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オーストラリアで個人売買をする際のリスクについて

個人売買のメリットは、一般的に、希望の品物を正規の店よりも割安で購入できることでしょう。その一方で「消費者法の保護の対象外」という大きなデメリットがあることも忘れてはなりません。トラブルの際は購入者側にどのような権利があるのか、またその手続きについて、購入先の各サイトのポリシーを事前にきちんと確認しておくことが大切です。

今月は、個人でさまざまな物を売買できる「Gumtree」や「eBay」といったオンラインオークションやオンラインショッピングのサイトを通じた、オーストラリアでの個人売買での買い物におけるリスクについて解説します。

オンラインで個人売買する際の注意点

「Gumtree」での個人売買

オーストラリアのクラシファイド広告サイトの「Gumtree」の場合、あくまでも地域広告に特化したサイトである立場から、売主の広告は事前に確認されることがなく、「Gumtree」側は買主に対して何の保証も提供しないというシステムになっています。そのため、同サイトで購入を決める前には、商品を直接確認することが推奨されます。

「eBay」での個人売買

世界最大級のオークションサイトの「eBay」の場合、購入した商品を受領できない場合、「eBay」側が返金保証を用意しています。売主との約束の期限を過ぎても商品が受領できない場合、買主は「eBay」に通知し、売主に回答を要求することができます。買主の要求に対して売主から期限内に回答がなければ、買主は「eBay」に売買トラブルの解決を依頼できます。

また、購入した商品が商品ページの説明と異なる場合も、期限内に「eBay」を通して返品を要求すれば、売主は3営業日以内にその回答する義務を負うと同時に、買主に返品費用を提供しなくてはなりません。この条件を満たさない場合も、買主は「eBay」に売買トラブルの解決を依頼することができます。

「eBay」から返品が認められた場合、買主は5日以内に商品を返品し、売主はその返品を受け取り後3営業日以内に、買主に返金する義務があります。万一、売主からの返金がなくても、「eBay」が売主に代わって買主に返金を実行します。

その他の返金要求方法として、クレジットカードやデビットカードの発行機関に返金を要求するチャージバックも可能。カード発行機関によって手続きの期限は異なります。

個人間で中古車を購入する際の注意点

上記のような解決法が該当しない例として、中古車の購入が挙げられます。

例えば、ビクトリア州ではディーラーから中古車を購入する場合、契約後3日間のクーリングオフの対象となります。その場合、100ドルもしくは購入価格の1%の、どちらか多い額を支払えば良いことになります。

そして、車が製造後10年未満(Build plateに押されている日付から換算)かつ走行距離160,000km未満であれば、保証の対象となります。保証期間は購入後3カ月、または5000km走行のどちらかのタイミングまで続き、この期間中はディーラーは購入者に中古車の不具合を補修する義務を負います。保証期間を過ぎても消費者としての権利は存続します。ディーラーは保証と同時に、保証対象外の不具合と修繕コストについて購入者に通知する義務を負っています。

一方、保証を提供しない「Gumtree」はもとより、「eBay」でも車は返金保証の対象外です。従って、中古車の購入を決める前の細かい精査が重要です。具体的には、売主が実際に車の所有者かどうかを確認するための「Personal Properties Security Register」サービスを入手し、「Roadworthy Certificate」に加えて「Comprehensive pre-purchase inspection」を依頼することや、車の所有者・事故・サービス記録を確認し、必要であれば「Car History Report」を入手しておくことなどが挙げられます。

それ以外にも、購入したい中古車は実際に試運転をし、内見で判明した不具合の修繕コストは誰が負担するかを事前に交渉するなど、念には念を入れた精査をすることが後々のトラブルを避けることにつながることは言うまでもありません。

 

※本記事は法律情報の提供を目的として作成されており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。

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