オーストラリアに渡航した日本人が、まず最初にすべきことと言えば、家探し。オーストラリアでは、学生だけでなく社会人でも一人暮らしにシェアハウスを選ぶことは一般的です。しかし、オーストラリアへ来たばかりのワーキングホリデーメーカーや留学生を狙ったシェアハウスを借りる際の予約金・敷金詐欺、部屋の又貸しなどのトラブルも多いので、部屋探しには注意が必要です。
オーストラリアの部屋探しで詐欺の被害に合わないよう、ワーキングホリデーメーカーや留学生が気を付けるべき点を再度確認してみましょう。
【詐欺の事例】
また、シェアハウスの入居時に支払う敷金(rental bond)詐欺も同様に報告されています。
このようなシェアハウスの予約金や敷金の詐欺トラブルに対して、警察はあまり助けになってくれないというのが実情です。
そのため、個人的に注意しておきたいことは、第一にシェアハウスの内見をして部屋を確認すること。部屋を借りると決める時は、きちんと書面で契約書もしくは合意書を交わし、家主の連絡先を再確認し、予約金や敷金の支払いについて領収書を発行してもらうことが大切です。
自分と家主もしくは家主の代理人と、いつどのようなやり取りがあったかメモも残しておきましょう。後々トラブルが起こった際に、そのような記録があれば役立つことがあります。
可能であれば予約金・敷金などの支払いは現金(cash)でなく銀行への振り込みを利用し、その都度の支払いの記録が残るようにすることも重要です。
日本語でシェアメイト募集の広告が出ているからといって、信頼してしまうのは危険かもしれません。また、自分で判断できない書類には署名しないほうが賢明で、その場で契約書・合意書や領収書が出ないような取引も要注意と言えるでしょう。
NSW州には、賃貸住宅に居住する賃借人の権利と義務を規定してしている住宅賃貸法(Residential Tenancies Act 2010)という法律があります。これは家主(landlord)と賃借人(tenant)の間で争いが起こった際、二者間で和解できない場合に、NSW州民事行政審判所(Civil and Administrative Tribunal)が争いを審理してくれるシステムです。
賃借人が家主と書面で承諾を得ていれば、賃借物を又貸しする(sub-let)または賃借権の譲渡(transfer)をすることができます。家主も特別な理由がない限り、又貸しや譲渡に反対することはできません。
よくあるトラブルは、シェアハウスの家主の承諾なしに、賃借人がヘッドテナント(head-tenant)として勝手に又貸しするケースです。NSW州では「部屋を借りている人がどの程度の自分の部屋へのアクセスを管理できるか(例:鍵をかけることができて誰も使えないかどうか)」、「シェアハウスのハウスルールを強要されているか」などの諸条件にもよりますが、シェアハウスの下宿人(通常食事や掃除付き、boarder)または間借り人(lodger)と見做されることがあり、その場合は住宅賃貸法の保護を受けられません。
家主の承諾なしの又貸しが発覚した場合、そのヘッドテナントは賃貸借契約違反となり、又貸しで部屋を借りた人はシェアハウスを追い出される可能性さえあります。また、ヘッドテナントは部屋を借りた人から予約金・敷金を受け取っておきながら、部屋を出る際には返金してくれないケースもあるようです。
家主から直接でなくヘッドテナントから部屋を借りることになりそうな場合は、最初に家主の承諾を書面で得ているかどうかヘッドテナントに確認を取りましょう。家主の承諾があれば、又貸し(sub-let)の形態を取り、住宅賃貸法の保護下に入ることができます。
シェハウス合意書にはサンプル(下記リンク参照)があるので参考にしましょう。シェアハウス合意書の署名者はそれぞれ合意書を保管しておく必要があります。
上記の手順を踏んで部屋を借りる際、ヘッドテナントは間借り人から予約金・敷金を受け取る場合、「NSW Fair Trading」に正式に預け入れなければいけない規則になっています。間借り人との合意書に予約金・敷金を受領した記録が記入されていない場合、別途領収書を発行する義務もあります。
また、状況にもよりますが間借り人に退去を要求する場合、上記の形態を取っていればヘッドテナントは(大元の家主と同様に)30日前など余裕を持った事前通知をする義務があり、いきなり退去を強要することができません。
これに対し、制定法の保護を受けられないことを承知で間借りする場合、部屋を借りる際にできる限りの合意を貸主側と書面で取り付けておく必要があります。部屋を借りた人が支払った敷金は「NSW Fair Trading」にヘッドテナント側が預け入れる義務はありませんが、領収書を発行してもらうことは可能です。
部屋の退去の要求はヘッドテナント側の理由にもよりますが、一般的に妥当な通知(reasonable notice)によるものとされており、例えば毎週ごとの部屋代支払いをしている場合、ヘッドテナント側からの7日間のみの事前通知でも妥当と考えられています。家主やヘッドテナントと問題が起こった際に、力関係上、部屋を借りる人の立場が弱く問題解決に不利になりがちなので、自分が法的どのような立場にあり(tenant、sub-tenant、lodger、boarderなど)、どのような法的保護を受けられるか、早目に各エリアの相談センターの「Tenants’ Advice and Advocacy Services」や弁護士に相談しましょう。
※本記事は、法律情報の提供を目的として作成されており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。
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