10月9日、海上自衛隊の護衛艦「まきなみ」が、豪艦隊100周年記念国際観艦式、多国間共同訓練トリトン・センテナリー2013及びADMMプラス海上安全保障実動訓練への参加に伴い、シドニーのウルムル地区にある海軍基地(ガーデンアイランド)に寄港した。
今回の一連の式典や訓練への参加は、豪州との友好親善及び参加国との相互理解の強化を図るとともに各種訓練を実施することによる戦術技量の向上が狙いだ。今回の寄港に伴い各国からのゲスト、州政府高官および、在留邦人90名以上を招いた、艦上レセプションが開催された。同レセプションでは、青森ねぶたのミニチュア展示や、護衛艦「まきなみ」の母港、青森県大湊の地酒「関の井」が振る舞われ歓談に花が咲いた。
一等海佐 伍賀祥裕 第3護衛隊司令に聞く
海上自衛隊 一等海佐 伍賀祥裕 第3護衛隊司令(右)と伍賀第3護衛隊司令のアメリカ留学時代の旧知の友人である豪海軍 Craig Powell 艦長(左)
“日豪防衛協力の展望と意義について”
オーストラリアはアジア太平洋州インドまで含むこの地域の大きな能力を持っており、安全保障、外交防衛で協力を強めていかなければならない国だと思います。具体的に言うと、この海域、周辺地域では、津波や災害も多いため、災害救助や、衛生面で先進国のレベルに立ち入っていないところもありますから、人道支援の分野での活躍がまず期待されています。そのほか、将来的に海賊対策や国連が主導するようなやってはならない輸出入を行う国に対する取り組みがあります。根本は憲法・国内法に従ってできる範囲で行うということになりますが、いずれにしても、活動・作戦で協力が求められていく分野です。それは、国民・国の資産を守っていく増資していくということにも役立つことだと考えています。
“オーストラリア海軍と海上自衛隊の違いおよび国際観艦式について”
海上自衛隊の前身、日本海軍は、イギリス海軍に多くを学んでいます。実はオーストラリア海軍とは同じ源流なのです。そのため、多くは同じであり、細かなところは違えども、大きな違和感はありません。むしろ居心地の良さを感じます。国際観艦式を通じて、『彼らはこうやるんだとか、いいところがあるねとか、やっぱりおれたちのほうがいいじゃん』など違いを知ることによって我々自身のアイデンティティ、日本海軍から続く海上自衛隊のいいところを改めて知るきっかけになります。そこから、我々自身の課題、『型どうりじゃだめ、フレキシブルにできなければいけない部分もある』という気づきを得られた点で、オーストラリア海軍だけではなく、ほかの海軍との比較、反省、顧み、気づき、そして次の多様性の時代、フレキシブルな時代にどう取り組むべきか、指揮官は指揮官で、士官たちは士官たちで、下士官たちは下士官たちで、それぞれ受け止めることができたのではないかと思っています。その意味では、大変有意義な訓練となった、シドニー寄港になったと思っています。
“在豪邦人にひとこと”
我々からすると華やかな部分があって羨ましいというところもある一方で、影ではずいぶんご苦労があるのだと思います。その中で、みなさんが頑張ってくださることが、我が国の誇りであり、我が国に暮らす人にとっても、我々も本国、祖国で頑張らなければいけないのだと思える存在になっていると思います。ですので、無理をせず、自分のペースで、しなやかに、日本人らしく、そして、オーストラリアとオーストラリアの人々、オーストラリアに出入りする人々と、仲良く、国のために、世界のために、元気でいていただきたいと心より洋上から願っております。
在シドニー日本国総領事館 小林 敏明 総領事代理
Don Harwin ニュー・サウスウェールズ州上院議長
海上自衛隊 2等海佐 麻生 康晴 艦長
【護衛艦まきなみ】
【レセプションの様子】
【まきなみの母港 青森県大湊・海上自衛隊大湊地方総監部】
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