日系コミュニティ

メルボルンで酒フェスティバル&江戸デジタルアート展が開催

オーストラリアの在留邦人や当地事業者、政府機関・団体と共に、日豪の共感溢れる社会作りを目指し、オンラインとオフラインの両面からオーストラリアの生活・観光情報や広告サービスを幅広く提供しているJAMS.TV Pty Ltdによる日本の祭典「酒フェスティバル(Australian Sake Festival)2023 & 江戸デジタルアート展」が、2023年7月1日(土)と2日(日)の2日間、メルボルンのクイーン・ヴィクトリア・マーケットで開催された。

初開催された昨年の「酒フェスティバル 2022」では、200種以上の日本酒をテイスティングできることを最大の目玉とし、入場チケットはイベント3週間前にしてすでに完売という人気ぶりを見せた。

イベントを主催したJAMS.TVスタッフの面々

2回目の開催となる今年は「日本の酒・食・文化・観光」の4つをテーマに昨年以上に規模を拡大し、シドニーとメルボルンの2都市で開催が決定。年々拡大傾向にある「日本の酒・食・文化・観光」分野のオーストラリア人気において、一つの分野に特化した発信ではなく日本文化を総体的に伝えることで、日本について一部または表面的にしか知らない人々の知識と興味を広げる狙いだ。また、参加者が日本文化を日常的に愉しむ機会を増やすことで、オーストラリア国内における日本産食品・製品市場、インバウンド観光市場、芸術分野や文化交流の拡大に繋がり、新たな切り口で日本を訪れるきっかけとなるだろう。

3,000枚の前売りチケットはイベント開催1週間前に完売。当日入場客も合わせ、2日間で3,500人が訪れ大変盛況なイベントとなった。

イベント会場は2つの大きなエリアに分けられて開催された。

一つは昨年から継続して中心となる、日本酒を堪能できるエリアの「酒フェスティバル」だ。本イベントのために来豪出店した日本の酒蔵・酒造メーカーの各ブースで、日本酒を中心としたさまざまなタイプの日本の酒(リキュール・焼酎・ウイスキー・ジン、梅酒、ゆず酒などの果実酒など)200種類以上が試飲販売されたほか、日本の酒をより楽しむための酒器や、酒の肴に欠かせないフードも現地レストランから多数出品販売された。今年は日本酒のみならず、日本食や観光をはじめとした幅広い日本文化の伝達を目指して17歳以下の未成年も入場可とし、子どもから大人まで楽しめるよう多彩な企画が導入された。

それが、もう一つのエリアである江戸をテーマにした企画展示の「江戸デジタルアート展」だ。

「江戸文化」を総合テーマに、浮世絵、舞台芸能、生活文化、食文化、酒造りの歴史、伝統工芸、伝統ファッションなど歴史ある日本の魅力を巨大なデジタルスクリーンで演出し、特設ステージで日本伝統の文化芸能パフォーマーらによる華やかなパフォーマンス、ワークショップなどを披露することで、幅広い年代層が楽しめる企画となった。また、会場では日本の伝統工芸などの日本産製品の展示販売も展開された。オーストラリアにいながら日本の文化体験に触れながら、現代に残る江戸時代のさまざまな産業や文化が生まれた背景を知る人々の様子は、まるで「 現世を浮かれて楽しむ」という浮世絵の時代を蘇らせたようなにぎわいを見せた。


ステージパフォーマーの面々

イベント当日は、DJ Naruによる会場BGMを皮切りに、ステージではアメリカ人津軽三味線奏者「Kanzemi」による演奏後、在メルボルン日本国総領事館の島田順二総領事による挨拶(1日目のみ)があった。その後、メルボルンを中心に活動する「和太鼓りんどう」や殺陣・日本舞踊「凛派」、ミュージシャンの「Mizuki」、花と人間を融合させた新しいアート「HANANINGEN」による日本の魅力にあふれたパフォーマンスが会場を盛り上げた。

「江戸デジタルアート展」の巨大スクリーンにはさまざまな江戸にまつわる映像が映し出され、会場全体では東京の合羽橋に店を構える箸専門店の『はし藤』による箸作りワークショップや「Australian Sake Awards」の審査員も務めたSimone Maynardによる酒セミナー、日本で初の外国人杜氏である『木下酒造』の
Philip Harperによる酒セミナーなどが催された。

老若男女かつ多国籍の人々が集まり、大盛況で幕を閉じたメルボルンの同イベントは、9月30日(土)と10月1日(日)、シドニーのカレッジワークスでも開催される。シドニーでは2日間で5,000人の集客を目指し、現在チケットが販売されている。

イベントを主催したJAMS.TV各担当者のコメント

取締役会長 鷲足博

「メルボルンには世界各国から移民が持ち込んだソウルフードが集まり、色彩豊かな食文化圏が形成されています。私どもJAMS.TVスタッフはシドニーと日本をベースにしており、今回はアウェイでの初開催と言えるイベントでしたが、第1回酒フェスティバルの3.5倍もの来場者を迎えることができ、弊社にとって大きな挑戦となりました。遠藤社長の楽観的な人柄に押され、現場の即興力あふれるスタッフに支えられ、とても楽しく、大きな事故もなく、無事イベントを終えることができて嬉しく思います。

来場者のみなさまには、私たちの酒フェスティバルに足を運んでいただき、熱心に盛り上げていただきました。その笑顔と楽しい雰囲気が私どもの努力の報酬となり、イベントの成功へと結びついたことを感謝いたします。

蔵元と出展者の方々には素晴らしいお酒や品々を持ち寄っていただき、私どもの酒フェスティバルに“ニッポン独自の魅力”を与えていただきました。多様なお酒のバラエティがあってこそのイベントであり、皆さんの協力がなければ成し得なかったことを心から感謝しています。また、ステージパフォーマーの方々には、素晴らしい演技やパフォーマンスで来場者を楽しませていただきました。和太鼓をはじめ、和装と美しい花々で髪を飾るファッションショーや数々のエンターテインメントがイベントの雰囲気を一層盛り上げ、思い出に残る素晴らしい時間を提供してくださいました。そして、会場スタッフやPA、MCさんなど裏方の努力は、スムーズな進行と心地よい空間を創り出し、魅力的な場としてのイベントの完成度を高め、円滑な運営に欠かせないものでした。

最後になりますが、本イベントの成功は地元メルボルンベースの長谷川潤さん、黒川豪人さん、そして彼らが率いるチームメンバーのみなさまのご支援とご協力抜きには決して成し得ませんでした。改めまして、心よりお礼申し上げます。今後も素晴らしい酒フェスティバルを持続的に提供できるよう、好奇心と柔軟性、冒険心を持ちながらみなさまと共に成長し、より多くの人々に喜んでいただけるイベントを実現していくことをお約束いたします。」

取締役社長 遠藤烈士

「前回と比較して『メルボルンでの開催、2日間での開催、3,500人の集客イベント開催』という3つの大きな初挑戦がありましたが、無事に大きな事故もなく終えることができました。ご協力いただいた出展者、出演者、スタッフのみなさま、本当にありがとうございました。メルボルンはシドニーと同等の大きな日本酒市場を持っていながら、シドニーとはまた違った市場形成がされており、今後も独自に展開していくであろう非常に興味深い街。これからもメルボルンならではイベントを企画していきたいと考えています。

出展者や出演者の中には日本やシドニーの方も多く参加され、そのご家族やご友人、会社関係者などさまざまな方々が当人を裏で支えておられました。本当に多くの方が関わり、そして大きな期待を寄せているイベントであることは大変光栄で嬉しくもあり、同時に責任の大きさを感じ、背筋が伸びる思いでした。主催者として、しっかりと安全にイベントを実施すること、十分な集客で出展者や出演者のみなさまの成果につながるようサポートすること、来場者のみなさまに楽しんでいただき日本のファンを獲得すること。この3つを責任持って全うすることが主催者としての責務であり、我々の役割だと理解しました。

『日本酒を広めるためには何をすれば良いのか?』この問いに答えるためにスタートしたイベントです。来場者のみなさまに楽しみながら日本酒を知っていただき、日本を好きになっていただき、イベント閉幕後もまた日本酒を買いたいと思っていただきたい。そのためにはシンプルに試飲を提供するだけでは不十分で、強く印象に残るようなものにする必要があります。今後もさまざまな仕掛けやインパクトあふれるイベント運営を心がけ、継続して開催を目指して参りたいと思います。

ご協力いただける方、企業様、コンテンツ提供者は常に募集しております。ぜひ一緒にカッコいいイベントを作りましょう! いつでも私どもにお声がけください。ご連絡をお待ちしております。」

江戸デジタル展エリア担当 小西えりこ

「今回は『酒フェスティバル×江戸デジタル展』という初の試みでしたが、お酒好きな方々のみならず、お酒を飲まなくても日本文化に興味がある方にも魅力的なポテンシャルのある展示ブースになりました。LEDスクリーンでの江戸時代での映像だけでなく日本酒セミナーも開催し、多くの方に興味を持っていいただけるセクションで、まだまだ伸び代のある分野だと思います。

今年のメルボルンの観客層は、昨年のシドニーとはまた違ってとても興味深かったです。オーストラリア人の方々はもちろん、学生やアートに興味のある方なども観客層に多くみられて、シドニーとは別の日豪の友好関係の可能性を感じました。江戸デジタル展の隣のブースに『はし藤』様の販売/ワークショップがありましたが、どちらも2日間ともに大盛況だったのがとても印象的でした。

私は設営担当だったため、出展者様からの声を直接聞く機会はありませんでしたが、無事に安全に機材の設営ができ、本当によかったです。また、備品の準備を間に合わせ、当日対応していただいた社内スタッフには感謝の気持ちでいっぱいです。当日の運営スケジュールについては色々と改善点もありますが、イベントが始まるともう自然に転がっていく感じで、会場内、セキュリティ、コントラクター、メディアの各担当者、来場者、そしてボランティアの方々からのポジティブな声をお聞きし、オーストラリア国内での酒フェスティバル自体の将来性を強く感じました。」

受付担当 臼井佑季

「カップルや友達同士などグループで来場されている方に加え、お一人でいらっしゃった方も想像以上に多く驚きました。年齢構成もバラバラで、若年層からシニア層まで幅広い方々に日本酒が受け入れられているんだなと嬉しかったです。文化体験、歴史、ポップカルチャーや食文化などさまざまな要素が詰まったイベントでしたので、日本酒を味わうだけでなく日本の文化やグルメを身近に体験することで親近感を育み、多様な日本の魅力に触れていただけたのではと思います。

両日とも受付を担当しましたが、来場者の方が帰られる際に『Arigato!Sayonara!』と日本語で声をかけると、皆さんが笑顔で手を振ってくださったことが印象的です。充実したひとときを過ごしてもらえたのではないかと思います。中には『日本酒がこんなにも奥深いなんて知らなかった!』や『来年も開催してくれるよね?』と本イベントでの発見や来年の開催をもう待ち望んでいてくれる方もいらしてほっこりしました。」

受付担当 内田嘉子

「来場者の年齢層に大きな偏りがなく、予想していたよりも幅広い世代に日本酒が愛されていることに驚きました。日本の製品や食品、お酒、文化に実際に触れて楽しめることで他にはない体験をしていただき、お互いの文化に対する理解が深まったと思います。

出展者様から『出展して本当に良かった』と満足の声もたくさん頂戴しており、日本の企業様に対してはオーストラリアという国と市場の魅力を、オーストラリアの方々に対しては日本の文化や製品の魅力を、たくさん伝えることができた嬉しさが印象に残っています。とても良いイベントだと感じました。」

パフォーマンスステージ担当 佐々木里香

「日本酒がメインとなるイベントではありましたが、ステージでパフォーマンスが始まると多くの観客のみなさまがステージ周辺に集まり、パフォーマンスを楽しんでいただけていることが目に見えて分かり、演出後にパフォーマーと写真を撮っている方も多くみられました。パフォーマンスで三味線、和太鼓、殺陣、邦楽、生け花などさまざまな面で日本文化を表現することができ、より多くの方々に食や酒以外の面でも日本に興味を持っていただくことができたのではないかと思います。

来場者以外にも会場のクイーンズ・ヴィクトリア・マーケットに訪れている人々までパフォーマンスの音声が聞こえ、何のイベントなのか、どこで入場チケットが購入できるのかと尋ねられ、来年は必ずチケットを購入するとおっしゃってくださる方もいました。」

パフォーマンスステージ・マーチャンダイズ担当 関根浩美

「ステージのMCを担当されたAriさんが、自前の浴衣を着て英語と日本語でのMCで盛り上げてくださり、ステージが盛り上がりました。華やかな『HANANINGEN』のアートを施された振袖のモデルショーはもちろんのこと、会場内を練り歩くなかで写真を一緒に撮りたいと集まってくださる方や着物姿の方もいらっしゃり、来場者から日本文化への関心が伺えました。

マーチャンダイズでは日本らしい柄形のエコバッグを持参された方や『ありがとう』と声掛けしてくれる方もいらっしゃり、日本自体に興味関心がある方が多かったことを肌で感じました。『すみだ北斎美術館』のパンフレット、絵葉書などをマーチャンダイズに設置しておりましたが、江戸デジタルアート展のスクリーンと隣接していたことも影響してなのか、全体を俯瞰して浮世絵、日本のアートへの関心が高いことも感じられました。ステージでも日本の伝統的なパフォーマンスは非常に盛り上がり、酒・食・文化を全体的に味わい、楽しんでいる方が多いことが垣間見られ、来場者の方々の笑顔がとても印象に残っています。

本イベントはメルボルンでの初開催ということもあり、市民の方々へ新たな日本の酒・食・文化体験の場を提供することができ、実際に目で見て味わうことによりさまざまな角度からの興味を刺激することができたのではないかと思います。来年に向けた期待やワクワク感を感じていただけていると嬉しく思います。」

イベント来場客の方々の様子




会場内の日本酒、日本食の提供関係者の方々







全ての写真:Sayu Matsunaga

イベントの様子(公式動画)

動画制作:Maiko Videography

Bohemian Rhapsody Weekly Magazine 様

Sanja Mihajlovic 様

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