し、研鑽を積み重ねながら酒造りの変革に取り組む中で、誰が飲んでもすぐに「良い酒」だということがわかる、表面的な美味しさから内面的にもさまざま味わえる奥深い美味しさを求めて企業努力を怠らない。山口県の奥にある小さな酒蔵から大都市の東京やニューヨークへ進出していくことも、「品質にこだわりぬいて造ったお酒だからこそ、少しでも多くの人に知ってもらいたい」という熱意のかたちだ。
今回のシドニーでの試飲会を担当した旭酒造営業部(輸出担当/Export Department)の山森健成さんは、オーストラリアに住む人々に向けて旭酒造一同が抱く思いを語った。
「『獺祭』という銘柄の認知が広がるにつれ、日本の伝統を一刷して造っているのではないか、売るために機械で大量生産しているのではないか、と誤解されがちですが、社員一同ですべて手作りして、どうすればこのお酒をもっと美味しく、美味しいかたちのまま皆さんに届けられるのかを一つ一つ考えながら、皆さんが求めるお酒を造りたい一心で精進する日々です。
今回のオーストラリアでのイベントも、普段リーチできない方々に『獺祭』はこんなに美味しい日本酒なんだと実際に味わって知ってもらいたい思いがあるからこそ。酔うため、売るための酒ではなく、味わう酒を多くの人に楽しんでもらうため、今後も色々なところで試飲の機会をつくっていきたいと考えております」
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