今回は一連の457ビザプログラム変更がENS(186)ビザ申請に及ぼす影響についてまとめました。
From 2017.4.19
●2017.04.18以前のSOL (Skilled Occupations List)がMLTSSL (Medium and Long-term Strategic Skills List)に、また2017.04.18以前のCSOL (Consolidated Sponsored Occupation List)がSTSOL (Short-term Skilled Occupation List)になりました。
https://www.legislation.gov.au/Details/F2017L00450
なおSOL職はそのままMTLSSLに移行しましたが、CSOL職のうち200職はSTSOLから外れました。
削除された職種リスト
この結果2017.04.19 以降ENS 186 ビザDirect Entry Stream(DE) では、この200職種は使用できなくなります。
また下記16職種についてはMLTSSL掲載職ですがENS 186 DE streamで使用できません。
Chemical Engineer** 233111
Civil Engineering Technician** 312212
Electrical Linesworker** 342211
Electronics Engineer** 233411
Industrial Engineer** 233511
Materials Engineer** 233112
Medical Administrator** 134211
Pressure Welder** 322312
Production Manager (Mining)** 133513
Production or Plant Engineer** 233513
Project Builder** 133112
Ship's Engineer** 231212
Ship's Master** 231213
Ship's Officer** 231214
Stonemason** 331112
Telecommunications Network Planner**313213
一方Temporary Residence Transition Stream (TRT)の場合は、MLTSSL/STSOLに掲載されていない職種でも現在のところENS186 ビザの申請が可能です。
これはTRT streamの場合は元々申請職種がSOL/CSOL掲載職であることを義務付けられておらず、従って今回のSOL/CSOLからMLTSSL/STSOLへの移行の影響を受けないためです。
なおTRTは「サブクラス457を持ち、スポンサーのもとで2年以上勤務後に申請資格が得られるStream またDEは上記2年の勤務を経ず、「180,000以上の基本給」或いは「Skills Assessment の結果と3年間の関連の職務経験」などを根拠に申請を行うことのできるStreamです。
From 2017.07.01
● Occupation Listの更改: Occupation List は固定したものではなく定期的に更改が行われます。 STSOLは半年毎の更改、またMLTSSLについてはDepartment of Education and Training 2017-18 SOL review後に見直しが行われる様です。
●英語基準がIELTS 全科目6 (または同種の試験で政府の設定する点数)に引き上げられます。
●年齢 DEの場合ビザ申請時の年齢が45歳未満とされます。TRTの場合は現状通りビザ申請時の年齢49歳まで可能です。
Before 2017.12.31
● ATOとデータマッチングのために、457ビザホルダーのTax File Numberの提出を求められるようになる予定です。
●スポンサーの義務違反について社名、違反の内容など公開開始の予定です。
From 2018.03.xx
●ENS 186 及び RSMS 187申請の申請を行う際、DE TRT いずれの場合においてもMLTSSL職のノミネーションが必要になります。
なお「2017.04.18以前に457ビザを発給され、かつスポンサーのもとで2年就労したビザのホルダーが、たとえMLTSSL職でなくても2018.03.xx以降にTRT でENS 186ビザの申請が可能か」という点については、現時点では不明です。
下記の様な報道もあるため、2017.04.18以前の457ビザ受給者については例外として扱われる可能性があるのではないかと考えていますが、今のところは希望的観測の域を越えません。
Mr Turnbull said the four-year visa system, which permits highly skilled migrants to apply for permanent residency at its conclusion, would be replaced in a bid to protect Australian jobs.
The 95,000 skilled migrants currently in Australia on 457 visas would be unaffected and still be able for permanent residency at the end of the four years.
“We will no longer allow 457 visas to be passports to jobs that could and should go to Australians,” Mr Turnbull said.
Unlike the current visa arrangement, the replacement — a two year temporary visa specifically designed to recruit the “best and the brightest” in the national interest — will not allow permanent residency at its conclusion.
However, Immigration Minister Peter Dutton said the 95,000 people already in the country on a 457 work permit would be unaffected by the change and permitted to apply for residency.
“They will continue under the conditions of that visa,” Mr Dutton said.
●3月にRSMS 187 ビザでのみ使用可能な職種がMLTSSLに追加される予定です。
●Minimum Market Rate Salary (職種や勤務地を考慮に入れた給与の相場)及びTemporary Skilled Migration Income Threshold (TSMIT 現在$53900 p.a.)の基準を満たす必要があります。
●TRT stream での申請の場合、457ビザで「2年の就労実績でなく、3年の就労実績」が求められるようになります。
●Nominateした職種で3年以上の職歴も必要です。(さほど頻繁ではありませんが457ビザで3年の場合でも、途中で職種が変わることがあり得ます。)
●TRT DEいずれの場合も申請時45歳未満の申請者に資格が限られることになります。
●豪州国籍者永住ビザ保有者である従業員への訓練義務が強化されます。
以上により「2017.04.18以前に現在のSTSOL職でサブクラス457の発給を受けた方」には下記をお勧めします。
◇457ビザでスポンサーのもと2年就労とIELTS all 5 (or equivalent)以上の各条件を満たすことのできる場合は、 IELTS all 6 (or equivalent)以上 が必要になる2017.07.01より前の申請。(TRT stream)
◇457ビザでスポンサーのもと2年就労とIELTS all 6 (or equivalent) 以上の各条件を2017.07.01以降2018.03.xxより前に満たすことができる場合、職種がMLTSSL適用の例外として扱われるか不明のため2018.03.xxより前の申請。(TRT stream)
◇DE streamでの申請資格を満たすことができる場合、2018.03.xxより前の申請。(IELTS all 6 (or equivalent)以上) (DE stream) [2017.06.30 以前の申請でも英語の基準は同じ]
◇勤務地がRegional area (Gold Coast, Brisbane, Newcastle, Sydney, Wollongong and Melbourne 及びその近隣以外の地域)でRSMS187の申請資格を満たすことが可能な場合は下記取得の上申請。
2016.06.30以前
TRT IELTS all 5 (or equivalent) 以上
DE IELTS all 6 (or equivalent) 以上
2016.07.01以降2018.03.xxより前
TRT/DE IELTS all 6 (or equivalent) 以上
◇上記いずれも満たすことができない場合、MLTSSLへの職種追加や上記例外としての取り扱いに期待することになります。(特にRegional 地域補充が困難な職種はRegional限定でMLTSSLに加えられる可能性があると思います。)
なお2017年4月19日における変更を除き、7月1日以降の計画は全て政府による「予定」です。実際に関連法規が改正されるまで確定するものではありません。
(2017.04.25)
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Hideaki Takahata / 高畠英明
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