“シドニー”という名称を巡って、タロンガ動物園が新たに登場したライバル動物園を訴えています...
タロンガ動物園は100年以上にも渡って、海外旅行者だけでなくシドニーを訪れる国内旅行者にも人気のスポットです(年間来場者数およそ150万人)。シドニーハーバーを見渡すモスマンに位置し、シティからたった8 kmというアクセスのしやすさも、シドニーを代表する観光地である理由の一つでしょう。
さて、そのタロンガ動物園の強敵となり得る、シドニー中心部から西に約33 kmのブラックタウンに開園予定のサファリパークタイプの動物園が突然 “シドニー動物園” と名乗りたいと言い出したら、どうなると思いますか?
ブラックタウンのサファリパークがシドニー動物園という名称を使用するようになれば、ビジネス上の混乱だけでなく、意図的に観光客を惑わす(歴史、認知度ともに勝るライバルのタロンガ動物園と勘違いさせる)ことになるのではないでしょうか?これについて、タロンガ動物園がサファリパークに“シドニー動物園”という名称の使用を止めさせる訴えを起こし、連邦裁判所で争われることとなりました。
動物園同士の争いですから(?)、敵者生存の法則(ジャングルの弱肉強食の掟)がここでも成り立つのでしょうか?それともこの争いは “シドニーの動物園” として長年知れ渡っている老舗動物園が有利なのでしょうか?
1月15日タロンガ動物園は、動物たちのシルエットの向こうに朝陽をあしらい、手前に“シドニー動物園”と入れたサファリパークのロゴマークの商標登録申請に関連して(豪連邦機関の一つで国の知的財産権を管理するIP Australiaによる商標登録判定に続いて)、消費者の誤解を招く欺瞞行為があるとの訴えを起こしました。しかし最初の裁判で、タロンガはシドニー動物園の商標登録に反対するのに十分な理由を挙げることに失敗し(敗訴し)、現在この件は連邦裁判所で争われています。
シドニー動物園(サファリパーク)の運営組織は、2012年8月に“シドニー動物園”を屋号登録し、2015年5月に商標登録申請を行っていました。
その後の2015年11月タロンガ動物園は、“タロンガ・シドニー動物園”という文字、そして、おなじみのカモノハシのイラストに“シドニー動物園”という文字を入れたロゴの商標登録申請を行いました。
時代の流れを象徴するかのように、タロンガ動物園は上記提訴の根拠としてソーシャルメディアとアルゴリズムのデータを使用しました。グーグルサーチのアルゴリズムやソーシャルメディアサイトのインスタグラムのタグを分析すると“シドニー動物園”という文字を見た大部分の人が“タロンガ動物園”を思い浮かべるという結果が、参考データとして提出されました。
しかしながらIP Australiaは、タロンガが“シドニー動物園”を商標として使用した証拠は何もない、との判定を下しました。その論理的根拠は、何人かの人がグーグルでタロンガ動物園を調べる時に“シドニー動物園”と入力した、あるいは、インスタグラムにタロンガ動物園の写真をアップする時に#シドニー動物園と入れた、という単なる事実があったにすぎず、これらが法的商標権の使用を意味するものではない、ということでした。
ご参考までに、、、タロンガとはアボリジニ語で“美しい眺め”を意味します。本日のお話はここでおしまいにしたいと思います。
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