頻繁に税法が変わるオーストラリアにおいて、最新の正しい情報を提供してくれて、信頼できる会計士は必要不可欠。法律が変わった直後は、オーストラリア国税庁(以下、ATO)の対応が遅れることもあり、手続きが大変になることも。
そんな時に頼りになるのが、対面でじっくり税金や会計業務、会社設立に関することを相談できる『甘利会計事務所』。オーストラリア生活で抱えている些細な悩みごとから、専門的な税金に関することまで、さまざまな相談を一度にできて、気さくに対応してくれます。
シドニーのビジネス街、ウィンヤード駅とマーティンプレイス駅から徒歩3分で好立地のオフィスビルに事務所を構え、たくさんの個人や企業のお客様が利用しています。
親切で丁寧な対応に定評のある甘利さんに、現在のATOの動向を踏まえ、注意すべきことを個人と企業向けに分かりやすく解説してもらいました!
個人のお客様に対しては、タックスリターンの代行をはじめ税金にまつわるサービスを多く取り扱っており、企業のお客様に対しては、税務に関わる申告・申請の代行や、節税対策の提案をして、会計業務の負担を軽減しています。どのようなお客様に対しても、一人ひとり丁寧にサービスを提供しています。
ここ最近オーストラリアの税法は頻繁に改正されているため、最新の知識を正しく理解することが必要! 甘利会計事務所では、対面でのコミュニケーションを重視しており、ATO最新の動向や変更された税法の内容をわかりやすく丁寧に説明してくれます。
● タックスリターン申告(個人/法人)
● スーパーアニュエーションの返金手続き
● 会計業務のサポート(Xero, QB)
● クラウドブックキーピングから決算まで
● BAS・IAS・FBT等の申告
● 事業開始・会社設立の相談
● 雇用主のスーパー手続き
● 税務相談
● 決算書作成
今回は、2020年度(2019年7月~)に導入した税法や現在のATOの動向によって、企業と個人がそれぞれうける影響やどう対応していくべきなのかなどの気を付けるべき点を詳しく訊いてみました!
■目次
【個人向け】あなたは損してるかも! タックスリターンやスーパーアニュエーション
タックスリターンの申請について
スーパーアニュエーションについて注意するべきこと
よくある投資・節税の相談について【企業向け】2020年度前に知っておくべきポイント
1. Taxable Payments Annual Reportの申告とは?
2. シングル・タッチ・ペイロールが全企業に適用
タックスリターンをはじめ、一人ひとりのニーズに合わせてさまざまなサービスを提供し、税金に関する相談にも応じている甘利さん。
今回は、個人向けサービスの中でも特に依頼が多い「タックスリターンの申請」「スーパーアニュエーションの返金」「投資・節税の相談」について詳しく訊いてみました!
JAMSスタッフ
タックスリターンについて、ここ数年で法律が変わりましたが、最近の動向はいかがでしょうか?
甘利さん
ここ数年、国会での法律の決まり方が唐突なことが多いんです。例えば、バックパッカー税の導入が決定したときは、ATOが法律に順応するのに時間がかかっていました。
導入された直後は、ATOの対処に統一性が無い時期もあり、新しい法律が適用されないで通っちゃう場合と、適用されて通る場合があったんですね。本当はそんなことあっちゃいけないんですけど……。
JAMSスタッフ
ATO側が順応できないこともあるんですね。なんとなくオーストラリアらしい。
甘利さん
バックパッカー税は2017年1月1日から導入だったのですが、今でも、滞在期間中にビザの種類が変わっていたりすると、ATOはうまく処理ができていない場合があります。そうなるとタックスリターンの金額に影響が出ます。ATO相手に間違いを指摘するのは一般の方だと時間と手間がかかります。ATOに連絡をしても1回、2回は話を聞いてくれないのはざらにあるので。
この間は、タックスリターンの結果が申告と違う数で出た為、「私の申告は絶対間違いない、あなた(ATO)の計算方法は違ってる」とATOの方に指摘し、根気強く粘ったら、その後3人スペシャリストを通して、やっと「あなたが正しいです」と言ってくれました(笑)。
JAMSスタッフ
なるほど……。となると、しっかりとした知識や英語力がないとそこまでの交渉するのは難しいですね。
甘利会計事務所ではタックスリターン申請の依頼がきたら、どのように対応していますか?
甘利さん
基本的にはお客さんに事務所に来ていただいてフェイス・トゥー・フェイスで対応するようにしています。初めて来たお客さんだったら、過去の結果まで確認してアドバイスをしています。
平面の質問だけでは解決できないところまで、対面で会話しながら悩みや他の潜在ニーズを引き出し、的確なアドバイスをして悩みを解決するようにしています。お客さんの要望によってメールで対応をすることもありますが、主に対面でじっくり相談に応じるようにしています。
事務所に来られない方は、メールや電話で受け付けています。 この場合も毎年お付き合いさせていただいているので、実際お会いできなくてもお会いしているような気がする事が多いです。
JAMSスタッフ
税金のことって複雑でわからないことが多いので、対面で対応してもらえると、その場で不明点や気になることが解決できるので安心ですね! 過去のデータをチェックして、タックスリターンの未申請分が無いかなどの確認もしてもらえるのは、とても助かりますね!
甘利さん
実は今年に入ってから、ATOのデータ管理システムが新しくなり、情報整理が今まで以上スムーズにできるようになってます。それによって、今まではATOが確認しきれていなかったタックスリターンの未申請分を過去10年以上遡って指摘されるようになってきております。時期で言うと2000年代の履歴を指摘されるケースが今年になってきてから増えておりますね。
JAMSスタッフ
そうなんですね。ということは過去の未申請分からお金が返ってくる人も出てくるということですか?
甘利さん
そうですね、お金が返ってくる方ももちろんいるのですが、それとは逆に支払いを免れていた方にはペナルティが課せられる場合もあります。最近ATOでは、今まで以上に一人ひとりのデータが筒抜けなっているので、気を付けないといけないポイントですね。
JAMSスタッフ
なるほど。では、過去のタックスリターンに申請漏れの心当たりがある方は確認する必要がありますね。そもそも10年以上遡ってタックスリターンをするための書類が集められるかどうか疑問ですが……
ちなみに書類がない場合でも、甘利さんにお頼みすればなんとかなりますか?
甘利さん
過去のデータがATOで把握されていれば、そのデータを元に申告できますし、ATOにデータがなくても、その当時のPAYG Payment Summaryがあれば申告はできるので、思わぬ戻りを受け取っている方も少なからずいらっしゃいます。2019年度のタックスリターンを申請する際に、過去の分もチェックするようにしてますので、今回のタックスリターンと併せてご相談いただければと思います。
JAMSスタッフ
ありがたい! このタイミングで過去の分もきれいに清算しておきたいですね。
JAMSスタッフ
スーパーアニュエーション返金の代行もされているのですか?
甘利さん
テンポラリービザが切れて帰国される方の返金代行をしています。 たくさん働いた方は、かなりの金額を戻すことができる場合がありますので、これを見逃す手はないと思います。
ところが、現在ワーキングホリデーの方は、スーパーアニュエーションは65%の税金がかかります。なので、ワーキングホリデーの人は返還金額があまり多くないのが現状です。
弊社では、スーパーの残高を見て、うちの代行費用より返金される金額が少ない場合はおすすめしていません。 ビジネスビザや学生ビザのスーパー返金は35%の税率で、とられますので、ワーキングホリデーの場合は、30%余計に取られてしまう訳ですね。
JAMSスタッフ
そうなんですね。ワーキングホリデービザから学生ビザに切り替わると、税率も自動的に切り替わるのでしょうか?
甘利さん
いい質問ですね! ちなみにワーキングホリデーで来たことがあり、当時働いていましたか?
JAMSスタッフ
はい。当時はワーキングホリデービザを使って働いていました。
甘利さん
現在も当時のスーパーアニュエーションの口座に支払いをしてますか?
JAMSスタッフ
そうですね。今は学生ビザですが、ワーキングホリデービザの時から使っているスーパーアニュエーションの口座に支払いをしています。
甘利さん
なるほど……。実は、ワーキングホリデー時代と同じスーパーアニュエーションの口座を使っていて、口座に当時働いていた頃の給料が入っていると、他のテンポラリービザを保持していたとしても、ワーキングホリデーの方と同じ税率、つまり65%が取られてしまうのです! これは、スーパーが投資信託であるので、一度口座に入金すると、いつの分の入金かという区別ができない為というのが、ATOの説明です。
なので、残念ながら全金額に対して35%プラス30%の税金を取られてしまうことになりますね。
JAMSスタッフ
えーーーーー! 大損じゃないですか!
甘利さん
そうなんです。早めに対処することをおすすめめします。
JAMSスタッフ
どうすればいいですか?
甘利さん
まず、雇用主からスーパーの掛け金振込みの計算時のもとになる給与にワーホリの間の給与が少しでも入っていたら、その口座はワーホリとみなされますので、今からでも新しいスーパーの口座を作って、その旨を雇用主に連絡し、新し口座に掛け金を入れてもらうようにしてください。
新しい口座を作った後に、ロールオーバーといって、新しい口座にまとめる方法もありますが、これは正確にいうと、ロールオーバーした分にワーホリ時代のものが含められたことがわかってしまう場合もありますので、ワーホリレートを避けられるかどうかはなんとも言えません。
ATOは、スーパー引き出しの税率決定はファンドに任せていると言っていますので、ファンドがロールオーバー分をどう扱うかファンドごとに違うと思われます。
JAMSスタッフ
では、本来はビザを切り替えた時点で対処しておくべきだったんですね……。
甘利さん
そうですね。学生ビザだけではなく、ワーキングホリデービザで滞在した後に、スポンサービザやパートナービザ、永住ビザなどに切り替えている方、切り替える予定がある方も要注意です!
JAMSスタッフ
とても重要なことなのに、誰も教えてくれないですよね……。こういったことも、対面で対応してもらえると気付けるんですね!
甘利さん
私が対面式を好む理由はそこにあります。それに、数字だけを見て処理をするのは、機械的すぎて好きじゃないんですよね。
お客さんと毎年会ってると、その人の状況が分かるので、こちらから質問できることも増えてきます。何気ない会話の中からお客さん一人ひとりのニーズを汲み取ることができるんです。税金関係やその他、気が付いたことは、積極的にアドバイスするように心掛けています。
JAMSスタッフ
タックスリターンやスーパーアニュエーションの申請以外で、お客様からよくある相談はありますか?
甘利さん
最近はお客様から、「投資したいんだけど、アドバイスが欲しい」というご相談はちょくちょく受けますね。
私はファイナンシャルプランナーじゃないので「こういうところに投資しなさい」とは言わないですが、たとえば、「家を買うか、このお金を投資に使うか考えているんですけど」という相談がある場合は、「税金のことを考えると、こっちの方がいいですよ」というような税金に関するアドバイスはしています。
JAMSスタッフ
老後のことなど気にされている方も多いようですね!
甘利さん
そうですね。引退後、引き続きオーストラリアで生活される予定の方には、スーパーアニュエーションを節税に有効活用する方法をお教えしています。
最近スーパーに関する法律が変わって、追加で積立振込みをして、節税にもなる方法があります。また、以前からある政府からのスーパーの追加援助をもらう方法など、その方の状況によって、お得な情報をお伝えできます。
JAMSスタッフ
そういった方は、普通のご相談としてお問い合わせがあるんですか?
甘利さん
うちの場合は、タックスリターンの申請で毎年お会いする際に、相談を受けるというケースが多いです。
毎年お会いしてると、その方が結婚したり、お子さんができたり、新しい仕事を始めたり、ビジネスを始めたりと、お客さんの状況が分かるんですよ。なので、基本的にはタックスリターンでいらした方には、その都度その人に必要なことをアドバイスするようにしています。
とりとめない話をしてる中から必要な情報がたまにポンと出てくるんです! 「あなたが家を買うんだったら、こうしたほうがいいですよ!」というのが出てくるんです。
オーストラリアで会計士としての経験が豊富で、ATOの事情にも詳しい甘利さん。オーストラリア国内にある40〜50社の企業のサポートをしています。
そんな甘利さんだからこそ話せる、知っておくべき2つのポイント「Taxable Payments Annual Report」「シングル・タッチ・ペイロール」について詳しく解説してくれました!
Taxable Payments Annual Report(以下、TPAR)は、ABNを保持しているコントラクターへ業務依頼をする場合、雇用主がコントラクターごとに、いくら給料を支払ったかATOへ申告するレポート。
業界によって申告義務の有無は異なりますが、建設や建築業界はすでに申告義務があり、2019年度は運送と配送、掃除業界、そして2020年度からは、セキュリティーとIT業界が申告必須に。今後、適用される業界は増えていくと予想されている。
JAMSスタッフ
TPARはどのような仕組みなのですか?
甘利さん
今まで、雇用主は、PAYGペイメントサマリーを年に1回タックスリターン時に雇用者に渡したうえでATOに提出していました。ABNを保持していて自分でインボイスを発行している人は、PAYGペイメントサマリーではなく、自分自身の記録を頼りに、タックスリターン時に収入額をATOに提出していました。
つまり、ABN保持者が申告しなければATOは収入額を把握することができなかったんです。
そこで、ATOがABNを保持していているコントラクターの収入額を把握するためにつくられた税法がTPARです。雇い主側が、コントラクター毎に支払った額を、レポートでATOに申告しなければいけなくなるので、ATOはどのコントラクターが、合計いくら収入を得ているのかが管理できるようになります。つまり、タックリターンを申請した時に漏れがあると、その時点で分かってしまうのです。
JAMSスタッフ
なるほど、収入額がATOに把握されることで、コントラクターの方は不正ができなくなるんですね。 TPARはいつから適用されるのですか?
甘利さん
業界によって異なりますが、すでに適用されているのが建設や建築業界でABNを保持しているコントラクターを雇っている方。そして、2019年度から適用されたのが、クリニーニングや掃除業界でコントラクターを雇っている方。今後もどんどん増えていくと思います。
JAMSスタッフ
ABNでの収入で気をつけることはありますか?
甘利さん
TPARとは別問題ですが、本来は雇用しているのにコントラクターとして契約している場合があります。
コントラクターにすることによって、労働者の権利を満たさないで済むような契約をATOはSham Contractor(偽コントラクター)と言って、罰金の対象になる可能性があります。正しい方法で雇用をしていくようにしてください。
また、ABNを保持しているコントラクターで、雇用とみなされる可能性がある場合でも、義務として「最低賃金や労働時間を守っている」、「スーパーアニュエーションを払ってる」「ワーカーズコンペンセーション(労災保険)を払っている」など、準雇用とみなされるコントラクターたちが与えられる権利をちゃんと守ってあげていれば、そんなに問題にはならないと思いますが、やはり正しい方向に変更していくことをお勧めします。
JAMSスタッフ
その他に雇用主が気をつけるべきことはありますか?
甘利さん
現金以外のベネフィットや特定の現金手当を従業員に支給した場合に雇用主に課せられる税金「フリンジベネフィット・タックス」もATOに納める必要があるのですが、しっかり申告をするように気をつけないといけません。
たとえば、従業員が社用車をプライベートで使っていたり、家賃を出してもらったり、保険代を出してもらったりなど、個人の出費を会社がケアしている場合は、フリンジベネフィット・タックスの対象になって高い税金が雇用主に課せられます。
社用車を所有している会社でフリンジベネフィット・タックスの申告をしてない場合は、気をつけてください! 車は登記されているので、会社の名前で購入していたらATOはすぐにわかりますよ。ちゃんと申告してあれば問題ないですが、申告してない企業はきちんと対策をした方がいいですよ!
シングル・タッチ・ぺイロールとは、個人の給料やスーパーアニュエーション、源泉徴収税の3つの情報をATOに報告する新たなシステム。
2019年度より施行され、従業員数が20人以上の雇用主は、それらの情報をオンラインでATOに報告することが義務化された。従業員が20人未満の雇用主については、2020年度から報告が義務化されている。
JAMSスタッフ
シングル・タッチ・ペイロールに関して、今年度から何が変更になり、
甘利さん
大きく変わったのは、全ての雇用主にも個人の給料やスーパーアニュエー
このシステムが始まる前は、雇用主はクォーターごと、大きい企業だと1カ月ごとに、ATOに給与と源泉徴収の合計金額のみを報告していたのですが、シングルタッチペイロールでは、雇用主は従業員に給料を支払う度に、ペイロールの個人ごとの情報をATOに直接送らなければならなくなりました。
このシステムは、2019年度から、従業員20人以上の企業がスタートし、2020年度からは全雇用主に対しての義務となっています。
JAMSスタッフ
全ての企業が対象になるということですね。
甘利さん
1人でも従業員を雇っている企業は報告義務が発生します。
JAMSスタッフ
ということは、
甘利さん
そうですね。現時点で会計ソフトを使っていない企業は、
また、まだ用意ができていない場合は、開始延長届けも出せますので、間に合わない場合も、あきらめないで下さい。
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メール:info@taxjp.com.au
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