2024年3月12日、日本国内の外国語教育の充実と地域レベルでの国際交流を推進する「JETプログラム」の日本からの帰国者歓迎レセプションが、在シドニー日本国総領事公邸にて開催された。
「JETプログラム」の正式名称は「語学指導等を行う外国青年招致事業」 (The Japan Exchange and Teaching Programme) 。地方公共団体が総務省、外務省、文部科学省及び一般財団法人自治体国際化協会(以下:CLAIR)の協力の下に実施しており、外国語教育の充実と地域レベルの国際交流の進展を図ることを通し、諸外国との相互理解の増進と日本の地域の国際化の推進に寄与することを目的としている。
今回のレセプションの冒頭では、德田修一在シドニー総領事が挨拶。プログラム参加者を労い、プログラムを通して育まれる日豪両国の相互理解と親善がいかにかけがえのないものであるかを語った。
引き続き、CLAIRシドニー事務所の小泉さよ子次長(名古屋市派遣)、JETプログラム経験者の会NSW州支部(The JET Alumni Association of New South Wales:以下AANSW)のAngelo Mendoza副会長、最後にH&H LawyersのTin-Lok Shea氏が、順に帰国者を労った。
Mendoza副会長はAANSWの活動内容を紹介し、JETプログラムとその卒業生を支援している旨を伝えると、帰国後に経験する“逆カルチャーショック”を例に出し、オーストラリアで日本生活に理解ある人たちとつながることができる選択肢を提供した。
日本から帰国したオーストラリア人参加者から帰任の報告も行われた。毎年プログラム参加者は、日本全国の学校で外国語を教えたり、各地方公共団体における国際交流活動に携わることにより、地域の住民と様々な形で交流を深める。今回の帰任報告では、帰国者がそれぞれ日本での個人的な経験や培った財産、語学力の向上、今後の進路など充実したプログラムの成果を語った。
「佐賀県唐津市に5年間滞在しましたが、一番の思い出は生徒に英語を教えたことです。みんな、私が挨拶すると毎回エネルギッシュに返事をしてくれました。小さな港町の唐津は陶芸が有名ですが、5年間ほど陶芸を楽しみ、出品した作品がコンクールで優勝したこともあります。
最初は通訳になりたくて日本に行くのが夢でした。今は日本語と英語、そしてベトナム語を使う仕事に就きたいです。語学が趣味なので、韓国語も勉強しています。
大学生の頃の僕はとてもシャイでしたが、JETプログラムでは教師としてクラスの前に出ないといけない。人前で話す方法を学びました。今はもう人前で話すのが怖くありません。未来プログラム参加者には、思いとどまってしまう前に応募すべきだと伝えたいです。僕は最終的には人生で最高の決断ができました」
「私は東京に2017年12月から2023年4月まで約5年半、JETプログラム参加者として滞在しました。母国の高校・大学で日本語を専攻し、大学卒業時には交換留学も経験しています。その時に再び日本に行きたいと思っていたので、教職の学位は持っていませんでしたがプログラムへの参加を決めました。
数々の異文化交流があり、毎日新しいことを発見することができました。プログラムを通して、自分の強みが何なのか、どのような方法で自分が会社に貢献できるのかなど多くのスキルや知識を得ることができたと思います。柔軟性をもって土壇場でも計画を変更できること、それに対応していくことの重要さも学びました。
未来のプログラム参加者に伝えることがあるとすれば、JETプログラムは素晴らしい機会だということです。希望している配属地にはならないかもしれないけれど、それも冒険のうちだと思います」
帰国者にはプログラム卒業生として、これから諸外国との相互理解を増進するとともに、今後も日豪の架け橋の担い手となることが期待される。
最後に、德田総領事から乾杯の挨拶があり、会場ではJETプログラムの帰任者が滞在していた地域のご当地グルメも振舞われた。秋田のハムカツ丼、宮城の冷やし中華サラダ、東京の海老天、栃木の干ぴょう巻き、愛知の小倉トースト、兵庫のおでん、山口の鯛とごぼうの煮付け、ちらし寿司など日本各地のグルメが一堂に会し、参加者らの歓談に彩りを添えた。
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