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コロナウイルスが及ぼす影響/家庭内暴力(DV)について

新型コロナウィルスの感染がオーストラリアでは一時収まったかと思えば、またメルボルンでロックダウンとなり、他の都市でも再び外出規制などが発令されるのも時間の問題ともいわれています。

陰のパンデミック:家庭内暴力(DV)

このような状況下で関心が高まっているのが、家庭内暴力(DV)です。外出自粛や休業などで家庭内で過ごすことが多くなり、生活の不安やストレスが溜まることや、加害者に対する依存度が増えたり、家庭外の友人や家族との接触が減るなどの理由から、配偶者等からのDVの被害が増加中と多くの国で報告されています。世界規模で急増しているDVを国連は“陰のパンデミック”とさえ呼んでいます。

家庭内暴力(DV)のタイプは身体的暴力だけではない

普通DVというと殴ったり蹴ったりなどの暴行を思い浮かべることが多いかと思いますが、このような身体的暴力のほかにも言葉の暴力、精神的、経済的虐待(生活費を渡さないなど)、性的な暴力、ハラスメント、ストーカー行為やリベンジ(復讐)ポルノも含まれます。

新型コロナを口実に

DVの加害者は新型コロナウイルスを口実に、新たな理由で被害者をコントロールしようとしたりして虐待しているケースもあるようです。感染の心配があるからと外出を禁止したり、家族や友人とのコンタクト取らせなかったり、出血するまで執拗に手洗いをさせたり、周りに近づかせないよう新型コロナに感染していると嘘を触れ回ったり、言われた通りにしないと子供を感染させると脅すという報告もあります。

DV増加中でに程度も深刻化

モナッシュ大学によるビクトリア州のDV被害者サポートの専門家たちへの4―5月における調査報告によると、60%の専門家たちがパンデミックに伴い女性に対する暴力が増えたと回答しており、そのうちの半数は暴力がさらに深刻化していると答えています。

また、初めてDVの相談をするという被害者も増えているとのことです。加害者にずっとインターネットや携帯電話の使用まで監視され、DV被害者サポートセンターや警察に連絡できない被害者も多くいると懸念されています。だれか身近でDVの被害に遭遇している心配がある場合は、周りの家族や友人、同僚が手を差し伸べてあげる必要があります。

危険を感じたら

このパンデミック中、DVのため安全でないと感じた時の留意点は次の4点です。

  • 危険なら、待たずに警察000に電話すること。
  • 新型コロナウィルスは誰にとってもストレスだが、家族を危険に感じさせたり、虐待することの言い訳にはならず、DVは被害者の人権を侵害する重大な問題。
  • すでにAVOなどDVに関する保護命令を裁判所に申請している場合は、警察が裁判所に出廷する必要ないと言っても法律アドバイスを受けることも大切。パンデミック中でも裁判所ではDVに関しては優先的に対応しています。
    各州・特別区域のLegal Aid, community legal centre, Women’s Legal Serviceなどでは無料の法律情報やアドバイスを提供しています。
  • 警察、各種家庭内暴力サポートセンター(Family Violence Support Services、住宅サービス、法律相談など)で相談してみる。National Legal Aid によるFamily Violence Law Helpというウェブサイトに家庭内暴力についての情報が分かりやすくまとめられています。 

DV関連サポートの連絡先

1800 RESPECT National domestic violence helpline
電話番号:1800 737 732
DV/性犯罪被害者支援-希望すればTISの無料通訳もつけてくれます。

Men’s Referral Service
電話番号:1300 766 491
DV加害者向け相談-加害者本人も気づかないうちにエスカレートしている場合があるので、心当たりのある方は相談して下さい。無料の通訳サービス有。

※本記事は、法律情報の提供を目的として作成されており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。

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