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法律/ビザ

政府の家庭内暴力への厳格な対応が移民法にも影響

2019228日(木)、移民法499に依拠した、「移民法担当大臣による指示書」 (Ministerial Direction) が改正されました  

これは法律ではないものの、移民局の審査官必ず従わなくてはならない指示で、移民法501条の人格審査(Character Test)に照らし合わせてビザを拒否またはキャンセルすべきかを決定する際に、審査官が考慮すべき要因を網羅する内容となっています 

指示書(Directionの最大の目的はオーストラリアの安全を脅かす可能性のある外国人を排除することです。審査官はビザを申請している外国人の入国を認めることが適切か否か、またすでに国内にいる外国人が継続して滞在することオーストラリアの治安を乱すことがないを判断するため、指示書(Directionを必ず参照して決定を行う義務を負っています 

家庭内暴力の加害者はビザがおりないケースも

基本的にすで有効なビザを持ってオーストラリア国内に滞在している外国人が、合計12カ月以上の禁固刑を受けた場合にはビザが強制的にキャンセルされることになってます。それ以外で何らかの理由で人格審査(Character Test)をクリアしない場合、審査官には指示書(Directionを参考に処分を決定する権限が与えられています。 

今回の指示書(Directionの改正の特色は女性や子ども、社会的弱者に対する暴力を絶対に認めない、という明確なメッセージが加えられていることですこうした暴力はオーストラリアでは重罪であり全く許容する余地はない、したがって加害者はオーストラリアに入国する権利はなく、在住する外国人加害者はオーストラリアに住むという特権を放棄すべきであるとまで規定されています。 

注目すべきは、ビザ拒否・キャンセルにする量刑を具体的に設定していないことです。つまり、家庭内暴力の加害者は有罪とった時点で、量刑に関わらずビザ申請の却下あるいはキャンセルのリスクを負うということです。 

とされる行為自体がどこで起きたかは問われておらず、例えば日本からの旅行者が日本で有罪になったことがあれば、ビザは拒否されることになります。同様にオーストラリア国内に住む外国人がオーストラリア国内でDVの加害者として起訴・有罪となれば、禁固刑12カ月に満たなくとも、ビザがキャンセルされる可能性があるということです。これは当然永住者にも当てはまります。 

暴力禁止令(AVO)が出された場合にも、深刻な結果を招く可能性が

このところ急増している暴力禁止令(Apprehended Violence Order/以下AVO)は、暴力の被害にあった者が自ら警察に申し立てを行ったり、医者やソーシャルワーカーに訴えることから警察を通じて申請がなされる裁判所からの命令で、多くの場合は女性や子どもが同居する男性から暴力を受ける被害者となっています 

AVOの段階では民法上の事案ですが、状況によっては警察が傷害・暴行罪として加害者を起訴することもあり、こうした場合、刑法上での裁判となります。有罪判決が下されると、上述のような深刻な結果を招く可能性があります。 

パートナービザのルール改正にも影響

今回の家庭内暴力に対する厳格な対応はパートナービザのルール改正にも反映されています。 

201611月に導入されたルールにより、現在パートナービザのスポンサーは、連邦警察や外国からの無犯罪証明書を提出する必要があり、該当犯罪の犯罪歴がある場合には申告義務っています 

該当犯罪殺人などの重罪はもとより、暴行罪や痴漢行為、ストーキング、ハラスメント、AVO違反とされ主犯でなくとも共謀や教唆した場合も含まれています 

また、それ以外の犯罪あっても合計12カ月以上の禁固刑を受けたことがあれば、基本的にはスポンサーとして認められることはありません。 

今後はパートナービザ申請のプロセスが変更に

20181210日(月)にはMigration Amendment (Family Violence and Other Measures) Act 2018が両院を通過、発効日は確定していませんが、遅くとも610日(月)までにはパートナービザのスポンサーはパートナービザ申請の前にスポンサーとして認可されなくてはならないことになります。 

今後はスポンサーが家庭内暴力の加害者となる要因はないのか、スポンサーとして適切な人格をそなえた人物かどうか先に審査されることになります。 

つまり、スポンサー申請とパートナービザ申請の同時申請ができなくなり、スポンサー認定が下りるまでビザ申請ができなくなるということです。こうしたことにより、スポンサー認可の前に現行のビザが失効する申請者の場合には国外に出て、国外からパートナービザ申請をする必要が生じることになります 

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