パートナービザ(配偶者ビザ)申請のために知っておくべきこと
オーストラリア政府公認移民法コンサルタントの「Access Visa(アクセス・ビザ)」では、永住ビザや一時滞在ビザなど、日々…
オーストラリア連邦政府は、2023年から既存の法の抜け道を塞ぐとして大幅な雇用法の改正を行っており、2024年も次々と新たなルールが施行されることになっています。
今回は、その中でも特に重要な「The Fair Work Act」の改正内容についてご説明します。
2023年6月6日からは、従業員が雇用主に対し、フレックス制や、リモートワーク、ジョブシェアリングなど柔軟な働き方を請求できる権利が拡大されました。
改正前はこうした働き方を請求できるのは保護者、介護者、55歳以上、障害がある方に限定されていましたが、法改正により家庭内暴力を経験していたり、妊娠している従業員にも同様の権利が認められるようになりました。こうしたアレンジを希望する場合、従業員は書面でその理由とどのような働き方を希望するかを雇用主に提出し、雇用主は21日以内に書面で回答することが求められます。
もし雇用主が請求を却下する場合には事前に本人と話し合いを行い、真摯に解決策を探ることが必要です。申請を却下する場合には合理的な理由があることが前提となります。
却下に納得できない場合、従業員はFair Work Commissionに申し立てを行うことで解決を図ることが可能で、Fair Work Commissionが最終的な命令を下すことになります。もし雇用主がその命令に違反した場合、取締役または会社は罰金の対象となります。
2023年7月1日からは、雇用主の外国人労働者に対する搾取を防止し、外国人労働者がFair Workへの訴えを起こしやすくなるようになりました。
ビザ違反や働くことができないビザで働いている場合、また、たとえ不法滞在者であったとしても、労働者としての権利が明確に保証されることとなり、Fair Workからの調査に協力し、その他のビザキャンセルの理由がなく、今後はビザのルール順守の確約などの条件を満たした外国人労働者であれば、移民局はビザのキャンセルはしない、という方針が導入されました。
2023年7月1日からは、無給育児休暇(Parental Leave)のルールが改正され、さらに柔軟な無給育児休暇の取得が可能になりました。
無給育児休暇は子どもの出生後2年間のうち最大12カ月間の取得が可能で(希望すれば、さらに12カ月の延長も可能)、休暇の取得方法として継続的休暇、不定期な休暇を最大100日(以前は最大30日)、または、その両方を合わせた休暇の選択が可能となりました。
妊娠している従業員の場合、出産予定日から最長6週間前から育児休暇の取得が可能です。
両親が同時に育児休暇を取得することもできるようになりました。なお、育児休暇は養子の場合にも適用され、取得可能な期間は子供を養子として受け入れた日から起算されることになります。
2023年12月15日からは、家庭内暴力を受けている従業員に対する保護が強化され、企業が解雇などの手続きを取ることが難しくなりました。
2024年2月27日からは、雇用法違反に対しての罰金刑が強化されました。
15人以上の労働者を雇用する企業は最大で469,500ドルの罰金、意図的または無謀な違反の場合は最大で、その10倍の4,695,000ドルの罰金が科されることも可能になりました。
2024年7月1日からは、外国人労働者を搾取する雇用主への罰則が強化されます。
禁固刑の導入と罰金は3倍に増額され、違反が認定されると、今後短期滞在ビザ保有者の雇用ができなくなります。
2024年7月1日からは、職場の安全・衛生基準について規制が強化されることが決まっており、連邦法の「Workplace Health and Safety Act 2011」の対象となる職場での過失致死について、新たに刑事罰が導入されることが予定されています。
すでに同様の州法を導入したVIC州と同じように、個人に対する最長懲役が25年、法人に対する罰金が最大で1,800万ドルが科されることになります。
その他の違反についても罰金が大幅に増額される予定です。
2024年8月26日からは、カジュアル従業員の定義づけが変更となります。
契約書上の区分で決めるのではなく、実際の雇用形態がその判断材料となり、雇用主が定期的な業務を依頼し、従業員がその依頼に応える場合、パーマネントスタッフとしての権利が保障されることになります。
2024年8月26日からは、「Right to Disconnect」が15人以上の従業員を雇用する企業で導入され、従業員は合理的な理由がある場合を除き、業務時間外のメールや電話への応対を拒否することが認められます。
1年後の2025年8月26日以降、このルールは小規模事業者にも適用されます。
2025年1月1日からは、連邦レベルでの未払い賃金に対する罰則が強化され、意図的な賃金未払いに対して刑事罰が導入されます。
雇用主個人に対して最大10年の禁固刑、罰金については雇用主個人が未払い賃金額の3倍または156.5万ドルのどちらか多い金額、企業に対して未払い賃金額の3倍または782.5万ドルのどちらか多い金額が課せられます。
この罰則は、あくまでも未払い賃金のケースのみで、スーパーアニュエイションやロングサービスリーブなどは対象外です。Fair Work Ombudsmanが未払い賃金に関する調査権限を持つことになります。
上記以外にも多くの改正が行われており、労働者の権利は強化され、雇用主への処罰が厳格化されています。
そのため、企業は法令順守努力がこれまで以上に求められることとなります。
なお、本記事は法律情報の提供を目的として作成されており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。
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