「オーストラリア滞在中に法律関係の事件・事故に巻き込まれた」
「オーストラリアのビザの手続きがややこしい」
「オーストラリア人との離婚を考えている」
「オーストラリア滞在中のシェアハウスでトラブルに巻き込まれた」
「オーストラリア滞在中に予期せぬことで訴えられた」
日本人には馴染みのないオーストラリアの法律トラブル。短期滞在者である留学生やワーキングホリデーメーカー、駐在員やオーストラリアの永住権を持っている人でも、オーストラリアで生活していると、予期せぬタイミングで法律トラブルに巻き込まれることがあります。
そのような時は、オーストラリアの現地弁護士に頼むのが一番ですが、数多くいるオーストラリアの弁護士から相性が良く、信頼できる弁護士を見つけるのは大変。それでも慣れないオーストラリアの法律トラブルは、オーストラリアの法律事情に精通した弁護士に相談した方が、手続きや交渉による心理的・身体的負担が軽減されるなどメリットが多くなります。
今回は、オーストラリアでの弁護士探しのコツや、オーストラリアで弁護士に依頼するメリットなどを紹介します。
目次
1. オーストラリアで多い法律トラブルと弁護士に依頼すべきえケース1. 2 オーストラリアでトラブル解決のために弁護士に依頼すべき理由
2. 1 オーストラリアでの基本的な弁護士の探し方① 弁護士の候補を挙げる
2. 2 オーストラリアでの基本的な弁護士の探し方② 弁護士に相談する
オーストラリアでトラブルに巻き込まれた際には最小限の話し合いや交渉で解決できればベストですが、なかなか難しいもの。まずはオーストラリアでよく耳にする身近な法律トラブルにはどんなものがあるか、それらを解決する上でオーストラリアの弁護士に依頼すべき理由はあるのか、といった疑問に触れていきます。
下記がオーストラリアでよくある法律トラブルです。
オーストラリアで多い法律トラブルの種類 | オーストラリアで多い法律トラブルの具体例 |
国際結婚・離婚 |
現在の配偶者との離婚時の親権や財産分与 デファクト(事実婚)のパートナーと別れる場合の財産分与 デファクト(事実婚)から配偶者ビザを取得したい
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近所・隣人トラブル シェアハウス/ハウスメイト 不動産 |
ハウスメイトや隣人の騒音に困っているシェアハウスの契約をしたのに、別人がすでに住居していて、入居できなかった ハウスメイトや大家からセクハラを受けた オーストラリアでマイホームを購入したい 隣人の所有物が自分の家の敷地内に入ってきている
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ビザ取得・延長・変更 |
ビザを取得する前に、事件を起こしてしまったビザを申請する際に間違った情報を入力してしまった 永住権を申請したいが、自分では手続きが難しい
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交通事故 |
オーストラリアで交通事故を起こしてしまったが、自分では対応が難しい
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ビジネス・金銭トラブル |
アルバイト先で差別を受けた面接時に説明された給料と実際の支給額が違う ビジネスを立ち上げたいが、何から進めたらいいかわからない
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オーストラリアの法律トラブルで特に多いのが、国際結婚の離婚とそれに付随する親権や養育費、財産分与などの問題です。オーストラリアでの離婚率が初婚者の場合約50%と高いことに加え、近年、オーストラリアでも国際結婚の件数が増えているため、それに伴いオーストラリア国内で離婚するというケースも増えてきています。
こうした離婚、財産分与や親権に関する相談は、状況を把握したり、今後の方向性を取りまとめるのに時間がかかるため、初回相談だけでは時間内に納まらないのが一般的です。
近隣住民とのトラブルやシェアハウスでのトラブルなど、住まい・不動産に関する問題もオーストラリアでは相談件数が比較的多くなります。
その他にも、ビザの取得やビジネスの立ち上げ、交通事故を起こしてしまった際の対処など法律が関係する問題はさまざま。そのような多岐にわたる法律問題を個人で調べて解決していくのは、現実的ではないでしょう。
上記のような問題を自分だけで解決しようとすると、余計に問題がこじれてしまう、手続きが面倒になる、解決するまでに時間がかかる、といったデメリットがあります。
オーストラリアで問題解決したり裁判を起こす場合には、すべて英語で進行する必要があり、ネイティブスピーカーでない限りは、専門用語が多いことやオーストラリアの法律にあまり理解がないことで、問題を解決する上で不利になることがあります。仕事や家事・育児などで時間があまり取れないという人は、それらの時間を削ってトラブルを対処しなければいけなくなるため、生活のバランスを保つことが難しくなります。
また、オーストラリア短期滞在者の場合には、ビザの期限などの問題で、日本への帰国前に早急に解決しなければならないケースもあります。
そのような場合には、オーストラリアの法律の専門家である弁護士に頼むのが一番でしょう。弁護士に依頼することで費用はかかりますが、相手との交渉を有利に進められることや手続きが最小限で済むこと、そして問題解決ができるなど、費用以上のメリットが見込まれます。
オーストラリアには日本人が多いこともあり、オーストラリア在住の日本人弁護士、または日本語で対応してくれるオーストラリアの弁護士がいるので、英語が不安な人でも安心して相談できます。
オーストラリアでも、日本と同様に弁護士によって得意な分野が異なります。相談内容にマッチした弁護士を探すことが重要です。英語が苦手な人にとっては、日本語を話せる弁護士を見つけるというのも大切なポイントです。
依頼したい弁護士の候補をピックアップしてみましょう。
最もポピュラーな方法はインターネットで探す方法です。「オーストラリア 弁護士」と検索エンジンで調べると、オーストラリアで法律事務所を開いている日本人弁護士、もしくは日本語対応のオーストラリアの弁護士が見つかります。しかし信頼できる弁護士かどうかはネットの情報だけでは判断できないので注意が必要です。
やはり安心感があるのは、知人の弁護士や知人から紹介してもらった弁護士です。
そのほかにも、NSW州にある政府機関のLawAccess NSWや無料法律相談所では法律に関するアドバイスや弁護士の紹介をしてくれるので、そちらを利用してオーストラリアの弁護士を探してみるのもいいでしょう。
さらに以下の点を考慮すると、オーストラリアの弁護士候補を選びやすくなります。
オーストラリアの弁護士は、日本と同じくそれぞれ得意分野や実績のある分野が異なります。例えば、家族法、不動産取引法、刑法、移民法、企業法務、雇用法など、取扱分野としてウェブサイトに載せている弁護士がほとんどです。自分が依頼したい分野の実績がある弁護士を探すといいでしょう。
連絡の取りやすさもオーストラリアで弁護士を探す時のひとつのポイントです。法律事務所が自宅や職場からアクセスしやすい場所にあると、メールや電話以外にも直接弁護士を会うことになった際に相談しに行きやすくなるでしょう。
また弁護士によっては、メディアを介して法律相談サービスを提供している場合もあります。その法律相談での返答を確認することで、どのような対応をしてくれるのかわかるので、参考にすることができます。
依頼したい弁護士候補をピックアップしたら、実際にコンタクトを取ってみましょう。複数の弁護士と連絡を取りながら、サービスや料金についての問い合わせをします。
オーストラリアの弁護士によっては初回相談が無料や、充分に相談できるように時間制限を設けていない場合、人身傷害に関する賠償請求の場合は無料査定をしている場合もあります。
弁護士に相談する前に、必要な書類やある程度の情報をリサーチし、あらかじめ準備することも大切です。書類や状況説明は古いものから新しいものに並べ替えておくと、弁護士にとって状況を把握しやすくなります。そうすることで、相談時間が短縮され、結果的に支払額を減らすことに繋がります。
オーストラリアでは、弁護士への法律相談の際に通訳が必要な場合は、無料で通訳者を雇ってくれる場合があります。通訳が必要であれば、問い合わせる際に弁護士事務所に訊いてみましょう。
弁護士に相談したからといって、必ず依頼する必要はありません。実際に相談をしながら、じっくりと自分に合った弁護士を見つけることが、スムーズな問題解決へつながります。
オーストラリアで弁護士を選ぶ際には以下の点を考慮するとより選びやすくなります。
迅速な対応が必要なトラブルであった時や、近隣トラブルですでにある人間関係を壊さずに問題解決したい時など、特殊な要望がある場合には、実際に弁護士事務所に電話やメールをしてみて、納得できる対応をしてもらえる弁護士を選ぶといいでしょう。
オーストラリアで弁護士に依頼する上で一番の懸念になるのが、弁護士に依頼する費用。最初の段階で、初回相談費や予備調査費、今後の弁護士費用にどのくらいかかるのか、見積もりを取ってみましょう。しかし見積もりはあくまで“見積もり”なので、依頼後に弁護士からの請求額が多少変わる可能性があります。
トラブルの事情背景と状況は案件ごとに異なり、オーストラリアの弁護士に依頼することで実際にどれくらいの費用になるかは、さまざまな要素から決定されます。
内容によっては初回相談で解決できることもあります。その場合、初回法律相談料以外に費用は発生しません。
NSW州では、もし$750以上の見積もりであれば、推定額とその額がどのようにして算出されたか、または1案件につきの固定料金(fixed price)を弁護士は提示する義務があります。不動産売買や遺言状の作成、金融機関への申請代行(Unclaimed Money)など、あらかじめ業務量の幅が大体決まっているものは、初回相談後に固定料金を提案してもらえることもあります。
さらにNSW州では、見積もりに以下の内容が含まれていなければいけません。
もし以上の内容が含まれていない場合には、弁護士を変えることをお勧めします。
弁護士によっては、状況に応じて成功報酬や後払いでの支払いに応じてくれる場合があります。また、初回相談や査定が無料という法律事務所もあります。しかしその段階で、初回相談や査定が無料というだけでコントラクト(契約)、つまり委任契約書にすぐにサインするのは尚早です。
また以下のような場合には、弁護士費用の請求に上限が設けられています。
弁護士により弁護士費用の計算方法はさまざまです。弁護士費用の計算方法には以下の3つがよく使用されています。
弁護士費用が固定料金だった際は、1つの案件につき弁護士費用が請求されます。おおよその場合、雑費もそこに含まれます。弁護士の業務量に大きな幅がなく、弁護士が相談を受けた後に事務員が業務のほとんどを対応できる案件が一般的です。不動産売買、遺言状の作成や成年後見などが代表的です。
時給だった場合、[案件の解決にかかった時間×時給]で弁護士費用が計算されます。通常の場合、弁護士は1時間をさらに10で割り、6分単位で請求します。6分は1ユニット(1 Unit)として数えられます。
例えば、1時間のレートが$300で、相談時間が1時間5分だった場合は、以下のようになります。
1時間(10ユニット=$300)
+
5分(1ユニット=$30)
= $300 + $30
= $330
もし相談時間が1時間8分だった場合は、以下のようになります。
1時間(10ユニット=$300)
+
8分(2ユニット=$60)
= $300 + $60
= $360
オーストラリアの弁護士によっては、裁判(a case)で勝訴しなければ弁護士費用を請求しない、という方法を取っています。つまり、裁判で敗訴した場合には弁護士費用をほとんど支払う必要がないということです。しかし、印刷にかかったコストや裁判のための書類整理、法廷弁護士を雇うのにかかった費用などは支払う場合があります。
もし裁判で勝訴した場合、弁護士はそれまでにかかった弁護士費用を請求してきます。
上記3つの他にも、継続的に法律相談や委任事務処理を依頼する場合、顧問契約を締結して毎月一定額の顧問料を支払うこともあります。
オーストラリアの弁護士とのやりとりを続ける上で大切なのが、その弁護士との相性です。上記のポイントに加えて、依頼したい内容に関するプライベートでデリケートな情報をすべてオープンにし、問題解決を託す弁護士とは相性が大切になります。自分が心地よく情報を話せる弁護士を選ぶことが大切です。実際に複数の弁護士と会って話すことで、自分と相性がいい弁護士かどうかを判断できるでしょう。
依頼したいオーストラリアの弁護士が決まったら、その弁護士と正式に契約します。
委任契約書にサインする時は、弁護士から口頭で説明された内容と契約書内容が合致しているかきちんと確認してからサインをしましょう。オーストラリアの弁護士には、案件の見込みについて説明する義務があります。弁護士から口頭で説明されていた内容と契約書内容が合致していなかった場合、または説明が不透明な場合、その弁護士に依頼するのはやめておくのが賢明でしょう。
オーストラリアの弁護士と契約したら、詳しい内容を相談してみましょう。
「初回相談の時は相性がいいと思ったけれど、相談してみたら何か違った」という場合には、弁護士を変更することを検討する必要があります。しかし、すでに契約をしていて、弁護士費用も支払い済みという場合は、そのお金は原則戻ってこないと考えていいでしょう。
弁護士は読んで字のごとく、弁護をしてくれる人、つまりあなたを守ってくれる存在です。オーストラリア生活に関わる問題であれば、慎重に納得のいくまで自分と相性のいい信頼できるオーストラリアの弁護士を選ぶことをお勧めします。
オーストラリアで弁護士に依頼する際には、メリット・デメリットが存在します。以下の点を考慮した上で弁護士に依頼するといいでしょう。
オーストラリアの弁護士に依頼するメリット | オーストラリアの弁護士に依頼するデメリット |
● オーストラリアの法律に関する問題の早期解決がしやすい ● オーストラリアの法律に関する問題がこじれにくい ● 交渉や手続きなどを弁護士に任せられるので手間が省ける ● オーストラリアの法律のプロである弁護士からアドバイスをもらえる ● 日本語対応のオーストラリアの弁護士だった場合、日本語で相談できる
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● オーストラリアの弁護士に依頼することで費用がかかる ● オーストラリアで信頼できる弁護士を探すには時間がかかる ● 日本語非対応のオーストラリアの弁護士だった場合、日本語で相談できない
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現在、オーストラリアの法律に関わる問題に巻き込まれていないという人でも、あらかじめオーストラリアの弁護士を何人かリストアップしておくと、法律トラブルに巻き込まれた際に比較的スムーズに弁護士に依頼することができるでしょう
オーストラリア生活でトラブルが起こった時、日本人にとっては海外であるオーストラリアで弁護士を探し、依頼するのは大変かもしれません。それでも、オーストラリアの弁護士に問題解決を相談・依頼すれば、法律トラブルに巻き込まれたことで受ける心理的、身体的負担が大幅に軽減されます。
弁護士はオーストラリア生活中の安全を守ってくれる存在です。現在、オーストラリアの法律トラブルに巻き込まれていなくても、いざという時のために、すぐにオーストラリアの弁護士が見つけられるよう、あらかじめオーストラリアの弁護士をリストアップしておくことをお勧めします。
また、現在オーストラリアの法律トラブルの渦中にいる人も、以上の手順やポイントを踏まえて自分に合ったオーストラリアの弁護士を探してみましょう。
英語で法律に関する内容を理解するのはかなり高度な技術になるため、オーストラリアの法律を熟知した日本人弁護士に依頼するのがおすすめです。
オーストラリア政府公認移民法コンサルタントの「Access Visa(アクセス・ビザ)」では、永住ビザや一時滞在ビザなど、日々…