パートナービザ(配偶者ビザ)申請のために知っておくべきこと
オーストラリア政府公認移民法コンサルタントの「Access Visa(アクセス・ビザ)」では、永住ビザや一時滞在ビザなど、日々…
2024年8月に入ってから、「日本に一時帰国中にワーキングホリデービザが突然キャンセルされた」や「ビザ取得後、出発直前にワーキングホリデービザがキャンセルされた」といった事案が発生しており、SNSを発端にその話が広まり、当「山本法律事務所」にも、その当事者からの報告や相談が急増しています。
この事態により、オーストラリア国内外の日本人関係者の間で大きな混乱と不安が広がっています。そこで、現時点で当所が確認した情報を以下にまとめます。
個々のケースにより若干の違いはありますが、以上が大まかな共通点です。
この問題は、2024年8月上旬に初めて発覚しました。
某エージェントによると、同社のクライアント約50人のビザがキャンセルされたとのことです。当初、エージェントは曖昧な説明をしていましたが、クライアントの追及により、偽造書類(日本の銀行を装った英文残高証明書)を作成・提出していたことが明らかになりました。
これにより、キャンセルが行われたことをエージェント側も認めました。一部のクライアントにはキャンセルレターが提示され、その記録を当所が入手しました。
キャンセルの理由としては、偽造書類(Bogus document)の提出が挙げられています。残高証明書が偽造されていたことが移民省の整合性検証(Integrity check)により発覚し、その深刻さから、Migration Act 1958の第128条に基づき、キャンセル予告なしに即時キャンセルが行われました。
当所の調査の結果、同社のクライアントには2つの異なるケースが存在していることが判明しました。
明らかに、2のケースではクライアントも不利な状況にあり、キャンセルは当然の結果と言えます。
しかし、1のケースでも、クライアントが全くの被害者であるかどうかは(移民省の見解上では)議論の余地があり、移民省にキャンセルの取り消しを求める際、強く主張できるとは限りません。
その理由については、次の章で解説します。
では、前述の1のケースに該当するクライアントが「自分は一切不正には関わっておらず、エージェントが勝手にやったこと。正当な書類を用意していたし、その証明もできる」と主張した場合、キャンセルを取り消すことができるでしょうか。
その答えは非常に微妙です。
ワーキングホリデービザに限らず、ビザ申請時には、申請者本人が申請内容や添付書類に嘘偽りがないことを宣誓する箇所にチェックを入れてから提出を完了するためです。
したがって、自分の申請内容や提出書類を精査することなく申請を完了した場合、エージェント任せにしていたからといって責任を逃れることは難しいでしょう。
ただ、かなり強い証拠を以てキャンセルを覆すだけの主張ができる場合は、国外にいる間のキャンセルには再審請求権(Review Rights)は付かないものの、キャンセルを撤回(Revoke)してもらうことができる特例があります。
Revocationを要求したい場合は、キャンセルレター発行日から28日以内のアクションが必要です。
前章の冒頭にもありましたが、当該エージェントは、いわゆる“留学エージェント”として活動しながら、関連のサービスとしてビザ申請代行を提供していました。読者の中には、ビザエージェント(移民法エージェント、移民法コンサルタント、移民法申請代理人、移民法専門書士等々、日本語訳にバリエーションあり)と留学エージェントを混同している方も少なくありません。
まず、前者は2種類に分かれます。
このように、オーストラリア国外での無登録ビザ代行サービスと、国内の有資格移民法エージェントとの間には知識や倫理観に大きな差があることが理解いただけるでしょう。
そこで、次項では無登録エージェント利用時のリスクについて解説します。
まず、オーストラリア国内でのコンサルティングですが、無登録のエージェントは移民法に関するいかなるアドバイスやサポートもしてはなりません。
これには学校紹介エージェントも該当します。学校紹介エージェントが無料アドバイスやビザ申請サポートを提供する場合、そのエージェントが有資格のエージェントを雇用していたり、有資格エージェントと協業している場合は問題ありません。
ただし、カスタマーサービスの一環として学校選択のカウンセリング中にビザ相談や「ビザ申請用紙の記入を手伝う」ことをしている場合、無資格であれば厳密には違法です。エージェントのOMARA登録状況はこちらで検索できます。
そして、オーストラリア国内外を問わず、無資格エージェントが代行する際の慣行が、トラブル発生時に大きな問題となることがあります。これは今回のワーキングホリデービザキャンセル事件にも関連しています。
有資格エージェントの場合、申請代理委任フォーム(Form 956)を添付し、エージェントが開設した「ImmiAccount」から申請し、すべてのクライアント申請を一括管理します。もちろん、移民省からの連絡先としてもエージェントの詳細を入力します。
一方、無資格エージェントは、申請代理の委任を受けていることを隠し、クライアントの個人「ImmiAccount」から申請を行うことが常態化しています。
無資格エージェントは影武者的な存在で、自らの詳細を一切出さず、クライアントの「ImmiAccount」から申請します。しかし、その際に自分たちのメールアドレスを連絡先として入力することがほとんどです(日本の場合)。このような状況では、移民省からの連絡が申請者本人に届かないことがあります。
オーストラリア国内で無資格の学校エージェントが手伝いをしている場合は、オーストラリア国内では自分達のメールアドレスを入れることは憚られるため、申請段階まで手伝った後はクライアントに任せることがほとんどで、連絡先としては申請者本人のメールアドレスを入力します。
今回の件に関する資料を精査した際、当該エージェントは自らのメールアドレスを連絡先に指定していました。おそらく同社のクライアントの申請にはすべて同様の処理を行っていたと考えられます。そのため、そのエージェントのメールアドレスを連絡先として申請していた記録がある申請者のケースが検知され、一斉キャンセルの対象となったのでしょう。
今回のケースは、氷山の一角であると考えられます。現在は、オーストラリア国外滞在中のワーキングホリデービザ保有者を対象にキャンセルされていますが、今後はオーストラリア国内に滞在する人々にも順次対象が広がると予想されます。
また、学生ビザ申請時の不正やセカンドワーキングホリデーの給与証明の不正発行と取得など、他の分野でも移民省の捜査が強化されていると聞いています。該当する可能性がある方、心当たりがある方にとって、この問題は対岸の火事ではないでしょう。
移民法が存在することには、その意義があります。責任ある社会人、そしてグローバル市民として、良識ある行動と判断をしていただきたいと強く願っています。後進の日本人に負の遺産を残さないように、少しでも不審に思うことがあれば拒否する勇気や、諭す勇気を持っていただきたいです。
本件に関しまして、ご相談をお受けしております。守秘義務に関してはご安心ください。また、当所でなくとも構いません。不安を感じる方は、必ず弁護士や有資格の移民法エージェントに一刻も早くご相談されることを強くお勧めいたします。
ご相談・お問い合わせ
「山本法律事務所」移民法コンサルタント 福田美香(MARN:0531386)
※ご相談は有料となります。
電話:(02)9223 3387(日本語対応)
メール:info@yalegal.com.au
なお、本記事は法律情報の提供を目的として作成されており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。
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