海外に在住する日本人の安全を守るための安全対策連絡協議会が、在シドニー日本国総領事館の主催で、3月13日(金)、同総領事館にて開催された。
この会議は、在留邦人や観光などでシドニーを訪れる邦人の安全対策に関する情報共有と、関係各機関の連携強化を目的としたもので、日本からの観光客を受け入れ、安全対策危機管理に関わる旅行代理店や航空会社をはじめ、シドニー日本商工会議所、シドニー日本人会、シドニー日本クラブ、シドニー日本人学校のほか、日本政府関係機関と日系メディアが出席した。
会議では、ニュー・サウス・ウェールズ州の治安情勢について、殺人、強盗、窃盗、性犯罪、暴行、傷害などの犯罪発生件数が減少または横ばいであるとしながら、日本と比べて人口当たりの犯罪発生件数は何倍も多く、けしてシドニーは安全な街ではないとの認識が必要。また、薬物に起因した犯罪が多く、さらに、飲酒に絡んだ暴力事件が多発し、バイキーギャングによる発砲事件も多いとの報告があった。
特に、今回の会議では、昨年12月15日にシドニー市内で発生した人質立てこもり事件や、今年1月にシリアで拘束されていた邦人2名が殺害されたテロ事件を教訓とした安全対策についても取り上げられた。
昨年3月の同安全対策連絡協議会では、テロなどの緊急事態に備え、これまでにも増して官民のネットワークの強化、情報共有、危険情報の発信強化が重要とされ、今後は緊急事態発生時の安否確認、危険情報の発信等を強化するため、SMS等による情報発信の導入が計画されているとのことだったが、現在、SMSによる在留邦人への緊急一斉通報システムが運用を開始。また、短期渡航者のための登録システム「たびレジ」の普及・活用促進のために、スマートフォンアプリの開発や広報に力を入れていくとされた。
テロなど、事件や事故に巻き込まれない万全な策があるわけではないが、日常的な心がけで被害を最小限に抑えることが大事だとの説明があった。まず基本の予防策としては、①危ない国・場所・時間帯を避ける、②用心を怠らず、目立たないようにする、③周囲の不審者・不審物に注意を払う、④万が一に備える、の4点が挙げられた。
また、在外公館からの通知やSMSの通報システムなど、情報発信や安否の確認の際には在外公館への提出が求められている「在留届」の情報が元になっているため、在留届の提出はもちろん、内容に変更が生じた際にも速やかに連絡することが望ましく、いざという時のためにも在留届の提出が大事だとされた。
※防犯のための注意事項や生活上の心得などが解説されている、在留邦人向け安全マニュアル「シドニー安全の手引き」が在シドニー日本国総領事館のサイトで公開されている。
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