2025年1月23日、日本国内の外国語教育の充実と地域レベルでの国際交流を推進する「JETプログラム」の日本からの帰国者歓迎レセプションが、在シドニー日本国総領事公邸にて開催された。
「JETプログラム」の正式名称は「語学指導等を行う外国青年招致事業」 (The Japan Exchange and Teaching Programme) 。地方公共団体が総務省、外務省、文部科学省及び一般財団法人自治体国際化協会(以下:CLAIR)の協力の下に実施しており、外国語教育の充実と地域レベルの国際交流の進展を図ることを通し、諸外国との相互理解の増進と日本の地域の国際化の推進に寄与することを目的としている。
今回のレセプションは、昨年10月18日に着任した山中修在シドニー総領事が開会の挨拶からスタート。山中総領事自身、学生時代に外国人教師との出会いを経て国際交流を推進することの重要性と責任を感じて以来、それが心の拠り所となっているという。そのことを帰国者に伝えた上で献身に感謝の意を示し、彼らの将来にエールを送った。
続いて、JETプログラム経験者の会NSW州支部(The JET Alumni Association of New South Wales:以下JETAA NSW)のAngelo Mendoza会長によるスピーチでは、日豪の交流会や文化イベント、Australian-Japan Society of NSWとのランゲージ・エクスチェンジなど、さまざまな活動に力を入れているJETAA NSWについて紹介があり、帰国者に日本文化との絆を維持し、コミュニティのつながりを育む役割を担う場があることを伝えた。
その後、CLAIRシドニー事務所の平木万也所長による乾杯の挨拶があり、JETプログラム参加者はみな、滞在した日本の各地域に永続的な影響を残せていること、参加者自身にとっても日本とのつながりが人生の物語の大切な一部であり続けることを語った。
会場では恒例の日本のグルメが振舞われ、参加者はみな日本の味に舌鼓を打ちながら、有意義な歓談を楽しんでいた。鯖味噌煮、焼き鳥、唐揚げ、肉じゃが、出汁巻き玉子、ちらし寿司、茄子の揚げびたし、冷蕎麦など日本の食卓でも定番の和食が並んだ今年のメニューは、懐かしい日本の思い出を呼び起こさせるきっかけとなったことだろう。
最後に、日本から帰国したオーストラリア人参加者から帰任の報告が行われた。毎年プログラム参加者は、日本全国の学校で外国語を教えたり、各地方公共団体における国際交流活動に携わることにより、地域の住民と様々な形で交流を深める。今回の帰任報告から、帰国者2名に話を伺った。
「小さい頃に日本アニメの『セーラームーン』を観てから、日本への好奇心に火が点きました。西洋アニメとは全く違っていたので。何度も日本を訪れるうち、やがてその興味が日本の歴史や食、ファッションへの憧れへと発展していき、最終的に『日本に住んでもっと日本の体験をしたい』と思うようになりました。
プログラム滞在先は福島県いわき市で、現地ではALT(外国語指導助手)を務めました。全員で27名のALTがいて、私は中学校5校を担当しました。多くの生徒と出会いましたが、一番大きな中学校には生徒が約500名もいて、一番小さな中学校には3名しかおらずとても対照的でした。温かく寛大なコミュニティで5年間、英語キャンプを企画するなどさまざまな経験をし、エリア・サポート・リーダーとしてより責任を持って多くの活動に関わることもできました。今後は、私が教えた日本の生徒達とのつながりを維持していきながら、オーストラリアで教師を目指したいです。
また、私自身の大きな変化として、人前で気楽に話すことができるようになったことがあります。福島県に来た当初は日本語があまり話せなかったので、英語を学ぶ生徒達の気持ちにはとても共感しました。他の言語で話すことは最初は気後れしますが、間違えて滑稽に見えても、大半の人はあなたのことを理解したいだけ。少し恥ずかしくてもチャンスを掴んでいいんだという自信を持てました。
JETプログラムに参加するなら、自国の文化を代表していることを忘れないことが大事だと思います。日本の風習や作法は、私達が慣れ親しんでいる方法とは違うかもしれませんが、それも文化交流の一部です。アプローチや視点が違っても、周囲の人々はあなたと同じように懸命に動いてくれているのだと信じること。特に小さな町では外国人は目立つ存在ですが、スーパーマーケットのおばあさんから公共交通機関にいる不特定多数の人まで、善意であることを前提にして友好的であり続けること。それがJETプログラムの根幹ではないでしょうか」
「プログラムに参加した理由は、大学で世界文学を学び、日本の作家がとても好きになったことが始まりです。卒業後は1カ月間日本を訪問し、しまなみ海道をサイクリングしました。その時に『また日本に戻って仕事がしたい』と思ったんです。
プログラム滞在先である東京の浅草で、中高一貫校のALT(外国語指導助手)を務めました。シドニー大学で非常勤講師としての経験があり、リード・ティーチャーの役割を与えられ、主に海外で生活して日本に帰国した日本人の生徒達に英語を教えていました。
来日当初、僕は全く日本語を話せませんでしたが、プログラムを通して適応能力や協調性を身につけられたと思います。東京ではALTのアパートは家具も何もない空室から始まるので、最初の夜は着の身着のままで寝ることになりました(笑)今では良い思い出です。
将来は豪州外務貿易省で働きたいと考えています。今は豪州内務省で働いているので、その中の入国管理局に異動できればと。今後アジアや日本に駐在することになるかもしれません。そうして、日豪関係を強化できるような仕事を続けたいですね。
JETプログラムへの応募を検討しているなら、ぜひ応募してもらいたいです。異なる文化、言語、価値観を持つ人々と出会える素晴らしいプログラムなので。先入観を持たず、日本の人々、文化、経験に対してオープンであることが重要だと思います」
帰国者にはプログラム卒業生として、貴重な経験を通じて培った知識や地域とのつながりを今後も活かし、日豪関係を今後より一層深めてゆく架け橋として、諸外国との相互理解を増進する一助となることが期待される。
The post 在シドニー総領事公邸でJETプログラム帰国者レセプションが開催(2024年度) appeared first on サザンクロス・プロモーションズ.
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