クリスマスホリデー期間中の交通事故死傷者多数を受け、オーストラリアでは海外旅行者に特別運転免許を取得させようというプランが持ち上がっています。
海外旅行者はオーストラリアでレンタカーを借りる前に、特別に設定された運転試験にパスしなければならない、という規制を作ろうという案が出ているようですが、果たしてこれでオーストラリアの交通事故死傷者数を減らすことができるのでしょうか?
昨年オーストラリアでは、1,000人以上の命が交通事故で失われました。特に夏休み(クリスマスホリデー期間)中は自動車事故が多発しますが、NSW州ではこの期間に1,400件以上の深刻な自動車事故が発生し、28人死亡、450人以上が負傷するという残念で悲しい結果でした。
こうした交通事故死者数の増加を受け、早急な法律の見直し・改正を求める声が上がっています。オーストラリアのマルコム・ターンブル首相もそうした声に同調しています。
検討中の案その1は、オーストラリアで運転する海外旅行者にテストを実施し、それにパスすれば “Tプレート” を発行する、というものです。つまり海外旅行者は、レンタカーを借りる前にテストに臨み、自分の運転技能を証明しなければなりません。
論題的には上記その1と同じですが、別の案(その2)もあります。それは、オーストラリアでレンタカーを借りようとするすべての海外旅行者に、安全講習ビデオの閲覧を義務付け、レンタカー会社にはより厳しい貸出基準の設定を強いる、というものです。
メルボルン郊外のグレートオーシャンロードは、オーストラリアを訪れる海外旅行者に人気のスポットです。ビクトリア州道路交通規制機関の統計によると、グレートオーシャンロードで起きた自動車事故(2012年7月~2017年6月)の21%が、外国人ドライバーの運転だったそうです。
しかし道路交通安全業界では、海外旅行者の運転に対する規制を厳しくしたところで、大きな効果はないのではないかとの声も上がっています。なぜなら、地元の(オーストラリア人)ドライバーも、無免許、疲労、飲酒・ドラッグ運転や携帯電話使用等で多々、事故の原因を作っているからです。そうしたことから、まずは道路交通・自動車運転に関する国内教育や規制向上の余地があるのではないか、との意見があります。
ところで、現行の規制は?
海外旅行者は、英語で記された国際免許証(英語でない場合は、翻訳書類が必須)を携帯すればオーストラリアで車の運転が可能です。現行の規制では、国際免許証の保持以外、テスト(運転試験)はありません。
また、ニュージーランドからの旅行者については、オーストラリア国内のドライバーと同等に扱われます。
では、他諸国ではどのようなシステムになっているのでしょうか?
海外旅行者の運転に関するニュージーランドの規制は、オーストラリアと同じです。ニュージーランドの異なる点は、ニュージーランドで車を運転しようとする海外旅行者に対し、“ビジタードライバー・トレーニングプログラム”という教育プログラムの提供が準備されていることです。ただしこれは、希望者のみが対象なので、必須ではありません。いくつかのレンタカー会社では、このプログラムを受講し、修了証を取得した海外旅行者向けにディスカウントが用意されているようです。
オーストラリア政府公認移民法コンサルタントの「Access Visa(アクセス・ビザ)」では、永住ビザや一時滞在ビザなど、日々…