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ネット上の誹謗中傷やその他インターネット被害への対処法

最近「Yamamoto Attorneys」弊所に、メールやオンラインサイトでの誹謗中傷や、個人情報の漏洩、リベンジポルノといった被害に遭われた方からのお問い合せが増えています。

オーストラリアには「Defamation Act」が存在するものの、当地の法律は改正の必要性の声が上がってからも長い期間が経過し、近年のソーシャルメディアの多様化によって法律が現状に追い付いていない現実があります。

また、些末なケースが裁判に持ち込まれることで他の裁判が大幅に遅延し、本来すぐにでも救済の必要な原告が、裁判の開始まで長期間待たなくてはならない現状もあり、問題となっています。

ネット上の誹謗中傷やその他インターネット被害への対処法

インターネットサイトでは匿名で自分の意見を伝えられるプラスの面と、個人が特定されにくい点を悪用して事実無根の内容を述べたり、無責任な意見を述べたりするというマイナスの面が共存しています。一度でもアップロードされた内容は、例え本人であっても簡単に消去・抹消することができず、そのターゲットとなった人物を大きく傷つける可能性があります。

インターネット上の誹謗中傷を原因として原告となれるのは、基本的に個人または小企業に限られます。また、誹謗中傷をした加害者が確定できなくてはなりません。こうした裁判を起こすには費用と時間がかかるため、現実な対処法としては、「誹謗中傷をした相手に対して苦情を出す」こと、「オンライン上のプラットフォームに対して誹謗中傷内容の削除を求める」ことが中心となります。

リベンジポルノなどの場合、インターネットに写真などをアップロードして相手を脅すこと、何かを見返りに強要することは刑事犯罪行為となり、オーストラリア連邦法の管轄となります。現実的な対処法として、リベンジポルノの加害者が居住する州警察に現状を通報し、その被害に対応してもらうことになるでしょう。その場合、被害者は、リベンジポルノの証拠提出とともに警察で調書を作成し、警察に捜査を依頼することが必要となります。そのため、加害者と被害者が国を跨いでいる場合、こうした犯罪行為を止めることは大変困難になってしまいます。

「Defamation Act」改正法の導入について

2020年7月末に各州の司法長官(Attorney General)による会議が開かれ、速やかに「Defamation Act」の改正法を導入することが合意されました。

規定の具体内容は、インターネット上の誹謗中傷から訴えを起こすためには重大な損害が必要とされ、訴訟前に原告側からの通知(concern notices)が義務づけられるものとなります。これは誹謗中傷の裁判が開始される前に、原告の問題を被告側に直接提示することにより、被告側にその問題を是正する機会を与えることを目的としたものです。

また、現在は、同じ内容の誹謗中傷材料がいったんインターネット上にアップロードされると、同じ材料がダウンロードされるたびに誹謗中傷の訴訟を起こすことが可能であり、ダウンロード期間にも制限がなく訴訟が起こしやすい環境ですが、改正案では「誹謗中傷の媒体は一つ」というルールが導入されることになります。

改正案では、訴訟可能な期限として誹謗中傷内容のアップロードから1年までとされます。こうした「Defamation Act」の改正案は、被害者にとっては裁判のハードルを上げているような印象を与えるかもしれませんが、些末なケースを排除することが目的であり、実際に損害を受けている被害者のケースの裁判開始を早めることにも、結果としてつながります。

刑事犯罪の対象になるケースでは、警察の捜査を促すことでリベンジポルノなどの脅しの材料となっている写真やデータの削除や加害者の起訴へとつなげていくことを目的とします。それによって犯罪行為の抑止と根本的な解決を図ることが重要視されているわけです。

※なお、本記事は法律情報の提供を目的として作成されており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。

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