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2025年は訪日オーストラリア人100万人達成へ!訪日観光セミナー「Japan Roadshow 2025」開催

JNTO(Japan National Tourism Organization/日本政府観光局)主催による訪日観光セミナー・商談会「Japan Roadshow 2025」が、2月3日にパース、5日にシドニーで開催された。

ビジット・ジャパン(VJ)事業の定例施策として、オーストラリアとニュージーランドの現地旅行会社などを対象とした訪日旅行商談会は、日本から参加するインバウンド関係者(地方自治体、航空会社、宿泊施設、DMC等)と現地旅行会社(リテーラー、ツアーオペレーター)が商談を行い、訪日旅行商品の企画や新規販売につなげることを目的としている。

今回の商談会には、日本全国からパース会場にセラー38団体・バイヤー71名、シドニー会場にセラー39団体・バイヤー135名が参加し、新たなネットワーキングを構築する密な商談会が開かれた。

JNTOによると、昨今の日豪関係は文化交流や盛んな旅行産業を原動力にますます強固なものとなっている。昨年日本を訪れたオーストラリア人旅行者は過去最高の92万人を記録し、2019年と比較して48%増加した。2024年12月には単月で過去最高の112,500人の訪日オーストラリア人旅行者を記録し、2025年1月もこの数字を上回るだろう。他国からの旅行者と比べて日本に長く滞在する傾向があるオーストラリア人旅行者は、日本にとって潜在価値の高い顧客であり、今年は念願の100万人を達成することが期待される。

今年4月からは、いよいよ「Expo2025 大阪・関西万博」が開幕となる。大阪市の人工島「夢洲」にて、4月13日から10月13日までの長期にわたって開催される万博では、約160カ国が参加し、日本の多様性、文化、最先端技術が紹介される。「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、会期中の7カ月間で8,000を超えるイベントが開催され、想定来場者数は2,820万人、そのうち1割強の350万人が海外からの来場と見込まれている。また、夢洲だけでなく大阪各地で、関西が誇る食や観光、歴史・伝統文化、産業・技術、アート・カルチャーなど関西エリアの魅力が盛り込まれた参加・体験型イベントも企画されている。

パース会場とシドニー会場では、その大阪・関西万博の魅力をオーストラリアに積極的にアピールするため、公式キャラクターの「ミャクミャク」もサプライズで登場した。ユニークなマスコットは参加者からの人気を集め、ミャクミャクと一緒に楽しげに記念写真を撮影する人々も多く見られた。

今年さらに多くのオーストラリア人が大阪・関西万博を機に日本を訪れ、その豊かな文化に触れることで自国への理解も深めることができれば、日豪関係はより信頼ある絆を結ぶことができるだろう。在シドニー日本国総領事館の山中修総領事は、その理由を以下のように語る。

「日本といえば、東京・京都・広島を思い浮かべる外国人旅行者が多いですが、日本はどの地域にも独自の文化や料理、体験があります。それらの歴史は150年以上続いた江戸時代にまで遡り、当時から約300の藩がそれぞれの地で伝統や習慣を発展させ、独自の遺産として今日まで受け継がれてきました。そこには、日本列島の多様な気候や景観が果たしてきた役割も大きいでしょう。

例えば、日本には1,200を超える酒蔵があり、各土地の水質や気候に合った独特の風味を持つ酒を造っていますが、そうした酒造りの技術は今やユネスコに認められ、昨年晴れて無形文化遺産にも登録されました。

本日の集いでは、日本全国から集まった多くの代表者がそれぞれの土地の魅力や見どころを語ってくれます。2025年が日本のインバウンド観光にとって画期的な年となり、訪日オーストラリア人旅行者数が100万人の大台を突破する一助となることを期待しています」

プレゼンテーションを披露したJNTOシドニー事務所のビジネス開発&マーケティング・シニアアシスタント・マネージャーのHarriett Bougher氏は、2024年にオーストラリア人が旅行した国のデータを踏まえ、注目すべき点を紹介した。

「日本は昨年、2023年から米国と中国を上回って2つ順位を上げ、オーストラリアにとってインドネシアとニュージーランドに次ぐ3番目に人気のある海外旅行先となりました。そして、オーストラリア人旅行者の新たなトレンドには今、“日本の地方部への関心の高まり”が浮上しています。日本の主要都市だけでなく、さまざまな県に長期滞在するオーストラリア人が増えているのです。

その中でも注目すべき県をいくつかご紹介します。

・四国にある愛媛県は、2019年から2024年にかけてオーストラリアからの訪問者数が倍増している。
・金沢市で知られる石川県も、オーストラリアからの訪問者数が飛躍的に伸びている。
・温泉で知られる大分県も、オーストラリアからの訪問者数が大幅に増加。2019年にラグビー・ワールドカップの影響で約1万泊分の観光客が訪れたこともあるが、それを除いても好調な伸びを維持しており、オーストラリア人が石川県に関心があることを示している。
・ビーチで有名な沖縄県も、引き続き多くのオーストラリア人観光客を惹きつけている。
・富士山を擁する静岡県も人気を集めており、オーストラリア人が定番の観光地からも足を伸ばして探索するようになった傾向を示している。

また、日本の重要な季節として“夏”を例に挙げたいと思います。日本は春の桜や冬のパウダースノーで知られていますが、6月から8月にかけての緑の季節にも、以下のような見どころが多くあります。

・鳥取県の大山や、大分県の由布岳といった標高の高い場所は快適なハイキングを楽しめる。
・沖縄県をはじめ、慶良間諸島、宮崎県では、シュノーケリング、スキューバダイビング、サーフィンなどのウォーターアクティビティが楽しめる。
・日本の夏は活気あふれる祭りのシーズン。青森県の「ねぶた祭り」や徳島県の「阿波おどり」などは夏にしか開催されないため、この季節に現地を訪れるだけの価値がある。

東京、京都、大阪のような大都市は、依然として絶大な人気を誇っています。その上で、JNTOは『サステナブル、アドベンチャー、ラグジュアリー・ツーリズム』に焦点を当て、日本各地の多様な観光資源を紹介しながら、特にリピーターの旅行者に向けて日本全国の穴場の観光地を勧めています」

最後に、シドニー会場で開会の挨拶を担ったJNTOシドニー事務所北澤直樹所長に、現在の日豪インバウンドについて話を伺った。

「2024年のオーストラリアの海外旅行者数自体は1,000万人と変わりませんが、日本への旅行者が約48%増加しました。そのため、日本の存在感がより高まっている状況です。要因としては、日本ブーム、日本食の人気、そして円安が挙げられます。日本の物価も上がってはいますが、それでも他国と比べると安価。ハイクオリティな商品や食事を楽しめる点が、オーストラリア人観光客が増加した主な要因になっていると考えられます。

日豪のフライト路線が復活し、航空券の価格も落ち着いてきたことも大きな要因かと思います。また、今日は地方自治体の方々が積極的にオーストラリアでプロモーションを実施し、B2B・B2Cの両面で認知が広がっている感覚があり、そうした点も非常に重要であると言えます。

統計によると、静岡県や愛知県、九州地方の訪問者数が大きく伸びています。九州はJNTOのプロモーションも功を奏したこともあり、ゴールデンルートをすでに回ったリピーター訪日旅行者から、九州の自然、温泉やサイクリングなどが注目されて選ばれるようになった結果かと思われます。

静岡県は、富士山ローソンの写真がSNSで話題になるなどして富士山の人気が高まり、山梨県側で宿泊施設の予約も難しくなるほどで、結果的に静岡県側にも滞在する観光客が増えました。また、ジャパン・レール・パスの値上がりから単券購入が増え、ゴールデンルートに集中する傾向が見られます。そうした影響から、静岡県は2023年よりも300%ほど観光客が大幅に増加しました。

一方で、インバウンド需要が増加する中で、オーバーツーリズムへの対処は世界的な課題です。日本政府としても、2030年までに6,000万人の訪日客を目指す上で、大都市への訪問を促しつつ、2〜3回目のリピーター訪日旅行者に対して日本人がよく訪れる地方を紹介することで、観光客の分散を図りたいと考えています。

オーストラリア人は日本の歴史や文化や食を求めて来日するので、例えば「スキーをした夜にスナック巡りをしたい」といった声を実際にツアー化し、現地の居酒屋で日本人と交流できる場を提供するなど、少しのアイデアでもより魅力的な体験になるでしょう。

また、日本の小学校では社会科見学で地元の施設などを訪問しますが、このような地域に密着した施設も深く掘り下げてご紹介していただきたいです。地元の方は「外国人はこんな場所には来ない」と思いがちですが、その土地を深く知りたいオーストラリアの旅行者は非常に多く、地方誘客の可能性が広がると考えています。

しかしながら、山形県の銀山温泉など地方によっては、すでにオーバーツーリズムが発生している地域もあります。適切な分散施策なしには地方の負担が集中してしまうため、自治体とも協力しながら持続可能なインバウンド戦略を進めていく必要があります。

同時に、オーストラリア市場においてキーワードとなる高付加価値消費(コト消費)は、まだまだPRが不足しているように思います。JNTOとしても、もう少し予算をかけて地域の魅力を発信する必要があると考えています。例えば、国の政策としてSDGsやAT(アドベンチャートラベルなど)を押しているので、サイクリングやハイキングといったアクティビティを健康志向の体験として打ち出したり、現地でお金を落とすことがその地域の文化の継承につながるのだとSDGsの観点から発信していただくと、オーストラリア人にとって魅力的かと思います。また、地域ごとに4〜5県ほどまとまってプロモーションを展開し、地方にいる方々が自信を持ってPRできるとより良いですね。

JNTOでは今年も例年通り、SNSを中心にBtoCイベントや本日のようなBtoBの相談会を組み合わせて実施しようと考えています。また、新たな試みとしてスポット的に民間企業が主催するBtoCイベントに参画したり、皆さんから提案された媒体を活用することも検討しています。

今年は必ず、訪日オーストラリア人旅行者100万人を達成する年になるだろうという確信があります。この大台は欧米の中では未だアメリカ以外達成していない数。その記念となるであろう年に、日本の皆さんと協力しながらプロモーション取り組んでいければと考えています。機会があれば、ぜひオーストラリアにお越しください」

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