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ジョブキーパー新制度(JobKeeper 2.0)について

新型コロナウイルス関連で、事業者と労働者への援助対策として3月30日から9月27日まで導入された「JobKeeper」は、該当する事業者が労働者一人につき隔週で$1500の賃金補助を受けられるという制度でした。

その「JobKeeper」が、9月28日より新しく「JobKeeper 2.0」として引き継がれました。今回は、この新制度について解説します。

ジョブキーパー新制度の延長期間は?

新制度「JobKeeper 2.0」の対象期間は、2020年9月28日から2021年3月28日まで。申請は二つの延長期間に分けられていますので、注意しましょう。

• 延長期間① 2020年9月28日~2021年1月3日
• 延長期間② 2021年1月4日~2021年3月28日

ジョブキーパー新制度の対象労働者は?

新制度「JobKeeper 2.0」の対象者は、2020年3月1日もしくは7月1日以前に、申請する雇用主の下で最低12か月間定期的に勤務していた労働者です。

また、旧制度同様に今回の賃金補助も市民権、永住権保持者、Subclass 444の特別ビザ保有者に限定されており、一般テンポラリーのビザ保有者は対象外とされています。

ジョブキーパー新制度における賃金補助額の変更

9月27日まで旧制度の賃金補助額は、隔週毎に一律1,500ドルでした。新制度下では全体的に減額となるだけでなく、該当する労働者の労働時間により延長期間の補助額が異なります。

第1レベル(Tier 1)
2020年3月1日もしくは7月1日以前に、4週間の労働時間が80時間以上の労働者
• 延長期間①:2020年9月28日より隔週毎に1,200ドル
• 延長期間②:2021年1月4日より隔週毎に1,000ドル

第2レベル(Tier 2)
2020年3月1日もしくは7月1日以前に、4週間の労働時間が80時間未満の労働者
• 延長期間①:2020年9月28日より隔週毎に750ドル
• 延長期間②:2021年1月4日より隔週毎に650ドル

旧制度と同様、新制度の賃金補助を受ける事業者においては、最低でも支給額の満額を個々の労働者に給付すること、賃金補助申請のレベルを知らせることが義務付けられています

「JobKeeper」制度は後払いのため、賃金補助金は翌月の支払いとなりますが、前月で事業者が支払った賃金の補助金を受領するには、毎月14日までに申請書(business monthly declaration)を提出しなければなりません。

新制度の申請受付は、2020年10月1日から開始されています。旧制度の期間中に賃金補助を受けていなかった事業者も、新型コロナウイルスの影響で状況が変化し、売上高減少などの条件を満たしていれば、新制度に申請して該当する労働者をノミネートすることができます。

賃金補助金の受領資格を決める「Actual decline in turnover test」

旧制度では一度でも売上高の減少を証明できれば、自動的に賃金補助金の支給が続いていました。しかし、新制度下での重要な変更事項として、「Actual decline in turnover test」というテストにより、前述した延長期間ごとに売上高の減少の割合を示す必要があります

旧制度で補助金を受領していた事業者は、新制度に再度参加の申込をする必要はありませんが、新制度下での補助金の受領資格を満たしているか、改めて申請をする必要があります。

延長期間①に賃金補助を申請するには

Basic Testとして、2020年7月から9月までの四半期と前年同期の売上高を比較します。この比較で使われる売上高は、予測でなく実際の売上高の値を提示することになります。

売上高が年間1,000億ドル以下の事業は最低30%の売上高の減少、年間売上高1,000億ドルを超える事業は最低50%の減少を示す必要があります。

Basic Testが事情により適切でないと考えられる場合は、Alternative Test(代替評価方法の選択肢)もあります。

延長期間②に賃金補助を申請するには

2020年10月から12月までの四半期の実際と前年同期の実際の売上高を比較し、最低限の減少を改めて証明することになります。この期間でも状況によってAlternative Testの選択肢があります。

このように3か月ごとに評価されるため、2020年9月締め四半期の売上高が、前年同期と比較した減少%値が十分認められ、延長期間①に賃金補助金を受領できても、12月締め四半期の売上高の減少比によっては、延長期間②の賃金補助金を受領できなくなることもあり得るので注意が必要です。また、その反対のケースも考えられます。


新制度へスムーズに移行されることが望まれていますが、労働者と雇用者の間で賃金や労働時間などについて問題が生じ、解決が難しい場合もあります。その場合、早めにオーストラリアの弁護士など専門家に相談しましょう。

※本記事は、法律情報の提供を目的として作成されており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。

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